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2018年07月09日19時30分

【特集】2020年東京、飲食店“原則禁煙”で「禁煙・喫煙関連」注目株は <株探トップ特集>

都議会で受動喫煙防止条例が可決。2020年4月の飲食店原則禁煙が決まった。株式市場では再び、禁煙・喫煙関連銘柄にスポットライトが当たることになる。

―禁煙推進で喫煙関連にも関心、新たに生まれる需要も―

  禁煙への取り組みが、また一歩進んだ。6月27日、従業員を雇用する飲食店を原則屋内禁煙とする、東京都の受動喫煙防止条例が都議会において可決、成立した。都内飲食店の8割超が対象となる模様で、料理に舌鼓を打ち、杯を交しながらの喫煙ができないことになる。受動喫煙対策は重要課題であることは言うまでもなく、禁煙に向けた取り組みはいっそう加速することになる。こうした状況下、株式市場においては幾度となく「禁煙関連」に注目が集まってきたが、減少著しいとはいえ喫煙者も存在しており、ここからは禁煙に加え“喫煙”に絡む銘柄に目を向けるというのも一法かもしれない。愛煙家受難の時代が続くなか、関連銘柄の動向を追った。

●83.7%の飲食店が対象

 東京都の受動喫煙防止条例は、国の法案よりも厳しいものになっている。国側は、客席面積100平方メートル以下の店を規制対象から外しているが、都の条例では規模に関わらず、従業員がいる飲食店を原則として全面禁煙としている。都によると83.7%の飲食店が対象になるとしており、多くの店舗が対応に追われることになる。条例は、東京五輪開催の直前となる2020年4月に全面施行する予定だが、都では「具体的な日程などは、今後決定していくことになる」(福祉保健局)としている。

 飲食不可の喫煙専用室の設置は認めるとはいえ、居酒屋業態などの飲食店においては、「客が減る」と懸念を示す声も少なくはない。ただ、全面施行まで既に2年を切った現在、もはやなんらかの方策をとらざるを得ない状況が迫っている。

●串カツ田中は6月1日から禁煙スタート

 飲食店チェーンのなかで、早くも6月1日から禁煙に踏み切ったのが串カツ田中ホールディングス <3547> [東証M]だ。同社は、7月5日に6月度の月次報告を発表、直営店の既存店売上高が前年同月比2.9%減となり、2ヵ月連続で前年実績を下回った。客数は同2.2%増と前年に比べてプラスに転じたものの、先月プラスに転じた客単価が同5.0%減と再び前年を下回ることになった。

 同社では「禁煙の影響は多少出ていると思う。また、店舗の禁煙を認知していただく目的もあり、串カツ1本100円(税抜き)というキャンペーン(6月1~14日)を開催したことも売り上げに影響した。ただ、今後当社の店舗が禁煙であることが、ファミリー層に加え、たばこを吸わない方に広く認知されていけば、売上増につながっていくと考える」(経営戦略部)。

 串カツ田中のように、先を見据えた戦略で禁煙に舵をきった企業もあれば、「悩む」店も少なくない。ある中規模の居酒屋の経営者は「喫煙ルームの設置も考えているが、もう少し様子を見る」という。とりあえず喫煙専用室は認められるだけに、設置に動く店舗も少なくなさそうだ。

●「オフィス需要は一巡」「新たな需要」とも

 禁煙社会が進展する過程で、オフィスからたばこの煙が消えることになったが、そこで株式市場で注目を集めたのが、いわゆる「たばこ部屋」に設置される空気清浄機や脱臭機などに絡む銘柄だった。

 大手では三菱電機 <6503> の空気中に浮遊するタバコの粒子(塵)と臭いをパワフルに除去する喫煙用集塵・脱臭機「スモークダッシュ」に注目が集まった。本業は資源分野にある日鉄鉱業 <1515> のプラズマ脱臭技術を搭載した「プラズマダッシュ」にも熱い視線が向けられた。

