【市況】米国株式市場見通し:雇用統計良好も米中貿易摩擦は長期化
先週は、雇用統計で非農業部門雇用者数が大きく増加したほか、平均時給の伸びも予想を上回り、米経済の堅調さが示された。しかしながら、米中両国の製造業PMIが低調となり、米中貿易摩擦の長期化が企業活動に影響を及ぼしている兆候があらわれている。今月は10-12月期決算を控えており、アップルのように業績下方修正を強いられる企業が相次ぐ可能性があり、特に中国の個人消費の影響を受けやすいセクターに注意が必要だ。一方で、パウエルFRB議長は19年度の金融政策について調整可能との認識を示しており、追加利上げを巡る先行き不透明感は払拭されたといえるだろう。
企業決算は今週、アルコール飲料のコンステレーション・ブランズ(9日)、住宅建設会社のレナー(9日)、家庭用品小売のベッド・バス&ビヨンド(9日)、航空大手のデルタ航空(10日)などの発表が予定されている。デルタ航空は、12月実績が予想を下振れたと発表しており、軟調決算となりそうだ。なお、来週は、大手行のシティ・グループ(14日)を皮切りに10-12月期決算発表シーズンに入る。
経済指標は今週、12月ISM非製造業指数(7日)、11月貿易収支(8日)、12月消費者物価指数(11日)などの発表が予定されている。9日には、18年12月18・19日に開催分のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録が公開される。消費者物価指数は11月分が上昇し、利上げ見通しを拡大させた。同指数は19年度の追加利上げにおいて重要な指標となるインフレ率に影響を与えるため、注目したい。
8日から11日にかけて、ラスベガスで世界最大規模の国際家電見本市 (CES) が開催される予定だ。次世代ネットワークとなる第5世代移動通信(5G)ではベライゾン、Tモバイル、スプリントが19年上半期よりサービスを開始する見通しで、何らかの情報を得られるかが焦点となる。5G向けルーターなど関連機器の発表も予想される。また、昨年はフェイスブックやアルファベットによるプライバシー侵害を巡る問題が発生したことから、人工知能(AI)スピーカー等でのプライバシー対策や保護技術にも注目が集まるだろう。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