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2018年07月11日19時30分

【特集】深刻化“鳥獣被害”と対策関連株、ニホンジカはベビーブーム <株探トップ特集>

鳥獣による農作物被害が深刻化している。対策を行う上場企業を探った。

―農作物被害“年間200億円”の実相、意外に多い関連株―

●農作物の被害額は毎年200億円と深刻

 鳥獣による農作物被害が深刻さを増している。シカ、イノシシをはじめ、サル、クマ、カラスなどによる農作物への被害は、近年では季節に左右されることなく頻繁に発生。深刻化の要因は、鳥獣の生息域拡大、狩猟による捕獲圧力の低下、耕作放棄地の増加などが指摘される。また、野生動物の生息地近隣まで宅地開発が迫っていることや、異常気象により野生動物のエサ不足が深刻化していることなども背景とされている。

  鳥獣被害は農業に従事する人の営農意欲を失わせ、耕作放棄地の増加などの要因ともなる。そのため、農山漁村へのダメージは被害額として数字に現れている以上に深刻だ。農林水産省の集計によると、2010年の野生鳥獣による農作物の被害額は、届け出のあったものだけでも全国で239億円に達し、その後も毎年200億円前後の水準で推移しているという。

 農作物に深刻な被害をもたらしているニホンジカの生息数は、1989年から2013年にかけての24年間で、なんと10倍に増えたという集計が存在する。環境省が16年に発表した調査結果によると、13年度末のニホンジカ生息数は北海道を除く本州以南で推定305万頭。1989年の調査では約30万頭にすぎなかった。深刻な人口減に悩まされる日本列島で、ニホンジカはベビーブームにわいているというわけだ。

 ニホンジカの捕獲率が現在と変わらない場合、その数は23年度には453万頭に増えるとの試算もある。環境省は23年度末までに生息数を11年度比で半減させることを目標に掲げている。しかし、その達成のためには従来比2倍以上のペースでの捕獲が必要で、ハードルは高い。

●古野電気はGPS利用の狩猟用発信機で貢献

 鳥獣被害対策関連の個別銘柄として、魚群探知機で知られる古野電気 <6814> に注目したい。同社は、狩猟用発信器( GPSマーカー)として、位置・音声一体型端末「Dog Navi」(ドッグ・ナビ)を開発し、14年11月から販売をスタートした。この製品は、猟犬に装着する「猟犬端末」と、野生鳥獣を探索する狩猟者が猟犬の位置情報を把握するために使用する「狩猟者端末」によって構成され、国内電波法に適合したGPSマーカーとして初めて、猟犬の位置情報をGPS測位するとともに、「猟犬端末」の内蔵マイクを通じた音声情報を同時に確認できるようにしているのが特長だ。

 同社では「Dog Naviは、発売以来順調な拡大をみせている。さらに、17年8月からは、グループの狩猟者端末同士で位置情報を交換し、犬(猟犬端末)の位置と同様、ヒト(グループ内のほかの狩猟者端末)の位置も画面に表示させる“ヒト検知機能”を導入したことで、グループでの狩猟効率がアップすると同時に、誤射の防止にも役立つ」(経営企画部)としている。

●日亜鋼業はICTセンサー活用の捕獲用ボックスに注力

 各種メッキ鉄線など線材2次加工大手の日亜鋼業 <5658> は、獣害用防護柵を手掛けている。同社では「サル、シカ、イノシシなど動物別の獣害用防護柵を品揃えしているほか、ICTセンサーや遠隔操作システムを備えた捕獲用のボックスにも注力している。メッキなどの技術力により培った耐久性には定評がある」(第三次加工製品販売課)としている。

●前田工繊、日東製網、タキロンCI、電算システムにも注目

 もともと自社でも防獣ネットを手掛けていた前田工繊 <7821> は、東日本を中心に鳥獣被害対策分野で売り上げを伸ばしている未来のアグリ(旧北原電牧)を11年に子会社化しており、大規模な電気柵、各種フェンスの施工に実績がある。さらに、漁網大手の日東製網 <3524> は、漁網の技術を応用し、軽量化することで設置の作業効率を向上させた獣害防止ネットを開発している。

 一方、タキロンシーアイ <4215> の子会社タキロンプロテックでは、折りたたみ式獣害対策用フェンスの「パタサク」や、小動物侵入防止対策用「ロードガードネット」を販売している。また、電算システム <3630> は、IoTを活用した新サービスの一環として「スマート害獣捕獲センサー」を開発。害獣捕獲わなの捕獲情報をメールなどで通知し、遠隔地で確認することで現地での見回りコストを削減することが可能となるという。

株探ニュース
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