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【特集】「マイス」でナイス! 翻訳、会場など国際会議関連株に意外高の芽<株探トップ特集>

地域活性化はもとより、ビジネスイノベーション機会の創造や更なるインバウンド需要拡大に貢献するマイス(MICE)とは何か。その基本コンセプトと浮かびあがる関連銘柄にスポットライトを当てた。

―築地市場の再開発でも要注目、マイスによる経済波及効果は1兆円超え―

 MICE(マイス)を巡る動きが加速している。いまひとつ浸透していない言葉だが、マイスとはMeeting(企業会議、大会研修会)、Incentive(報奨・研修旅行)、Convention(学会などの国際会議)、Exhibition/Event(国際見本市、展示会)の頭文字をとったもの。その裾野は広く多くの集客が見込まれることから、地域活性化、ビジネス・イノベーション機会の創造に加え、更なるインバウンド需要拡大にもつながるとして期待されるイベントの総称だ。政府も積極推進の構えにあり、関連銘柄を巡る動きも今後スポットライトが当たりそうな気配だ。マイス推進の動きと関連株の動向を追った。

●築地市場跡地、マイスでいらっしゃい

 観光庁によるマイス開催・誘致推進についての発表によると、2017年の世界全体における国際会議開催件数は1万2563件、そのうち日本における国際会議開催件数は414件で世界7位だという。13年に閣議決定された「日本再興戦略」においては、「30年にはアジアナンバーワンの国際会議開催国としての不動の地位を築く」という目標が掲げられたが、その道のりは険しく、更なる誘致推進が求められていた。マイス推進はまだ緒に就いたばかりで、ここから大きく伸びる可能性が高いと考えることができる。

 東京都もマイス誘致推進に向けた動きを強めそうだ。都は、今年1月に旧築地市場再開発の素案「築地まちづくり方針」を発表、そのなかで「将来像」として国際会議場などの機能を中核としたマイスを推進すると発表。築地市場の跡地利用について、小池都知事の「食のテーマパーク」といった従来の構想は色彩を弱める格好となった。また、安倍首相肝煎りの統合型リゾート(IR)ではカジノばかりに目が向きがちだが、実は国際会議場、展示場などのマイス施設の設置も謳われている。

●経済波及効果は1兆590億円

 観光庁によれば、16年度のマイス全体の総消費額は約5384億円、経済波及効果は約1兆590億円と推計。経済波及効果の内訳としては、「企業会議」約1614億円、「報奨・研修旅行」約569億円、「国際会議」約6789億円、「展示会」約1618億円としている。なかでも国際会議は、断トツの波及効果があり前年比15%の増加と急速に拡大していることが分かる。

 経済波及効果が大きい国際会議だが、この開催のためには“あるもの”が必要となる。もちろん、新たな会議場の設置は急務だが、まず注目したいその“あるもの”とは通訳・翻訳業務だ。国際会議において同時通訳は必須で、大きな恩恵を受けることになる。インバウンド需要が拡大するなかで、株式市場でも一躍脚光を浴びた翻訳関連株だが、国際会議において必要とされる同時通訳となると、関連銘柄は多くはない。

●翻訳センターは「ニーズ拡大に期待」

 同時通訳では、翻訳センター <2483> [JQ]に注目。同社は、医薬、工業、特許、金融・法務分野など幅広い専門分野で翻訳事業を手掛ける大手。グループのISSは通訳者・翻訳者の養成から、通訳サービス、国際会議などのコンベンション運営や人材派遣・人材紹介に至るまで、各種語学でプロフェッショナルサービスを展開している。翻訳センターでは今後増加する可能性の高い国際会議について、「(築地市場跡地利用といった)東京都の取り組みなど、今後のニーズ拡大については期待している」(経営企画室)と話す。また、機械翻訳のクラウドサービスMirai Translatorの販売も手掛けており、さまざまなニーズを捉える構えだ。株価は、昨年10月1日に3350円の高値を付けて以降は調整を強いられ、ここ2300円近辺でもみ合う。出来高流動性に乏しいものの、今後の展開に期待がかかる。

●ロゼッタ、ソースネクストにも活躍期待

 また、国際会議では学術会議も多く、当然専門用語翻訳の重要性も高まると予想される。前述の翻訳センターに加え、専門用語に強い機械(自動)翻訳に関連する銘柄にも活躍の舞台は広がりそうだ。

