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【特集】春相場の主役、躍動する「IT投資関連」スーパーセレクト5銘柄 <株探トップ特集>

株式市場でシステム開発関連株が相次いで人気化している。この背景には、旺盛な企業のIT投資需要がある。最先端のテクノロジーを取り込む動きが加速していくなかで、株高トレンドが有望視される注目銘柄を絞り込んだ。

5G、IoT、AIの裏テーマ、企業の旺盛なIT投資需要に刮目せよ―

 東京株式市場では5G人工知能(AI)IoTソリューションサイバーセキュリティーなど政策的なフォローの風が吹くテクノロジー関連株が引き続き賑わいをみせている。物色人気に沸く銘柄群を少し距離を置いて俯瞰すると、企業のIT投資需要がそうした市場テーマの基盤を支えている構図が見えてくる。

 昨年12月の日銀による「全国企業短期経済観測調査」(日銀短観)によると、企業の2018年度のソフトウェア投資計画は前年度比11.6%増と2ケタ伸長を示し、期初計画の8.1%増から3.5%上方修正される見込みとなった。

 また、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると18年10-12月期は情報サービス業の売上高合計が前年同期比で5.4%の伸びと前四半期の伸び悩みから再び勢いを取り戻している。数年来鈍化傾向を示していた受注ソフトウェアも同期間に4%の伸びを示すなど好調だった。では、これが意味することとは何か。

●景気減速局面でも衰え知らずのIT投資需要

 18年10-12月期といえば停滞する中国景気が足を引っ張る形で企業業績の減速懸念が高まり、投資家もその向かい風を強く意識させられた期間である。マクロもその影響が顕著に出ている。日本国内でも景気リセッションへの警戒感が拭えない状況となっているが、それでも企業にとって構造的な人材不足への対応や普及するAIやビッグデータを活用することは、業界で勝ち残るために必須であることに変わりはない。安倍政権が看板に掲げる「生産性革命」は、ソフトウェア開発やシステム構築を主軸とする“IT投資革命”の着地点でもある。もはや企業が合理化に向けIT分野に経営資源を注ぐことは、時代の要請といってよい。

 そして、それを数字的に裏付けるのがNTTデータ <9613> を筆頭とするITサービス主要7社(他にNRI、伊藤忠テクノ、TIS、SCSK、日ユニシス、NSSOL)の業績である。18年4-12月期の7社売上高合計は前年同期比5%増と増収を確保し、営業利益は13%増と2ケタ伸長を示した。この流れは来期にも引き継がれる公算が大きい。例えばNTTデータは20年3月期についても製造・流通業界を中心に高採算の民間需要を取り込むことが予想され、今期予想比で2ケタ近い利益成長が期待できそうだ。

●サイボウズ、SIの次に来る銘柄は何か?

 ここ最近の東京市場でIT投資関連として株価を躍動させた銘柄では、グループウェアソフトを開発しシステムインテグレーション分野でも実績のあるサイボウズ <4776> が挙げられる。株価は2月末にマドを開けて上放れ、3月中旬を境に一気に上昇加速となり12年4ヵ月ぶりの高値圏に浮上。同社は19年12月期に営業利益段階で8億3200万円~12億3200万円と幅を持たせた予想を出しているが、足もとの勢いから通期は予想枠の上限を突破することも意識されている。

 また、前週23日(土)の株探トップ特集「時代の寵児、株価変貌ステージ第1章突入へ『新AI関連』5銘柄」で取り上げたシステムインテグレータ <3826> (=SI)も株価の居どころを一気に変えた。主力のERPパッケージが収益を牽引する一方、ディープラーニング技術を活用した製品やサービスに評価が高い。新AIサービス「アイシア アノマリー ディテクション」を昨秋から展開するほか、AIが自動で鮮度の高い情報に更新する会社情報検索サービスを実用化するなどその技術力が見直されつつある。株価は29日に972円まで上値を伸ばす場面があったが、利食いをこなしながら4ケタ大台活躍をにらむ。

 金融・通信向けを主力とする独立系SIであるシステム情報 <3677> [東証2]も異彩の上げ足をみせている。2月13日と3月14日にマドを開けて買われたが、その後はいずれもマド埋めを拒否したまま上昇を続けており、上値指向が極めて強い。生損保など大手企業向けシステム構築・更改案件の増加や、官公庁関連大型案件の継続的な取り込みで業績は拡大の一途をたどっており、株価は素直にこれを好感するかたちで最高値圏を舞う状況だ。

 更に、直近IPO銘柄では2月26日にマザーズに上場したリックソフト <4429> [東証M]がロケットスタートをみせ、セカンダリーでそのまま大相場に突入。目先こそ利益確定売りでいったん足を止めたが、戻り売り圧力のない真空地帯を疾走するパターンに入っている。同社は短期間でソフトを開発する「アジャイル開発」のツールベンダーとしてマーケットの熱視線を浴びた。19年2月期の営業利益は前期比倍増の見込みで、20年2月期も緩むことなく業績急拡大路線を走るとみられている。既に時価は公開価格4000円に対し3.5倍の水準だが、まだ上値の伸びしろを十分に感じさせる銘柄だ。

 そしてこの物色の流れは、今後更に横に広がりをみせていくことになるだろう。5G、RPA、サイバーセキュリテイー、キャッシュレス決済など現在の株式市場を賑わすテクノロジー系の有力テーマは、企業のIT投資という形で順次“現実買い”の舞台へとのし上がっていく。

