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【特集】木徳神糧 Research Memo(1):米穀卸大手の一角。日本の米市場の先行きは不透明だが長期的には卸大手には追い風


■要約

木徳神糧<2700>は、米穀の販売を主力とする食品卸会社である。米穀卸としては国内3強の一角を占める。米穀以外には、鶏卵、加工食品、飼料などを扱っている。

1. 2018年12月期決算(実績):主力の米穀事業が増収・増益となり全体の業績をけん引
2018年12月期決算は、売上高が114,345百万円(前期比8.5%増)、営業利益802百万円(同23.6%増)、経常利益827百万円(同15.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益283百万円(同67.7%減)となった。主力の米穀事業において、MA米※を中心に販売数量が増加したことに加え、価格も比較的高値で推移したことから増収・増益となった。その他の事業も比較的堅調に推移し、営業利益、経常利益は前期比で2ケタの増益となった。一方で親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に旧本社跡地等の売却益などを特別利益として計上したこと、さらに当期に台湾子会社の減損損失を特別損失として計上したことなどから前期比67.7%減の大幅減益となった。ただし、これらの損失は評価損であり現金の流失を伴う損失ではないので、キャッシュポジション(現預金残高)には影響していない。

※MA米(ミニマム・アクセス米):最低限輸入しなければならない外国産米で、政府米として扱われる。国が入札に参加した輸入業者を通じて買い上げる。国が買い入れたMA米は、国産米に極力影響を与えないようにするため、価格等の面で国産米では十分に対応し難い用途(主としてみそ、焼酎、米菓等の加工食品の原料用や飼料用、援助用など)を中心に販売される。MA米の一部について、国家貿易の枠内で輸入業者と実需者の直接取引を認めている。これをSBS(Simultaneous Buy and Sell:売買同時契約)米と呼ぶ。


2. 2019年12月期(通期予想):今後の米価等が不透明であり慎重に微減益予想
2019年12月期通期の業績は、売上高112,000百万円(前期比2.1%減)、営業利益700百万円(同12.8%減)、経常利益700百万円(同15.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益460百万円(同62.5%増)と予想されている。主力の米穀事業では大手外食チェーンやコンビニエンスストア向け需要は引き続き好調が続くと予想されているが、平成31年(2019年)産米の作付けや作柄が現時点では不透明であることから慎重な見通しとなっている。なお親会社株主に帰属する当期純利益は、前期(2018年12月期)に台湾子会社の減損損失(特別損失)を計上したことから前期比では大幅増益となる見込み。

3. 日本の米市場の先行きは不透明ながら中長期では追い風
米国がTPPから離脱し、さらに自民党政権とJA全農等の農業団体との関係も綱引きが続いており、この先の日本の米市場の動向は不透明感が増している。しかし中長期的には米市場の自由化は進むものと予想され、同社のような大手米卸会社にとっては追い風と考えられる。JA全農が同社と業務・資本提携を行ったことなどは、その傾向の現れとも言えるだろう。

■Key Points
・2018年12月期の営業利益は2ケタ増益
・2019年12月期は減益予想だが、不透明感から慎重な見通し
・中長期的には国内米市場の変化は大手卸には追い風。JA全農と業務・資本提携

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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