【市況】米国株式市場見通し:通商政策の動向を注視
米中高官レベルでの通商協議が開催されたものの、23日に米中両国が互いに160億ドル相当の輸入品に対する追加関税を発動したことから、更なる追加関税の検討に入った。米通商代表部(USTR)は、2000億ドル相当の中国製品への関税導入について公聴会を実施しているが、関税が小売セクターの業績に与える影響は大きく、雇用削減の恐れもある為、トランプ政権としても11月の中間選挙までに対中貿易摩擦がこれ以上エスカレートすることは避けたいとの思惑がありそうだ。一方で、トルコや南アフリカに対しては、関税及び為替を交渉手段として積極的に用いており、有権者からの支持を得るため、一部の国々に対しては引き続き強硬姿勢を続ける恐れもあり、注意が必要だ。
金融・経済シンポジウムで、パウエルFRB議長は景気拡大が継続しており、緩やかな利上げ継続が適切になるとの認識を示した。FF金利の先物取引から算出される利上げ確率は、9月及び12月の追加利上げが予想されており、当局も利上げ方針を維持しているものの、22日に発表された7月31日・8月1日開催のFOMC議事録では、連銀高官の多くが通商政策の動向に懸念を抱いていることが示されており、トランプ大統領の政策が米国経済にネガティブな影響をもたらすリスクとして認識されている。
企業決算では、家電量販店のベストバイ(28日)、宝飾品のティファニー(28日)、クラウドベースの顧客管理ソフトなどのセールス・フォース(29日)、小売大手のシアーズ・ホールディングス(30日)、食品小売のクローガー(30日)、食品会社のキャンベルスープ(30日)、ディスカウントストアのダラー・ゼネラル(30日)やダラー・ツリー (30日)などの決算発表が予定されている。キャンベルスープは同業クラフト・ハインツとの合併協議に関する追加情報に注目したい。
経済指標は、7月シカゴ連銀全米活動指数(27日)、7月卸売在庫(28日)、8月消費者信頼感指数(28日)、4-6月GDP改定値(29日)、7月個人所得・支出(30日)、8月シカゴ購買部協会景気指数(31日)などの発表が予定されている。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