【特集】雨宮京子氏【気迷いムード? 戻り相場の行方と物色対象を読む】(1) <相場観特集>
雨宮京子氏(SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー)
―中国景気減速への懸念織り込むも、上値追いには慎重―
週明け21日の東京株式市場は日経平均株価が続伸したものの、前場中盤を境に利益確定売り圧力に押された。その後、中国の経済指標発表後に上海株が堅調な値動きを示したことで、持ち直す動きをみせたものの上値も重い。後場終盤に再び上げ幅を縮小した。足もとやや気迷いムードのみられる相場だが、2月相場入りを前に投資家はどういったスタンスで臨むべきか。マーケットの先読みに定評のある市場関係者に、当面の相場見通し及び物色対象について意見を聞いた。
●「上値メド2万1500円、中小型株で攻める」
雨宮京子氏(SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー)
株式市場全般は目先上値が重くなっているものの、流れとしては“節分天井”を想定しており、日経平均はまだ上値余地がありそうだ。テクニカル的には5日・25日移動平均線のミニゴールデンクロスを示現していることもあり買い方に分がある。上値は機関投資家の売り圧力が強い昨年3月30日の終値2万1454円をひとつの戻りメドとみている。また下値については昨年の“ブラッククリスマス”で底値は確認しており、今後調整局面に入ったとしても12月26日ザラ場の1万8948円が強力な車輪止めになると考えている。
これから四半期決算発表期に突入するが、企業のガイダンスリスクは限定的だろう。中国関連株の業績不振が浮き彫りとなっているものの、日本電産 <6594> が衝撃的な下方修正を発表しても、その後の値運びは驚くほど強い。安川電機 <6506> のケースも同様だが、中国の実勢悪は前倒しで織り込んだ効果でそれほど全体相場に影響を与えておらず、むしろ買い戻しを誘発している点に着目したい。
物色の方向性はマザーズ市場の戻りが顕著なように、中小型材料株優位の流れにある。チャート面で食指の動く銘柄は数多く、ここは「強い銘柄につく」という基本に立ち返って銘柄を選別したいところだ。
個別銘柄では、まずレノバ <9519> に注目。世界全体は再生エネルギーをフォローする動きが強まっており、同社はFITによる再生可能エネルギーの発電事業のみに特化し不安定な小売部門を一切持たないことがポイントとなっている。また、バイオ関連では疼痛疾患に強みを持つ 創薬ベンチャーで黒字化が近いとみられるラクオリア創薬 <4579> [JQG]をマークしたい。値動きの速い小型株でアサカ理研 <5724> [JQ]も面白い。同社はヘッドマウントディスプレーを利用した省力化ツールの開発が伝わったが、時価は底値圏離脱の初動と捉えられる。このほか、化学メーカーが注目する「モビリティ」の本命株として強気の中期計画を掲げるデンカ <4061> も狙える。
一方、底値買い対象としてはアプリ制作を手掛け業績変化率の大きいイグニス <3689> [東証M]に意外性がある。また、企業の営業支援を行い働き方改革のテーマに乗るブリッジインターナショナル <7039> [東証M]も妙味が大きいとみている。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー。元カリスマ証券レディ。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。
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