 こうしたなかロゼッタ <6182> [東証M]にも目を配りたい。自動翻訳システム「T―4OO」を手掛け、医薬・化学・機械・IT・法務・金融など専門分野の翻訳を「最大精度95%=プロ翻訳者に匹敵する正確さ」で行う。同社は、1月11日大引け後に19年2月期第3四半期累計を発表、連結経常利益が前年同期比22倍の1億7900万円に急拡大して着地。「T―4OO(ver.2)」の売り上げが急増したことが寄与した。スピード翻訳の買収効果や前期に子会社エニドアののれんを償却した反動に加え、HT(人間翻訳)事業で販管費を削減したことも大幅増益の要因となった。この好決算を受けて週明け15日に株価は急伸、1800円水準から16日には上ヒゲで2570円まで買われた。現在は上昇一服も2200円近辺で推移している。

 ある業界関係者は「翻訳市場全体としては、(国際会議の増加は)もちろん好影響につながると考えている。ただ、専門分野の機械翻訳については、現時点では国際会議でのニーズはあまり多くないというのが実情だ」という。ただ、「将来的には、活躍領域の拡大につながる可能性もある」(同)と期待感も話す。

 また、マイス拡大は更なるインバウンド需要の拡大につながることが予想され、74言語に対応する通訳機「ポケトーク」を擁するソースネクスト <4344> にも改めて注目したい。同社は1月25日、「POCKETALK(ポケトーク)W」に関して、総務省から技術基準への適合について必要な措置を講ずるよう要請を受けたと発表。こうしたことを受けて、株価は軟調展開を強いられ現在は600円手前にあるが、そろり値ごろ感も。なお、同社は技術基準に適合させるためのアップデータ配信を同日付で開始している。

●会議場でTKP、テーオーシーの出番

 前述のように、マイス推進で新たな国際会議場の建設は急務だ。これからの国際会議場は、単なる施設というだけではなく、地域活性化の中核を目指すだけに、周辺設備などの整備なども加わり、建設株などが恩恵を受けることになる。ただ、マイスは大型の会議だけではなく、グループ企業やパートナー企業を集めての企業会議、研修会などの推進も目指しており、分科会などを行う中・小規模の会場も必要になる。

 ここではティーケーピー <3479> [東証M]、テーオーシー <8841> など会場に絡む銘柄に活躍の場が広がりそうだ。ティーケーピーは1月15日の取引終了後に発表した第3四半期累計を発表、売上高が前年同期比25.2%増の266億6200万円、営業利益は同14.8%増の34億9300万円2ケタ営業増益だったものの、期待されていた上方修正がなかったことから失望売りが出て株価も下落。3800円水準にあった株価は、発表翌日には大幅に売られたものの下ヒゲでつけた3180円を底に持ち直し、現在は3500円近辺でジワリ切り返す動きも見せている。高品質な貸会議室・宴会場の需要が増加していることを背景に、上位グレードである「ガーデンシティPREMIUM」「ガーデンシティ」「カンファレンスセンター」の利用が大きく増加したほか、インバウンド旅行客や宿泊研修の増加を受けてビジネスホテルや宿泊研修ホテルの需要も伸長している。

 テーオーシーは卸売、流通業を支援するマーケットセンターの運営を背景に、展示会・会議室の運営にも注力。同社は、日本有数の複合的コンベンションエリアに有明地区に約3000平方メートルのスペースを持つ「TOC有明Convention Hall」を擁しており、少人数から最大1500人レベルまでのセミナー・試験、展示商談会・レセプションなど目的に応じた利用ができるという。また、会場関連では帝国ホテル <9708> [東証2]も面白い存在だ。国際会議にも利用できる大規模な宴会場を有しており、関連銘柄の一角として目を配っておきたい。

●XRで攻勢かけるチェンジ

 マイス推進の恩恵は、通訳、会場以外でもさまざまな分野に波及しそうだ。チェンジ <3962> は1月28日、大型ホテルや商業施設、大型MICE施設などが一体となったIR(統合型リゾート)において、XR(VRやARなどの総称)技術を用いた観光地案内サービスを提供すると発表。同サービスは、IRを推進する企業や政府、自治体などと連携。日本国内に存在する魅力的な観光地を最新のテクノロジーを使って疑似体験し、実際に送客していく仕組みを提供するとしている。株価は、年初の全体相場波乱もなんのその高値圏を舞う展開だ。

 また、バーチャル展示場を展開するアイティメディア <2148> [東証M]にも注視しておく必要がありそうだ。株価は昨年末から調整を続け、現在は底値圏である400円近辺での下値模索の展開だがマイス関連として思惑買いを誘う可能性もある。

 動き出すマイス推進の動き。聞きなれなかった名称から、ジワリ株式市場でも認知されるテーマ株として浮上の気配。マイスでナイス、いま走り出そうとしている。

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