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【特集】伊藤智洋が読む「2019年 日米マーケット・シナリオ」 <新春特別企画 第2弾>

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

◆NYダウ、当面1万9222ドルを目指す展開か

  NYダウは、2018年12月26日までの時点で、2万1712ドルまで下げています。

 18年10月の高値2万6951ドルからの下げ幅は、5159ドル幅となっています。この値幅は、09年3月以降の上昇局面で最も値幅の大きな調整場面となった15年5月の高値1万8351ドルから8月の安値1万5370ドルまでの下げ幅2981ドル幅よりも大きな動きになっています。

 18年10月からの下げ幅を考慮すると、この下げは、上場来で最大の下げ幅となる07年10月の高値1万4198ドルから09年3月の安値6469ドルまで(7729ドル幅)と同程度の調整場面へ入っているか、18年10月の高値が大天井となってすでに大勢の下降局面へ入っているかのどちらかが考えられます。

 どちらの展開となる場合でも、まずは07年10月以降の下げ幅(7729ドル幅)と同程度の下げ場面を経過すると考えられます。その場合、当面の下値目標値は1万9222ドルが挙げられます。

 NYダウが1万9222ドルを目指す展開になる場合、過去の値動きの性質から推測できるシナリオは、「2月から3月頃の期間で到達する(2003年、2009年と似た展開)」、「2019年、1年をかけて1万9222ドルまで下げる(2001年、2002年と似た展開)」という2通りが考えられます。

◆米国株シナリオ(1)…2003年、09年と似た展開

 2月から3月にかけて1万9222ドルまで下げる動きになる場合、12月26日からの反発は、11月23日以降と同程度の上げ幅となる2万3424ドル、または10月29日以降と同程度の上げ幅となる2万3868ドル付近で止まり、1月の早い時期から下げの流れへ入ると考えられます。

 1月中に再度2万1712ドルまで下げる動きを経過して、2万1712ドル以下の下値余地を確認する作業を経た後、2月以降、さらに一段安となり、1万9222ドルを目指す展開が考えられます。

 2月以降の下げは、1月30日のFOMC(連邦公開市場委員会)がきっかけになると考えられます。結果を確認して一気に下げ幅が拡大する展開が考えられます。

◆米国株シナリオ(2)…01年、02年と似た展開

 2019年に1万9222ドルへ到達する場合、目標を達成できる時期は、前述した2~3月の時期か、10月頃が考えられます。

 年の前半は、比較的下値堅く推移しやすいため、前述したような下げ場面があらわれず、価格が堅調に推移する可能性があります。その場合、1万9222ドルの達成は10月頃になると考えられます。

 12月26日の安値2万1712ドルでの下値堅さをはっきりと確認できていないため、1月にいったん2万1712ドルを試す動きを経過して、2万1712ドル以下で押し目をつける動きになった後、2~3月、または5月頃までの期間で上値を試す流れへ入ります。

 1月中に下値堅さを示すと見る理由は、1月のFOMCが弱気に評価されない展開になると推測できるからです。(1月のFOMCが弱気に評価される場合、その後の下げ幅が大きくなり、3月のFOMCまで弱気の流れに変化があらわれない可能性が出てきます。そうなると、3月頃までに1万9222ドルへ到達する可能性が出てきます。)

 3~5月の上昇は季節的な上げに過ぎないため、1月の高値が意識される格好で上値を抑えられて、その後、10月へ向けて1万9222ドルを目指す流れへ入る展開になる公算です。

◆日経平均株価、今後の展開は

  日経平均株価は、2018年10月の高値2万4448円が08年10月の安値6994円からの上昇の終点となって、現在が上げ幅全体の調整局面へ入っているか、15年6月以降が上値、下値を切り上げるジグザグの流れの途中で、15年6月高値2万0952円から16年6月安値1万4864円までの下げ幅(6088円幅)と同程度の下げ場面へ入っているかのいずれかが考えられます。

 前者なら、16年6月の安値1万4864円前後まで下げ余地があるので、来年は1年をかけて1万4864円を目指すと考えられます。

◆NYダウが3月までに1万9222ドルへ下げる場合の下値の目安と下げ方は?