 また、高砂熱学工業 <1969> はオカムラ <7994> と共同開発した省電力喫煙ルーム「i-smoking(アイ・スモーキング)」を手がける。高砂熱学では「(製品開発など)順次攻勢をかける方針」(技術部)としている。同社は、5月11日に発表した18年3月期の連結経常利益が前の期比30%増の174億6100万円に拡大、19年3月期は前期比0.2%増の175億円とほぼ横ばいを見込み、2期連続で過去最高益を更新する見通しにある。

 こうしたなか、「オフィス周りの分煙ルーム需要は一巡したといえる」(業界関係者)という見方もある。今回成立した都の条例では多くの飲食店が対象となり禁煙を選択する可能性も高いが、喫煙専用室は認められるだけに、そこに「分煙関連」の新たな需要が生まれる可能性もある。ただ、前出の業界関係者は「喫煙に関しては、微妙な問題なので飲食店での喫煙が厳しくなったからといって、“それでは新しい市場に攻勢をかけます”とは、なかなか大きな声では言えない」と語る。

●「パーテーション」でコマニー

 分煙市場にニーズ拡大の思惑が錯綜するなか、これまではどうしても分煙機、空気清浄機などに視線が目が向いていたが、厳格な煙、臭いなどの遮断が求められる飲食店においては、飲食エリアと喫煙スペースを遮断する、“実力”のある「パーテーション」の活躍場面が広がりそうだ。

 間仕切り国内シェア最大級で分煙ルームを手がけるコマニー <7945> [東証2]では、「臨機応変に対応し、状況をみながら“ストライクゾーン”を見定めていくつもりだ」(経営企画部)という。同社が4月27日に発表した18年3期の連結経常利益では前の期比51.5%増の17億3200万円に拡大し、19年3月期も前期比23.6%増の21億4000万円に伸びる見通しだ。出来高流動性に乏しいのが難点だが、今後の株価動向には目を配っておきたい。

●ダスキンは“レンタル”で商機も

 また、飲食店のなかでも特に未開拓だったともいえる居酒屋業態における喫煙ルームの需要拡大の可能性について、清掃・衛生用品のレンタルなどを扱う企業はどうみているのだろうか。

 大手のダスキン <4665> でも分煙機の販売及び業務用フィルターのレンタルを行っている。同社では「禁煙の強化について、当社がお話しできるものはなにもない」(広報)としたうえで「今後の展開については不明だが、顧客のニーズには幅広く応えていきたい」(同)とする。同社が5月15日に発表した18年3月期連結業績は、営業利益が前の期比24.5%増の75億5700万円、純利益は同23.3%増の53億2400万円だった。なお、19年3月期連結業績予想は、売上高1630億円(前期比1.2%増)、営業利益79億円(同4.5%増)、純利益54億円(同1.4%増)と増収増益を見込んでいる。株価は、6月20日に直近高値2823円をつけた後、地合い悪も手伝い2600円近辺まで売られている。

●「もはや流れは禁煙」、ならばマルマンのパイポ

 禁煙推進の流れが強まるなか、ここは潔く「たばこをやめる」と決意するのもよいだろう。だが、その道のりは容易ではない。ここはまず、禁煙関連株の中核をなすと言っても過言ではない、マルマン <7834> [JQ]の「禁煙パイポ」で禁煙へ向けての一歩を歩み出すことも一法だ。ただ、加熱式たばこについては、都では「指定たばこ専用喫煙室で飲食等ができるとする」としており、従来のたばこに加え、最近では加熱式たばこ「プルーム・テック」に注力する日本たばこ産業 <2914> の動向にも関心が集まりそうだ。

 関連企業のなかには「もはや流れは禁煙、分煙を語る時代もいずれ終わる」(広報)と語る関係者もいる。とにもかくにも、禁煙に向けての潮流はもはや強さを増すのみ。思惑錯綜する禁煙・喫煙市場だが、いずれにせよ飲食店、そして喫煙者の決断の時は迫っている。

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