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【特集】米サマーラリー突入シナリオの深層、カギ握るハイテク株動向 <株探トップ特集>

NYダウは最高値圏に浮上したが、先行きには強弱感が対立する。焦点はパウエル議長の議会証言と米企業決算だ。特に決算見通しが上方修正されれば、株価は一段高が見込む声が強い。

―FRBの金融政策を注視、NYダウ2万8000ドル台乗せも視界―

 米株式市場は7月に入り最高値圏へと浮上してきた。米中貿易摩擦の行方が懸念され今春以降は警戒感が強まったものの、米国は中国への追加関税引き上げを見送り、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が高まった。これを背景に NYダウは最高値を更新した。しかし、市場の見通しには強弱感が対立する。米国の金融緩和期待が後退すれば、株価は調整を迫られるとの声は少なくない。その一方で来週から本格化する企業決算が米株価の押し上げ要因に働くとの見方も浮上している。果たして、米市場はサマーラリーに突入するのか。今後のシナリオを追った。

 ■昨年10月以来の最高値更新、「パウエルプット」期待が株価支える

 NYダウは3日に2万6966ドルをつけ、昨年10月3日以来、9ヵ月ぶりに最高値を更新した。先月29日に開催された米中首脳会談で米国による第4弾の追加関税が見送られたことなどが好感された。もっとも、NYダウは高止まり状態となり、先行きに対する警戒感もくすぶる。米国景気に減速懸念が強まり企業業績に不安も高まるなか、足もとの予想PERは18倍前後と高水準にある。そんな米株式市場を支えているのが、FRBによる利下げ観測だ。パウエルFRB議長が利下げで米株式市場の上昇を後押しするという「パウエルプット」への期待は強い。

 このため今月10~11日に予定されているパウエルFRB議長の議会証言への関心が高まっている。30~31日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%利下げの観測が強いが、一部には0.5%利下げの期待もある。市場では月末のFOMCに向けたパウエル議長の姿勢を確かめたいとの見方が出ている。

 ■米4~6月期決算は減益予想も上方修正への期待強い

 とは言え、5日の米雇用統計が堅調だったこともあり、市場には「今月末のFOMCは0.25%の利下げにとどまるだろう」との見方が多い。パウエル議長の議会証言もさほどハト派色は強まらないと予想されている。マネックス証券の益嶋裕マーケットアナリストは「パウエル議長の議会証言で金融緩和への期待が後退すれば、いったん株式市場は調整局面に入る可能性がある。その後の展開は米企業の決算次第だ」とみている。

 パウエル議長の議会証言が終われば、市場の関心は米企業決算に移るとみられている。米国の4~6月期企業決算ではS&P500種採用企業は前年同期比2.9%前後の減益となるとの見方が出ている。ただ、米決算は「最終的には減益幅は縮小するのではないか」と東海東京調査センターの庵原浩樹シニアストラテジストはいう。

 焦点となっているのはハイテクセクターだ。なかでも、米半導体セクターは前年同期比3割近い減益が予想されている。しかし、米中貿易摩擦はいったん小康状態に入りつつあるなか、半導体の減益幅は予想に比べ上方修正される可能性もあることに加え、今後の見通しを示すガイダンスでは前向きな見方が出るとの期待も出ている。

 ■米外交姿勢は協調路線へシフト、イラン情勢には警戒感も

 また、強硬姿勢に傾いていた米トランプ政権による外交姿勢にいったん協調路線への揺り戻しが見えることも株式市場にはプラス要因だ。米国は中国の通信大手、ファーウェイに対する締め付けを緩めたほか、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と先月30日に急遽、会談したことも米外交姿勢の変化を示すものとみられている。イランを巡る動向は気になるものの、米・イラン両国による“口撃”だけにとどまるなら、米株式市場を取り巻く環境は落ち着くことになる。

 前出の庵原氏は「米企業決算の内容によるところが大きいものの、サマーラリーは期待していいのではないか」とみている。市場にはNYダウは秋口にかけ2万8000ドルを目指すとの期待も出ている。

 ■半導体関連株やGAFAの決算内容を注視

 こうしたなか、来週から本格化する米企業決算が注視される。15日のシティグループ、16日のJPモルガン・チェースなどで決算シーズンはスタートを切り、17日のネットフリックス、IBMからハイテク企業の決算発表が始まる。半導体関連では18日の台湾・TSMCや24日のザイリンクス、25日のインテル、31日のクアルコムなどが注目される。また、IT大手ではフェイスブックが24日、アルファベット(グーグル)とアマゾン・ドット・コムが25日、アップルが30日に決算を予定している。その決算内容次第でハイテク関連株が米株式市場を牽引することも期待されている。


■主な米企業の7月の決算発表予定

15日  シティグループ
16日  JPモルガン、ゴールドマン・サックス
17日  ネットフリックス、アルコア、IBM、バンク・オブ・アメリカ
18日  モルガン・スタンレー、TSMC、マイクロソフト、ニューコア、
19日  アメックス、ブラックロック
23日  コカ・コーラ、ビザ、バイオジェン
24日  キャタピラー、ボーイング、ザイリンクス、アドバンスド・マイクロデバイシズ    フェイスブック
25日  アルファベット(グーグル)、アマゾン・ドット・コム、スリーエム、
    スターバックス、インテル
26日  マクドナルド、ツィッター
30日  アップル、プロクター&ギャンブル
31日  クアルコム

(注)予定は変更となることがあります。

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