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【通貨】為替週間見通し:ドルは弱含みか、世界経済の減速懸念強まる

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

【先々週・先週の概況】
■世界経済の減速を警戒して円買い継続

先々週・先週(12月24日-1月4日)のドル・円は軟調推移。世界経済の減速に対する警戒感が高まり、リスク回避的な円買いが優勢となった。トランプ米大統領が貿易摩擦を巡る米中交渉の進展を示唆したことを好感して、米国株は一時強い動きを見せたが、米国政府機関の一部閉鎖が続いていることや、米長期金利が低下したことを嫌気してドル買いは拡大しなかった。中国の12月製造業PMIと財新12月製造業PMIはいずれも節目の50を下回ったことはドル売り材料となった。

米アップル社が中国経済の減速を理由に10-12月期の売上高見通しを下方修正したことを受けて、1月3日早朝のアジア市場でドル・円は急落し、一時105円を下回った。ドル・円はまもなく107円台に反発し、同日の欧米市場で108円台前半まで戻したが、世界経済の減速に対する警戒感は低下せず、ドル・円は108円台で上げ渋った。

4日のニューヨーク外為市場でドル・円は、108円00銭から108円59銭まで反発。この日発表された12月米雇用統計で、非農業部門雇用者数は市場予想を上回ったことが好感された。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、金融市場の動向や景気次第で政策を速やかに修正する柔軟な姿勢を示したこともドル買いを促す一因となった。ドル・円は株高や米長期金利の反発を意識して底堅い動きとなり、108円52銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:104円87銭-111円41銭。

【今週の見通し】
■ドルは弱含みか、世界経済の減速懸念強まる

今週のドル・円は弱含みか。世界経済の減速懸念が広がるなか、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げシナリオ下方修正への思惑が広がっている。12月の米雇用統計は強い内容だったが、製造業関連の指標は悪化しており、リスク回避的なドル売り・円買いは継続する可能性がある。4日の米国株式は大幅反発となったが、株式相場が本格的に反転するとは言い切れないため、株安の局面で円買いを誘発する可能性もあろう。

昨年12月31日に発表された中国製造業PMIと1月2日発表の財新製造業PMI(中国)はいずれも景気判断の節目(好不調の境目)である50を割り込んだ。それを受け、世界経済の減速は鮮明となった。米FRBは12月18-19日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の3カ月ぶり引き上げを決定した。同時に公表された2019年の金利見通しから、利上げペースは9月時点の3回から2回に引き下げた。12月FOMC会合の詳しい内容は9日公表の議事要旨で確認されるが、ハト派寄りの意見が多かった場合、利上げ打ち止めの思惑からドル売り再びが強まる可能性がありそうだ。今週は12月の米消費者物価指数(CPI)など主要経済指標の発表が予定されており、それらの数字が低調だった場合、金融政策への影響を警戒してドル売りが優勢となる可能性がある。

なお、トランプ米大統領とペロシ米下院議長ら民主党指導部は4日、米政府機関の再開を巡り協議したが、争点となっているメキシコ国境の壁建設費用を巡って対立は続いており、政府機関のすみやかな再開は難しい状況となっている。トランプ大統領は国境の壁建設をめぐる予算獲得に関し、議会に譲歩しない方針を表明し、自身も壁建設に向け非常権限を行使する可能性を示唆した。政府機関の閉鎖が長引いた場合、株式市場に悪影響を及ぼす可能性があり、株安・ドル安の要因となることから、政府機関再開を巡る協議の行方を注視する必要がある。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(9日公表予定)
FRBは9日に12月18-19日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表する。この時に政策金利を2.00%-2.25%から2.25%-2.50%に引き上げている。議事要旨の内容によりハト派色が強まれば、長期金利の低下とドル売りを誘発しよう。

【米・12月消費者物価指数(CPI)】(11日発表予定)
11日発表の消費者物価指数(CPI)は、11月は前年比+2.2%と予想と一致し、コア指数は+2.2%と10月実績を上回った。12月のコア指数が前年比+2.0%を上回る水準を維持できるかが焦点となりそうだ。

予想レンジ:106円50銭-109円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

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