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【特集】到来“外国人買いの季節”、資金流入「本番はこれから」 <株探トップ特集>

9月後半、日経平均が重くのしかかっていた1月高値を突破した背景には外国人投資家の買い姿勢転換があった。しかも、本格的な買いはまだこれからという見方が大勢だ。

―見え始めた持たざるリスク、中間決算を機に本格化か―

 外国人投資家の動向が市場の関心を集めている。日経平均株価は一時2万4200円台まで買われ27年ぶりの水準に上昇したが、その牽引役はやはり外国人投資家だ。例年、秋口からは外国人買いが盛り上がる時期であり、ここから外国人の本格買いへ期待が高まる。売り越し姿勢が続いた外国人が買い姿勢に転じた理由は何か。また、外国人買いが期待できるのはどんな銘柄か。

●外国人は先物ベースでは8月下旬以降、買い越し基調に

 外国人投資家は、9月第3週に現物で2770億円の買い越し。先物ベース(225・TOPIX、先物・mini合計)でも1兆1900億円強の買い越しと、現物・先物合計で1兆4700億円の大量買いとなった。また、直近の第4週は現物が3770億円と前週に続く大量買い越し。先物は1700億円強の売り越しとなり、現先合計では約1990億円の買い越しだった。

 外国人投資家は現物ベースでは、8月以降、同5週を除き9月第2週までは売り越しを続けていた。このため表向き、外国人の売り越しが続いていたが、先物ベースでは8月第4週以降は買い越し姿勢が目立っていたのが実情だ。とりわけ相場の上げ下げに追随する商品投資顧問(CTA)と呼ばれるヘッジファンドなどは、5月以降、日本株に対して売り越しを続けていたが、8月下旬からはショートカバー(買い戻し)を入れた姿勢がうかがえる。

●中国株安を日本市場でヘッジ売り、安倍3選も評価材料に

 そもそも、なぜ外国人は日本株に対して売り越し姿勢を強めていたのか。サクソバンク証券の倉持宏朗チーフマーケットアナリストは、「外国人投資家は下げ基調が続く中国マーケットの売りヘッジを、流動性の高い東京市場で仕掛けていたようだ」と指摘。中国株安の余波が先物の外国人売りとして出ていたという。また、実需の売り買いに関しても世界経済に先行き不透明感が漂うなか、日本株の買いは見送られていたのが実情だ。

 しかし、9月以降に基調は変化している。中国・上海総合指数は下げ止まり傾向を示しているほか、NY株高などを背景に株式市場を取り巻く環境がリスクオンに傾いたことが大きい。マネックス証券の益嶋裕マーケット・アナリストは「今夏には米中貿易摩擦の先行きに楽観的な見方が出ていた。また、直近では国内で安倍政権が3選を決め、日本の政治の安定が世界的にみても際立つ状態となったことが、外国人には評価材料となったのだろう」という。

●秋口は外国人買いの季節、コア30には実需筋始動の兆しも

 例年、秋口以降は外国人買いが入りやすい時期だ。現物ベースでは、15年と16年には、10~12月は買い越しとなっている。昨年は11月と12月は売り越したものの10月は2兆円を超す大量買い越しだった。

 問題は、今年は先物ベースでは買い戻しが目立ってきたが、現物ベースではまだ年間で4兆円近い大幅売り越しとなっていることだ。先物は、CTAなど短期筋のヘッジファンドを中心とする動向を示すが、現物は年金・投信など長期の外国人投資家の資金動向が強く影響するとみられており、「海外の実需筋がいつ動き出すかが焦点」(市場関係者)とみる声は多い。

 もっとも、アイザワ証券の清水三津雄ストラテジストは4日の東京市場でTOPIX コア30は強含みで推移した点に注目。「長期資金を扱う外国人投資家は日本株へ着実な買いを入れているのではないか」と推測する。日本の代表企業30銘柄で構成される コア30は外国人動向を探るうえでの指標だが、外国人投資家は日本株に対する「持たざるリスク」を感じているとみられている。実際、9月第3、4週と現物ベースで外国人は大幅買い越しとなっている。同氏は「海外投資家が日本株に対する投資姿勢をニュートラル(中立)に戻すだけでも、相当なインパクトを与えるはず」とし「今後、年末に向け外国人の買いは期待できる」とみている。

●日米決算発表がカタリスト、臨時国会での補正予算にも期待

 目先は外国人買いを呼び込むイベントは限られており、利益確定売りが出てくる可能性もある。そんななか、次の外国人投資家買いのカタリスト(契機)となりそうなのが日米の決算発表だ。特に、今月下旬から本格化する国内企業の決算発表は業績の上方修正が期待されている。主力企業に増額が続けば、日本企業の連結PERの割安さがさらに顕著となり、一段の外国人買いを呼び込むとみられる。また、「10月下旬に召集される臨時国会で補正予算が決定されれば、外国人買いの契機になりそう」(益嶋氏)とも予想されている。

 当面は、 コア30の動向などが注目され、同指数採用のソニー <6758> やファナック <6954> などのハイテク株や三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などには外国人買いが期待される。また、国内大手証券では先月下旬に「外国人投資家の保有比率が高く年初からのパフォーマンスが悪い大型株」には外国人の買い戻しが期待できるとし、リストを作成。その中には、パーソルホールディングス <2181> 、ZOZO <3092> 、ヤフー <4689> 、日本オラクル <4716> 、シャープ <6753> 、ドンキホーテホールディングス <7532> 、スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> などの銘柄が挙げられている。

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