【特集】決算シーズン目前、怒涛の“上方修正&爆騰”コンボ炸裂期待「9銘柄」リスト <株探トップ特集>
10月中旬から、年間を通して最も業績修正発表の多く行われるシーズンが到来する。上方修正期待の高い銘柄を探った。
―慎重通期見通しは増額への出発点、円安・好業績の追い風は強く―
来週から年間を通して業績修正の発表が最も集中する期間に入る。毎年10月下旬から11月半ばは3月期決算企業の上期決算発表シーズンであり、決算の発表に絡み業績予想を修正する企業が増えてくる。業績修正は株価に与える影響が大きいため、投資家の注目度も高い。今回は足もとの業績が拡大基調で上方修正する可能性が高く、上方修正した際には株価上昇も期待できる銘柄を過去のデータから探った。
●日経平均はスピード調整も再度の上値トライに期待
日経平均株価は9月中旬にフシ目の2万3000円を突破したあと、海外投資家が主導する形で急ピッチの上昇を続け、今月2日に約26年10ヵ月ぶりの高値となる2万4448円まで駆け上がった。その後、米国の金利上昇や中国株安が懸念材料となり直近高値から約1000円幅の調整となっているが、日米のファンダメンタルズは良好であり、調整後に再度上値トライが期待される。来週から本格化する業績修正や決算発表を経て、業績相場の色を強めることができるかが、年内相場を占ううえでもポイントとなりそうだ。
●持続的な収益成長と円安追い風に上方修正相次ぐか
「株探」集計では、3月期決算企業が7月から9月の3ヵ月間に通期の経常利益予想を上方修正した数は107社と昨年の同期間と比べ2割も減少した。米中貿易戦争をはじめとする外部環境への警戒感などが企業の業績見通しを慎重にさせている。ただ、足もと4-6月期の企業業績は経常利益ベースで2ケタ増益と好調だったうえ、輸出関連企業では想定為替レートを実勢より円高に設定している企業が多く、市場では上期決算発表と同時に通期計画の上方修正に踏み切る企業が相次ぐとの見方は強い。
●業績上方修正する可能性が高く、株価上昇も期待できる銘柄とは?
業績上方修正しそうな銘柄を探す場合、最初にチェックしたいのが計画に対する達成度を表す「進捗率」だ。進捗率が高ければ高いほど計画に到達もしくは超過する確率は高まる。今回は第1四半期(4-6月)経常利益の通期計画に対する進捗率が30%以上で、かつ同進捗率が5年間の平均値を上回っている銘柄に照準を合わせた。
次に上方修正する時期と株価の反応については、過去のデータを活用したい。上場企業が決算や業績修正を発表する時期は毎年一定していることが多い。また、業績修正が株価に与えるインパクトも前の年と連動するケースがしばしば見られる。例えば、9月に上方修正した日本ファルコム <3723> [東証M]、オハラ <5218> 、トーヨーアサノ <5271> [東証2]、石井表記 <6336> [東証2]、ラサ商事 <3023> などは昨年、今年ともに上方修正を発表した翌日に株価が急騰している。
これらを踏まえ、以下では3月期決算企業を対象に、(1)第1四半期(4-6月)業績が好調で経常利益の通期計画に対する進捗率が30%を超え、かつ同進捗率が過去5年平均を上回っている、(2)昨年も10月から11月にかけて通期計画を上方修正した経緯がある、(3)昨年、上方修正した翌日(上方修正が場中なら当日)に株価が5%以上値上がりした、といった条件を満たした銘柄を上方修正及び株価上昇が期待できる有力候補として選び出した。
●石原産業と三社電機は今年も昨年と同様のパターンとなるか
トップバッターは塗料などの白色顔料として使われる酸化チタン最大手の石原産業 <4028> 。19年3月期第1四半期(4-6月)は米州やアジアで農薬の販売が伸びたうえ、酸化チタンの輸出価格を引き上げたことも奏功し、経常利益は前年同期比73%増の22.2億円と急拡大して着地。業績好調に伴い、第1四半期決算発表と同時に上期業績予想を上方修正したが、通期計画は据え置いた。第1四半期実績の対通期進捗率は67.5%と高水準で、業績上振れは濃厚とみられる。前期は第1四半期決算発表時に上期計画、上期決算発表時に通期計画をそれぞれ上方修正した経緯があり、今年も同様のパターンとなるか要注目だ。
