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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆溶け始めるチャイナマネー◆

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

〇中国不安と米金利上昇が圧迫、NYダウ踏み止まる〇
注目の国慶節連休明けの上海総合指数は3.72%の下落。香港ハンセン指数が5営業日続落の1.39%安。累計で6%を超えていることから見れば、想定範囲内と言えなくもない。2700ポイントの大台を維持した(終値2716.51、安値2710)。上海と深センに上場する有力企業300社で構成するCSI300指数は4.30%安。16年2月以来の下落率となり、地合いは悪い。
中国人民銀行が今年4度目となる預金準備率の引き下げ(大手行15.5%、中小行13.5%を1%ポイント引き下げ)、11月から輸出時の付加価値税還付率を引き上げ(1~4%ポイント、支払い時期も早める)、住環境劣悪地区の再開発を促進する特別債発行加速と矢継ぎ早に手を打っているが、焼け石に水の状態。国慶節国内売上高が1日当たり前年比+9.5%(前年は+10.3%)とも発表した(連休最終日の7日発表・・・早過ぎる感)。

それらを吹き飛ばすように、スパイ・チップ疑惑が襲った。4日、ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌が中国で組み立てられていた米国向けサーバーにスパイ・チップが埋め込まれていたと報じた。企業30社、複数の米政府機関で使用され、内部情報が流出する恐れがあったと伝えた。指名されたアップルやアマゾンは報道を否定したが、関連でパソコン大手レノボ、通信大手ZTEなどハイテク株が急落した。米市場にも波及し、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)などが1%程度下落、ナスダック指数は3日続落。

中国人気女優ファン・ビン・ビンやICPOトップの摘発が、香港市場からの資金流出を加速させているとの見方もある。8日、新華社通信は中国税務当局が映画制作会社、俳優に一斉に税務調査を行うと報じた。香港映画界は脱税の温床とも言われてきたが、金融口座自体が危ないとの噂も出ている(取りあえずシンガポール・シフト?)。

人民元安もジワリ進行。NY市場終値は1ドル=6.9315元、7週間ぶり安値。ユーロも安いので、あまり目立たないが、11日からのG20財務相・中銀総裁会議、来週の米半期為替報告で、「人民元安誘導」が問題視される公算がある。

米債市場はコロンバスデー休場だったが、5日、10年債利回りは一時3.248%に上昇。予想を下回った雇用統計はあまり影響せず、中国の売却思惑が陰を落とした。本質的には2-10年債スプレッド(利回り格差)が34.6bpに拡大し、フラット派の手仕舞い相場と思われるが、米中貿易戦争でのインフレ懸念、中国のドル資金手当て(米国債売り)憶測を呼んでいる。

中国の米国債保有は7月時点で1兆1710億ドル、3カ月連続小幅減。7月にロシアが2ヵ月ほどで810億ドル(約9兆円)売却した時には話題にもならなかったので、この程度なら問題は無いと思われるが、人民元安を食い止めるには大規模換金も有り得る(売れば売る程、人民元の価値も下がるが)との警戒ムード。

米中外相会談での王毅外相の対応は、中国に打つ手が無いことを示唆する。強弁だけでは乗り切れないと見られる。NYダウが切り返したこと、ブラジル、アルゼンチン、インドネシアなど今まで売られていたところが上昇していることなど、全面不安の状況ではないが、日経平均は23500~25000円ゾーン形成に向けての下値攻防の局面と想定される。


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/10/9号)

《CS》

 提供:フィスコ

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