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【特集】田部井美彦氏【凪状態は続くのか? 2月相場の海図を読む】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―日経平均2万円台で気迷いムード、ここからの相場展望―

 週明け28日の東京株式市場は軟調な地合いとなった。日経平均株価2万円台はキープしているものの、2万1000円ラインはなかなか突破できないでいる。安定の中にあって先高期待が盛り上がるという感じもなく、これは全体売買代金の薄さにも映し出されている。国内企業の四半期決算発表本格化で手掛けにくさがある2月相場。物色の方向性も含め、第一線で活躍する市場関係者にここからの展望を聞いた。

●「2万2000円突破には新たな買い材料が必要」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 今週から10-12月期の決算発表がスタートすることで、19年3月期通期業績予想の内容を確認しながらの個別株物色の色彩が強まりそうだ。更に、来週からは、各企業によるアナリスト向けの会社説明会が本格化することで、企業側との質疑応答のなかから来期の20年3月期業績見通しの輪郭が見えてくる可能性もある。

 今後の日経平均は、昨年12月上旬に下落トレンドに転じた時点の2万2000円水準を超えて上昇するためには、新たに明確な買い材料が必要とされることから、11月と12月の高値を突破してくるのは、新年度に持ち越されそうだ。下値は、12月下旬につけた昨年来安値(終値ベースで1万9155円=25日)で、これは20年3月期の最終利益を8%減益見通しとした場合のPER12倍に相当するため、今後この水準を下回る可能性は限定的といえる。

 個別銘柄では、連日売買代金が低水準にあるなかで新興市場の銘柄に関心が集まりそうだ。まず注目したいのは、ゴルフクラブシャフトの製造を主力としているグラファイトデザイン <7847> [JQ]だ。今年は米ゴルフツアーのPGAレギュラーツアーが日本で初めて開催されるのに加え、2020年東京五輪の競技としてゴルフが実施されるなど、ゴルフ用品業界に追い風が加速している。同社は2月期決算の期末一括配当で、配当利回りは3.75%と高水準にある。

 二つ目は、プロジェクトマネジメント(PM)実行支援を柱としてコンサルタント事業を展開するマネジメントソリューションズ <7033> [東証M]。企業のIT投資が活発化しているのに加え、投資家に対してより内容の充実したIR活動が求められるという環境の変化が同社の活躍場面を広げている。19年10月期の連結業績は、前期比で30%増収、同30%営業増益と大幅な増収増益を見込んでいる。

 三つ目は、深層学習など人工知能(AI)アルゴリズム機能を開発・提供するPKSHA Technology <3993> [東証M]だ。同社は東京大学発のAIベンチャーで、機械学習や深層学習を駆使して業務効率化のアルゴリズムモジュールとアルゴリズムソフトウェアを開発しており、金融や医療分野、外食、小売向けなど幅広い業界で需要を取り込むことに成功している。19年9月期の連結業績は、前期比で66%増収、同51%営業増益と大幅な増収増益を見込んでいる。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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