 そこで、今回はIT投資関連の投資テーマに乗って、ここから株価を大きく変身させそうな有望株を5銘柄セレクトした。

●ここから“上値が大きい5銘柄”はこれだ

【アイティフォーはQR決済・RPAで再評価】

 アイティフォー <4743> は年初から上昇指向が鮮明だが、第3四半期決算発表を受け2月1日に一気に水準を切り上げた後、25日移動平均線に一度も触れることなく強力な下値切り上げ波動を形成している。同社は独立系のシステムインテグレーターで、金融機関などを主要顧客にネットワークの構築や債券管理システムで高実績を誇る。QRコード決済RPA分野にも傾注して企業の旺盛な需要を捉えている。今年に入ってから、まず1月にセコムトラストシステムズと協業で電子契約システムの提供を開始、2月にはSMSを活用したクラウド型の入金約束受付サービスを投入、更に同月に音声合成技術による自動CM制作サービス「アローボイスクリエーター」を発売するなど矢継ぎ早に布石を打っている。19年3月期は営業利益段階で前期比30%増の20億円と前期に続く大幅増益を見込み、20年3月期も2ケタの利益成長が有望視される。株価は早晩4ケタ大台ラインを通過点に一段の上値を目指す動きが想定される。

【朝日ネットはIoT新潮流に乗り成長加速も】

 朝日ネット <3834> は意外高の可能性を内包しており要注目となろう。株価は2013年以降、6年以上にわたり400円から500円台半ばのボックス圏を往来しているが、それだけにこの上限を突き破った時のインパクトは大きい。早晩、覚醒する公算が小さくない。ネット接続大手で、ネットサービスプロバイダーの「ASAHIネット」を運営している。接続サービスの品質評価は高く、昨年10月に法人向け新ネットワークにも展開しIoTやM2M(マシンtoマシン)市場の急成長を背景にPOSレジ、監視カメラ、デジタルサイネージといった分野で同社の技術力が開花しつつある。実際、同ビジネスが収益牽引役を担い業績は急成長トレンドに突入、19年3月期営業利益は前期比4割増の12億円と急回復を見込むが、来期もその成長軌道は継続する見込み。時価総額200億円以下の小型株で浮動株比率も10%程度と品薄感が強い。信用買い残も10万株程度、ひとたび人気化すれば株式需給面の軽さが浮き彫りとなりそうだ。

【ULSグループは戦略的IT特化で増額の嵐】

 ULSグループ <3798> [JQ]は好実態が際立っており、時価は底値買いのチャンスとなっている。3月に入り調整色を強めたものの11日と25日に1800円割れでダブルボトムを形成、特に25日は大幅な陽線をつけてトレンド転換を暗示している。ITシステムのコンサルティングを手掛け、流通や金融、製造業向けを軸にシステム設計及び構築で高い実績を持っている。戦略的ITに特化した布石を打ち、企業のIT投資が拡大するなかで、そのニーズの取り込みに成功している。19年3月期業績予想は期初の計画から2度にわたる上方修正を行っており、営業利益段階で前期比24%増の11億円を見込む。ちなみに18年3月期も期中に業績予想を増額している。会社側が慎重な予想を出す傾向があるのは確かだが、それと同時に、会社想定線を超えた企業のIT投資意欲の強さを示唆するものでもある。プロジェクト管理の取り組み強化により利益率も向上している。株価は早晩5日・25日移平均線のゴールデンクロス示現から2000円台での活躍が有望視される。

【ソルクシーズは休養十分で再び跳躍場面に】

 ソルクシーズ <4284> も目の離せない銘柄だ。群を抜く足の速さは2017年12月から18年1月初旬にかけての急騰相場で証明済み。この時は株価800円台から1900円台まで1ヵ月未満で駆け上がりマーケット関係者の視線を釘付けにした。休養十分の株価はここにきて再び助走を開始した。証券や保険など金融業界向けを主軸にシステムの受託開発を手掛ける。業務効率化に対する顧客需要を開拓し、19年12月期営業利益は前期比12.7倍の8億円と急回復を見込む。IoTソリューションブロックチェーンを活用したビジネスに経営資源を注ぐほか、クラウドサービス事業では100%子会社を新設し、分社化により顧客ニーズに迅速に対応できる体制を確立したこともポイント。3月14日に発行済み株式数の6.4%に当たる80万株を上限とする自社株買い実を発表するなど株主還元姿勢も評価される。

【TDCソフトは“アジャイル開発”で注目】

 TDCソフト <4687> の800円台後半のもみ合いは仕込み妙味が大きい。2月25日に上ヒゲで999円まで買われたが、13週移動平均線を足場に4ケタ大台に再チャレンジする展開が見込めそうだ。独立系のシステム開発会社で同社も金融向けで優位性を持つ。AIやIoT技術のビジネス分野への浸透を背景に、顧客からの信頼を勝ち得ることを第一義とした経営戦略を推進する。官公庁向け案件に強く、クラウドインフラの更改需要などで収益基盤は安定している。また、前出のリックソフトでも取り上げたが、反復期間を設けその反復ごとに機能を追加していく“反復増加型”の開発プロセスを特長とする「アジャイル開発」に傾注、独自ノウハウで顧客企業に提供しており、見直し買いを呼び込む可能性がある。19年3月期営業利益は前期比16%増の21億5000万円と3期連続で2ケタ増益を見込む。20年3月期も増益トレンドが続く見通しだ。

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