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2018年06月26日15時05分

【特集】エバラ食品工業 Research Memo(4):2018年3月期は減益未達となった

エバラ食品 <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

1. 2018年3月期の業績動向(「Evolution60」第2ステージ2年目)
エバラ食品工業<2819>の2018年3月期の業績は、売上高50,397百万円(前期比1.9%減)、営業利益1,470百万円(同21.1%減)、経常利益1,546百万円(同19.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,174百万円(同0.4%減)となった。期中に行った業績修正に対しては、売上高で159百万円未達だったものの、営業利益164百万円、経常利益154百万円、当期純利益302百万円の超過達成となった。なお、当期純利益については、投資有価証券売却益を計上したため超過達成幅が大きくなっている。一方、期初予想に対しては、売上高1,803百万円、営業利益360百万円、経常利益354百万円の未達となり、親会社株主に帰属する当期純利益で4百万円の超過達成となった。リニューアルした「黄金の味」が出足で躓いてしまったことが影響したと言える。

(1) 家庭用商品
家庭用商品は34,347百万円(前期比4.9%減)と前期の売上高を下回った。肉まわり調味料群は「焼肉のたれ」や「おろしのたれ」が堅調に推移した一方、前述したとおり「黄金の味」が低迷したため、売上高は15,670百万円(同10.3%減)となった。鍋物調味料群は汎用性の高い「すき焼のたれ」が好調で、「プチッと鍋」シリーズも容量や用途の幅を広げた新商品の貢献により順調、売上高は11,452百万円(同2.3%増)となった。野菜まわり調味料群は、「浅漬けの素」で小袋タイプを新たに投入したものの減収となり、売上高は4,251百万円(同3.2%減)となった。その他群はポーション調味料の新カテゴリーとして展開した「プチッとごはんズ」は好調だったものの、「回鍋肉のたれ」などボトル入り中華調味料が低迷、売上高は2,972百万円(同3.0%減)となった。

(2) 業務用商品、物流事業、その他事業
業務用商品全体の売上高は8,921百万円(前期比1.8%増)となった。収益構造の改善を進めるなか、肉まわり調味料群が好調に推移した一方、業務用商品の比率の高い海外売上も伸長したことでスープ調味料群やその他群も伸びた。物流事業は新規受注の獲得と既存顧客の取引拡大により、売上高は5,304百万円(同4.3%増)となった。その他事業は、広告宣伝事業が既存顧客への拡販と新規顧客の獲得により、人材派遣事業は受注増加などにより、ともに順調に推移し売上高は1,824百万円(同30.4%増)となった。


財務バランスは安定している
2. 2018年3月期の財政状況
2018年3月期の総資産は35,544百万円(前期末比56百万円減)となったが、現金及び預金が2,449百万円減少し、受取手形及び売掛金が1,410百万円増加したことなどによる。負債は12,058百万円(同712百万円減)となったが、未払金が254百万円減少したことなどによる。純資産は23,485百万円(655百万円増)となったが、自己株式が1,252百万円減少したことなどによる。

2018年3月期末における現金及び現金同等物(資金)は、前期末比2,473百万円減少して8,610百万となった。営業活動によるキャッシュ・フローは5百万円の支出となったが、税金等調整前当期純利益1,785百万円、減価償却費1,230百万円の収入、売上債権の増加額1,413百万円などによる。投資活動によるキャッシュ・フローは1,943百万円の支出となったが、有形固定資産の取得による支出1,796百万円などによる。財務活動によるキャッシュ・フローは521百万円の支出となったが、配当金の支払額438百万円などによる。


「黄金の味」好転で2019年3月期は増収大幅増益を見込む
3. 2019年3月期の業績見通し(「Evolution60」ファイナルステージ)
2019年3月期業績見通しについて、同社は売上高52,211百万円(前期比3.6%増)、営業利益2,091百万円(同42.2%増)、経常利益2,175百万円(同40.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,394百万円(同18.7%増)を見込んでいる。「黄金の味」の新たな価値の浸透による収益拡大とポーション調味料の更なる拡充などにより、同社は、「Evolution60」の数値目標である営業利益率4%、海外売上高10億円、ROE5%の達成を目指すとしている。「黄金の味」については、旧品在庫の影響がなくなり、小売店頭における適正な利潤を伴う市場浸透が足元で進み始めているもようである。拡販費の削減も予想されており、2019年3月期の業績見通しは十分達成可能と言えるだろう。

ところで、「たれの進化」や「コミュニケーションの進化」を促進することで、「新価値創造」と「新規事業を軸とした新規顧客開拓」の2軸をバランスよく展開できなければ、中長期的な業績も確保できなくなると同社では考えているようだ。つまり、「黄金の味」のリニューアルのように既存商品に新しい商品価値を付加したり、「プチッと鍋」のように容器や容量などをそれまでと違った切り口で提案したり、「新価値提案」は今後も続けていく必要があるということだ。また、従来の家庭用や業務用事業では出会えなかった新たな顧客を獲得するため、海外事業や新規カテゴリーの開発など新規事業に積極的に取り組んでいく必要もあるということである。同社のブランド力やノウハウを生かした、次なる「Evolution」にも期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《TN》

 提供:フィスコ
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