パナソニック系の電源機器とパワー半導体メーカーの三社電機製作所 <6882> [東証2]も石原産と同じく、前期は第1四半期決算発表時に上期計画、上期決算発表時に通期計画をそれぞれ上方修正した実績を持つ。足もとの第1四半期はリチウムイオン電池の電極向け銅箔用電源の販売が急増したうえ、半導体事業の製品構成が良化し、経常利益は前年同期比2.8倍の5.6億円に膨らんだ。同社は電気自動車(EV)関連製品に積極姿勢であり、急速に拡大するEV市場のニーズを捉えた業績成長期待も大きい。
●日阪製は対通期進捗率50%超、ユニマRCは急騰性に注目
プレート式熱交換器のパイオニアである日阪製作所 <6247> の第1四半期は化学業界向けバルブやレトルト食品の調理殺菌装置、医薬品用殺菌機などの販売が好調で、経常利益は前年同期比89.2%増の7.1億円と業績高変化を遂げた。第1四半期実績だけで通期計画の半分超の利益を稼ぎ出しており、大幅増額修正が期待される。第1四半期決算発表時に上期業績予想を上方修正しながら通期計画は据え置いた点も注目ポイントだ。
続いて紹介するユニマット リタイアメント・コミュニティ <9707> [JQ]はユニマットグループの介護サービス大手。19年3月期第1四半期は主要サービスすべての稼働率と入居率が向上したほか、人件費や消耗品費などの継続したコストコントロールも寄与し、経常利益は7.3億円と前年同期比で4割も増えた。第1四半期実績の対通期進捗率は34.6%に達する。同社は2年連続で11月上旬に業績上方修正した経緯があり、今年も有望視される。株価は急騰性が強く、上方修正した翌日の株価はいずれも10%超上昇している。
●エン・ジャパンは3年連続で上方修正、帝国電は需給面で妙味も
求人サイト大手のエン・ジャパン <4849> は企業の採用ニーズが高止まりするなか、主力の転職求人サイトで広告掲載収入が増加したうえ、人材紹介サービスの成功報酬も伸び、第1四半期の経常利益は35.5憶円と四半期ベースの過去最高益を達成した。株探プレミアム会員向けに提供している【業績修正履歴】を見ると、3年連続で上期決算の発表前または同時に通期業績を上方修正していることがわかる。活況な市場を追い風に業績拡大トレンドが続いており、今年も上方修正する確度は高そうだ。
帝国電機製作所 <6333> は化学薬品などの輸送に適した完全無漏洩を特徴とする「キャンドモータポンプ」の最大手。足もとでは主要顧客である化学業界の旺盛な設備投資需要を追い風に、国内や中国を中心とするアジア市場向けにキャンドモータポンプの受注を大きく伸ばしている。19年3月期は想定為替レートを1ドル=108円に設定し、経常利益は前期比4.5%減の22.7億円を見込むが、円安基調や好調な受注環境を背景に上方修正期待が膨らむ。買い残がほとんどなく、信用倍率0.3倍台と売り長になっており、需給面でも投資妙味がある。
●エイチワンなどホンダ系部品メーカーは円安効果に期待
最後に取り上げるのはホンダ系部品メーカーの3社。まず、車体フレームメーカーであるエイチワン <5989> の第1四半期(4-6月)は金型設備の販売増加や生産コストの低減が寄与し、北米部門の業績が急回復した。対通期計画進捗率は36.2%と高水準なうえ、今期の想定為替レートは1ドル=105円に設定しており、為替面からも上方修正パワーは十分だ。同じくホンダ系部品メーカーのケーヒン <7251> 、エフ・シー・シー <7296> も同様の為替設定で対通期計画進捗率は30%を超える。3社とも昨年は上期決算発表と同時に想定レートの見直しを行い、通期計画の上方修正に踏み切っており、今年も期待されるところだ。エイチワンは予想PER10倍台と割安感が強く、上方修正した際は株価の水準訂正を狙った買いも予想される。
◆「上方修正&株価上昇」候補◆
対通期 昨年の 予想
コード 銘柄名 進捗率 修正日 PER
<4028> 石原産 67.5 11/10 36.1
<6882> 三社電機 33.2 10/27 16.2
<9707> ユニマRC 34.6 11/10 8.7
<6247> 日阪製 51.1 11/14 34.5
<4849> エン・ジャパン 33.1 11/8 33.1
<6333> 帝国電 30.5 11/10 20.6
<5989> エイチワン 36.2 10/30 10.3
<7251> ケーヒン 40.0 11/6 17.1
<7296> FCC 33.3 10/27 14.9
※「対通期進捗率」は第1四半期経常利益の通期計画に対する進捗率。単位は%
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