 NYダウが前述した2通りの展開のどちらになる場合でも、日経平均株価は10月2日以降の下げがきれいな5つの波のパターンを作り、1~3月の期間のいずれかで1万8360円(18年10月2日2万4448円から15年6月以降の下げ幅6088円を取る)へ到達する可能性があります。

 カウントは、10月26日が1波の終点、12月3日が2波の終点、12月26日が3波の終点で、年明け後、4波の終点を2万675円前後でつけた後、最終段階の5波の下げ局面へ入ります。5波の終点は、1月下旬から3月上旬頃までの期間でつけると考えられます。

 NYダウが3月頃までの期間で1万9222ドルを目指す動きになる場合、現在の値位置から3000ドル幅以上の下げ場面を2~3カ月で経過することになります。

 18年1月から2月にかけての下げ場面では、NYダウが3200ドル程度の下げで、 ドル・円がほぼ変わらずで、日経平均株価が2500円以上の下げ幅となっています。

 この動きを考慮すると、NYダウが3月までに1万9222ドルまで下げる展開になる場合、日経平均の下値の目安は1万7000円台になると考えられます。3月頃までの期間で、1万8000円以下を目指す動きになる公算です。

◆NYダウが年後半に1万9222ドルを目指す場合の展開は?

 NYダウが年の後半に1万9222ドルを目指す展開になる場合、1月中に18年12月6日安値の2万1712ドル前後まで下げた後、再反発を開始すると考えられます。

 日経平均株価は、1月中に1万8948円を割れて、5波の終点を確認した後、4月、6月頃までの期間で上値を試す流れへ入ります。このときの上値の限界は2万1000円程度が挙げられます。

 4~6月の期間で戻り高値を確認した後は、10月頃までの期間で、値幅と日柄の伴った下げの流れへ入ります。

 こちらの展開になる場合、NYダウの下げ余地が十分にあること、年の後半へ向けて、ドル・円が円高へ大きく向かう可能性があることなどから、日経平均株価は1万7000円台で下値を支えられず、16年6月安値の1万4864円を目指す動きになる可能性が出てきます。

◆2月に安値を更新する超弱気の年の経験則

 筆者は18年12月に「勝ち続ける投資家になるための 株価予測の技術[決定版]」という本を出版しました。この本の92頁以降に詳しく書きましたが、9月から翌年1月までの安値を2月に割り込んだ年は、政府・日銀が大規模な経済対策や金融緩和を実施することで、年内に底値をつけて、1年以上継続する大幅な上昇の流れへ入っています。

 19年は、4月に統一地方選、7月に参議院選挙、10月に消費税引き上げがあります。

 安倍首相が目標とする憲法改正の国民投票へ向けた流れを作るためには、選挙に勝たなければなりません。

 2月に安値を更新するなら、政府が景気を押し上げるのに有効な手を打つ可能性があります。現時点で考えられるのは、10月の消費税引き上げを延期、または廃止することです。

 日銀はFRBが緩和方向へ舵を切れば、3月の会合で追加の量的緩和を決断することも考えられます。そのような行動があれば、日経平均株価は本年の安値が底値になって、1年以上継続する上昇局面へ入る可能性が出てきます。 (2018年12月28日)


情報提供:パワートレンド=伊藤智洋のPower Trend

【伊藤智洋 プロフィール】
1996年に投資情報サービス設立。メールマガジン、株価、商品、為替の市況をネット上で配信中。「株の値動きは4回のうち3回当てられる」(KADOKAWA)、「儲かる! 相場の教科書 ローソク足チャート 究極の読み方・使い方」(日本実業出版社)など著書多数。

◆伊藤智洋のチャート分析の決定版◆
最新刊「勝ち続ける投資家になるための 株価予測の技術[決定版]」(日本実業出版社) ─ 2018年12月7日発売


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