【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 逆張りの買い向かう“転落企業”に注目
株式アドバイザー 北浜流一郎
「逆張りの買い向かう“転落企業”に注目」
●株式市場の風向きに変化
短期の市場トレンドを示す日経平均株価の25日移動平均線は、まだ下を向いたままだ。しかし、日足は一度25日線を突き抜けたあと反落、25日線で止まって反発に転じている。
これはもちろん好ましい動きであり、数日上げては数日下げ、また上がる形が市場回復局面で見られた場合、その後、本格的な戻りとなることが多い。
日々の動きが、小刻みであることも好ましい。すでに投資しているのであれば、一気に大幅高してくれた方が有り難い。しかし、そんな形は長続きしないのが常。そのため、結局は小刻みな上下動を繰り返しながらの回復、これが好ましいことになる。
それに、個々の銘柄の好材料への感応度が高くなっているのも好ましい。市場環境が悪化したままなら、どんなに好材料が出現しても株価はそれに無反応、下げてしまうことさえある。
しかし、自社株のTOBと配当引き上げを発表した新明和工業 <7224> 、約17年ぶりに自社株買いを実施する旭化成 <3407> 。KDDI <9433> が最大1000億円規模を出資すると報じられたカブドットコム証券 <8703> 。これらの株価はいずれも一斉買いされ、値を飛ばした。
残念ながら材料が明らかになった時にはもう値が飛んでいるので、実際には投資対象にはしにくいが、市場が好材料に素直に反応するようになっている。この事実が具体化しているだけで十分意味がある。
東京市場の風向きが、明らかに変わりつつあると見てよいからだ。
では、気になることはないのか。こういうことになろうが、もちろんそれはある。
米国では一部政府機関の閉鎖がまだ続いているし、米中貿易協議も一応順調に進んでいるとのことではあるものの、具体的な進展の度合いはまったく不透明なままだ。
当然、これらに対する警戒&注意は怠れないものの、投資においては「市場のことは市場に聞け」が常に正しい。そこで、ここではわれわれも素直に「市場のことは市場に聞け」、つまり「市場の動きに従え」を実行するのが良策になる。
●敢えて狙うは東芝、KYB、日産など
そこで具体的には、業績悪化、不祥事、不正などにより経営が傾く、社会の厳しい糾弾を浴びる、経営者の個人的なパフォーマンスが批判された、などの企業に敢えて注目だ。
それらの中にはすでに逆張りの買いを集めつつある銘柄があるからだ。
まずは東芝 <6502> [東証2]だ。なお厳しい経営が続いているものの、最近ではテレビCMを流すなど、少し余裕が出てきている。
免震装置ダンパーの不正が明らかになり、激しい糾弾を浴びたKYB <7242> も、最近ではほとんどマスコミに取り上げられなくなり、それとともに株価は超スローペースながら浮上に転じている。
いつ経営破綻してもおかしくないと見られていた大塚家具 <8186> [JQ]も、意外な粘りぶり。株価は意外高中だ。ただ、一般的にはやはりリスクが高いと見るのが自然。この点を割り切って投資ができる人向けになる。
ついにゴーン氏がルノーの経営から手を引くことが明らかになった日産自動車 <7201> も、独自経営を勝ち取ったわけではないが、これまでよりは経営しやすくなると見てよく、株価も期待が持てる。
SUBARU <7270> はどうか。かつて輝いていたこの会社は、いまでは泥まみれ状態ながら、蘇生に向けた努力はしており、時間をかけられるなら投資OKだ。
最後にZOZO <3092> を。大手アパレルメーカーがZOZOへの出店を引き上げつつあるとの報道で株価が下げている。社長の個人的なパフォーマンスに対する批判も引き続き強烈なため、株価はまだ底を打ったとは言い難いが、天才経営者に率いられている会社だ。このまま沈没してしまうことは考えらない。現在水準あたりの投資なら安全度は高いと見る。
2019年1月25日 記
株探ニュース