【市況】前場に注目すべき3つのポイント~支持線レベルでの底堅さを意識
NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより
9日前場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
■株式見通し:支持線レベルでの底堅さを意識
■前場の注目材料:フジ、1Q営業利益26.4%増の20.2億円、計画線で推移
■キリン、上期のビール類販売2%増、「本麒麟」など好調
■支持線レベルでの底堅さを意識
9日の日本株市場では、米株安を受けて弱含みながらも、前日の大幅な下げに対する自律反発が意識され、底堅い相場展開が期待される。8日の米国市場では、NYダウは115ドル安となった。雇用統計を受けた利下げ期待の後退により、引き続き売り優勢の展開。パウエルFRB議長の議会証言を見極めたいとの思惑から下値は限られたものの、終日軟調だった。ただし、この調整は想定線でもあってか、シカゴ日経225先物清算値は大阪比55円高の21585円だった。また、円相場は1ドル108円70銭台と円安に振れていることも、下支えとして意識されそうだ。
もっとも、昨日の日経平均は200円を超える下落となり、心理的な支持線レベルである21500円処まで下げてきている。ETFの決算に伴う分配金捻出の為の売り需要の影響が警戒されていたが、この影響がどの程度だったかは見込みづらいところではある。しかし、明日10日も決算に絡んだ売り需要が多いとされているため、押し目買い意欲は高まりそうにない。また、中国・上海指数が一時3%程度下げるなど、アジア株安も嫌気されていたこともあり、中国市場の動向を睨みながらの展開になりそうである。
さらに、イランが核合意で定められた濃縮度の上限を超えるウラン濃縮の作業に着手したことによる地政学リスクの高まりなども手控え要因になっているだろう。ドイツ証券による日本株撤退報道も神経質にさせており、海外勢の資金流入減少といった見方なども意識されてくる可能性がありそうだ。
引き続きETFに絡んだ売り需要のほか、外部環境の不透明要因から手掛けづらさは意識されやすいところである。日経平均は心理的な支持線レベルである21500円までの調整をみせてきており、これを明確に下回ってくるようだと、先安観が高まりやすい。そのため、支持線レベルでの踏ん張りを見せておきたいところである。
また、やや盛り上がりに欠く参院選であるが、各メディアによる情勢調査では、自民・公明の与党で改選議席の半数を超える見通しと伝えられている。政権安定を意識した政策期待から、社会インフラや5Gなどの関連銘柄への個人主体の物色は意識される。また、小売企業を中心とした決算については、好決算の銘柄へは値幅取り狙いの資金が集中するなど、物色意欲は衰えていないようだ。
■フジ、1Q営業利益26.4%増の20.2億円、計画線で推移
フジ<8278>が発表した第1四半期決算は、売上高が前年同期比2.0%増の784.78億円、営業利益が同26.4%増の20.20億円だった。各セグメントでは、小売事業の営業利益が前年同期比27.8%増、小売周辺事業が同10.3%増、その他事業が同23.0%増といずれも2ケタの伸び。通期計画に対する第1四半期営業利益の進捗率は24%と計画線での推移。
■前場の注目材料
・シカゴ日経225先物は上昇(21585、大阪比+55)
・1ドル108円70-80銭
・米原油先物は上昇(57.66、+0.15)
・日銀のETF購入
・日銀追加金融緩和への期待
・株安局面での自社株買い
・米早期利下げ観測
・キリン<2503>上期のビール類販売2%増、「本麒麟」など好調
・住友商<8053>ホンダから自動車用ブレーキ関連部品製造会社を買収
・三菱商<8058>三菱自動車とインドネシアVBに出資、配車サービス拡充
・トヨタ<7203>中国2社に燃料電池部品供給で合意
・花王<4452>静岡大薬学部と唾液中の抗インフルウィルス成分を特定
☆前場のイベントスケジュール
<国内>
・08:30 5月毎月勤労統計・現金給与総額(前年比予想:-0.6%、4月:-0.3%)
・08:50 6月マネーストックM3(前年比予想:+8.6%、5月:+8.5%)
<海外>
・特になし
《SF》
提供:フィスコ