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【特集】窪田朋一郎氏【米経済好調でリスクオン、日経平均の上値は】(1) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

―決算発表を絡め思惑が入り乱れ、舵取りに難しさも―

 週明け4日の東京株式市場では、日経平均株価が続伸。注目された米1月の雇用統計など好調な米経済指標が投資家のセンチメントを改善させ、リスク選好の流れのなか、外国為替市場でもドル高・円安が進行して全体相場を後押しした。今週は週末にオプションSQを控えるなど先物主導で思惑含みの値動きも想定される。企業の決算発表も中盤に入り、個別株の明暗も分かれている。ここからの相場展開をどう見るか、先読みに定評のある市場関係者2人に当面の見通しを聞いた。

●「2月下旬にかけて2万1500円近辺うかがう」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 株式市場は目先リスクオンを示唆する材料が相次いでいることで、もうしばらく戻り相場が続くとみている。日柄的には今月下旬にかけて日経平均は上値を試す展開を想定。上値メドとしては、全体相場が急落する直前の昨年12月17日終値2万1500円ラインが意識される。

 米中貿易協議の進展度合いが全体相場の強弱に大きな影響を与えることになるが、直近では中国側が対米輸入を大幅に増やすなど譲歩する姿勢を示し、米中協議がまとまるとの思惑が浮上している。トランプ米大統領は、2月下旬の米朝再会談の前に習近平国家主席と会談するとの観測もあり、その場合は何らかのポジティブな話が顕在化する可能性がある。また、FRBの金融政策がハト派的に変わってきたことに加え、直近の雇用統計などで米経済の強さが改めて確認されていることなども株式市場に追い風をもたらしている。ドル・円相場についてはFRBの政策スタンスから円高方向に傾いても不思議のないところだが、当面はリスクオンの流れを映し、今のような円安環境が続く公算が大きいとみている。

 ただし、全体相場の戻りがこのまま中期的に継続するとは考えていない。日経平均などをみると、確かに海外市場と比較してPERなど株価指標面の割安感は強いが、今回の企業の四半期決算発表では下方修正も多く、ファンダメンタルズを拠りどころにした中長期の腰の入った買いは入れにくくなっている。1月第4週に現先合わせて日本株を2週連続の買い越した外国人投資家も、出遅れ感を理由に実需の買いを入れているようには見えず、今はまだ買い戻しの域から脱していないだろう。したがって、日経平均2万1500円ラインを目先の天井に再び下値模索の展開が予想され、3月末にかけて2万円前後まで調整する可能性があるとみている。

 当面の投資対象としては、まず次世代通信規格の5G関連が挙げられる。アンリツ <6754> の上昇などが先導して物色人気が横に広がりつつある。さらに、コマツ <6301> や安川電機 <6506> など中国関連も、米中貿易協議の落としどころが見えてくれば短期的に買い戻しに弾みがつくケースも考えられる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウオッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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