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2018年10月10日19時30分

【特集】バイオメトリクスの黎明、「顔認証」システムで化ける新波動株<株探トップ特集>

セキュリティー新時代が到来、安心・安全な社会を支えるプラットフォームとして生体認証の切り札「顔認証」にスポットライトが当たり始めた。

―“顔パス”時代に向け第一歩踏み出す、東京五輪への導入決定で普及加速へ―

 人の顔を“カギ”として利用する「顔認証システム」への関心が再び高まっている。きっかけは2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの会場セキュリティーに、大会史上初めて導入されることが決まったこと。今月からは成田空港で日本人の出国時に自動的に本人確認する「顔認証ゲート」の運用が始まっており、安心・安全な社会を支えるプラットフォーム(基盤)として、今後は認証システムの主流になる可能性がある。

●利便性の高さなどにメリット

 認証技術は、パソコンやネットワークのログイン、入退室管理、金融機関のATMなどさまざまなシーンで本人確認の手段として利用されている。ただ、最も身近であるパスワード認証では、いくつものパスワードが覚えられないといった理由から、同じパスワードを使い回したり、忘れないように類推されるパスワードを設定したりするケースが多く、不正利用されやすいといったセキュリティー上のリスクがある。

 こうした課題を解決する手段となるのが、指紋や目の虹彩など身体的な特徴で本人を特定する生体認証(バイオメトリクス)で、なかでも人間が普段相手を判別する手段をシステムで実現した「顔認証」への注目度が高まっている。指紋認証などに比べて登録・認証時の心理的な抵抗感が少ないとされ、指をかざすなどの操作が不要なことから利便性が高いのが利点。また、一般的なWebカメラの利用が可能であり、登録用データとして既存の顔写真が利用できるため専用装置が不要なことや、照合時の顔を顔画像ログとして残すことで管理者が目視確認できるといったメリットもある。以前は髪型など風貌の変化によっては識別しにくいという問題もあったが、最近はカメラの精度や画像認識技術、認識エンジンの向上で課題は解消されてきている。

●NECは東京五輪にシステムを提供

 顔認証の関連銘柄で、まず挙げられるのがNEC <6701> だ。同社の技術は世界トップクラスを誇り、17年には米国国立標準技術研究所(NIST)が実施した動画顔認証技術のベンチマークテストで、認証精度99.2%と高い性能評価を獲得。この技術力を基に、国内外で豊富な納入実績を持っている。最近では三井住友フィナンシャルグループ <8316> 傘下のプロミスの自動契約機に採用されたほか、インドネシアで8月18日から9月2日にかけて開催された第18回アジア競技大会にシステムを提供。また、東京オリンピック・パラリンピックでも関係者の会場入場時の本人確認システムとして納入することが決まっており、世界に向けてアピールする場となる。同社は顔認証を含めたバイオメトリクスに一段と注力する構えで、8月に米国のバイオメトリクス企業であるタシェントに出資したほか、9月には大日本印刷 <7912> とバイオメトリクス製品・サービスの開発で協業すると発表した。

●パナソニックは空港の顔認証ゲートを納入

 パナソニック <6752> も多くの納入実績がある。例えば、法務省入国管理局は今年、国内5空港(羽田、成田、関西、中部、福岡)の入国審査場に顔認証ゲートを本格導入し、10月からは成田空港の出国審査場での運用も開始したが、このシステムを納入したのが同社のグループ会社だ。また、別のグループ会社は、富士急ハイランド(所在地:山梨県富士吉田市)に顔認証技術を活用した入退場システムを提供し、7月中旬から本格稼働している。パナソニック本体でも人工知能(AI)を活用したディープラーニング(深層学習)技術と監視カメラで構成される顔認証システム「FacePRO」などを展開しており、今月3日にはNTT <9432> と両社の画像認識技術を生かしたセキュリティーソリューションを共同開発したことを明らかにしている。

●モルフォ、テラプロ、ジシステムなどにも商機

 顔認証の適用分野は従来の防犯から広がりをみせており、三井不動産 <8801> が9月末に竣工したオフィスビル「新橋M-SQUARE Bright」には日立製作所 <6501> 子会社製の顔認証ハンズフリー機能付きエレベーターが設置されているほか、ユニマット リタイアメント・コミュニティ <9707> [JQ]は今月からソフトバンクグループ <9984> と人型ロボット「Pepper」の顔認証機能を活用したリハビリなどの実証実験を開始した。今後は顔画像から来店者の性別や年齢を推定してマーケティングに利用するといった事例なども増えそうで、関連銘柄にはビジネス機会の拡大が期待される。

 注目は、モルフォ <3653> [東証M]の顔検出・顔パーツ検出機能を持つ組み込みソフトウェア「FaceSolid」、CAC Holdings <4725> の感情認識AI「Affdex」、テラプローブ <6627> [東証M]の顔認証ソフトウェア「TeraFaces」、大興電子通信 <8023> [東証2]の3D顔認証システム「3DGarm」、ジャパンシステム <9758> [JQ]の顔認証ソリューション「ARCACLAVIS Ways」など。

 これ以外にも、導入ソリューションを提供しているネクストウェア <4814> [JQ]や、来訪者検知システムを展開するグローリー <6457> 、パチンコ関連事業向けにシステムを手掛けているダイコク電機 <6430> が関連銘柄として挙げられる。

●ショーケースTVは画像認識分野で業務提携

 また、直近ではショーケース・ティービー <3909> が9月21日に、ベトナムに拠点を置くオフショア開発事業者のカオピーズ(東京都台東区)とAI・画像認識分野で業務提携したと発表。東京エレクトロン デバイス <2760> は9月25日に、顔認証などに活用できる小型組み込みTOF(パルス発光した近赤外光を測定対象物に照射し、その反射時間を測定することで距離測定を行うこと)カメラモジュールを発売した。

 富士通 <6702> は10月4日、手のひら静脈と顔情報のみで本人を特定し、非接触で認証できるバイオメトリクス融合技術を開発したことを公表。この技術を用いることで、IDレスの手ぶら決済が可能になり、100万人規模の認証をリアルタイムに実現できるとしている。

株探ニュース
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