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【特集】材料株夏の陣! 燃え上がる株高トレンド「究極の10選」 <株探トップ特集>

決算発表通過で取り組みやすくなった東京市場。2万3000円ラインは通過点との認識が強まるなか、強力なテーマ株に出番到来。

―ブロックチェーン、半導体、インバウンドなど有力テーマで選出―

 15日の東京株式市場は利益確定売り優勢の地合いで、日経平均株価が4営業日ぶりに反落したものの、下げ幅は限定的であり押し目買い意欲の強さを映した。ここでの足踏みは、決して上値の重さを嫌気したものではない。既に、日経平均2万3000円ラインは単なる通過点に過ぎないとの意識がマーケットには漂っている。

 米国企業の好調決算を見るとやや見劣りするものの、日本企業の18年3月期決算と19年3月期の業績見通しは少なくとも及第点といってよい。全体株価にマイナスに作用することはなく、折からの円安や米株高にサポートされ、上値追い基調の継続が有力視される。

 その企業の決算発表も15日でほぼ出揃う形となった。決算数字に一喜一憂した地合いも沈静化に向かい、これに入れ替わってマーケットを賑わす有力テーマを背景とした個別株物色の動きが強まることになる。決算発表時期はどうしても中小型株は手掛けにくさがあるが、ここから先は再び個人投資家にとって腕の見せ所となる相場に移行する。巷ではにわかに気温が急上昇、初夏の風情を存分に醸しているが、今回はこれにあやかり、夏の太陽を間近に感じられるようなダイナミズム溢れる材料株を厳選した。

ブロックチェーン関連で上値期待膨らむ5銘柄

 現在の相場で注目度がにわかに高まってきたテーマにブロックチェーンがある。「分散型台帳システム」とも訳される取引などの記録をコンピューターのネットワーク上で管理する技術で、銀行など中央集権を置かない仮想通貨の普及では不可欠の存在となっている。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> が進める「MUFGコイン」などメガバンクもその開発に注力姿勢を示しているが、金融以外でもヘルスケアや電力取引、流通、小売り、土地登記など多くの分野でその活用が見込まれている。経済産業省ではその潜在的な市場規模を67兆円と試算するなどマーケットも巨大だ。また、安倍政権が推進する「電子政府」でも、文書の電子化に際して改ざんを防ぐブロックチェーン技術の活用に踏み込む構えをみせており、関連銘柄へのマークは今後一段と強まりそうだ。

【クロスキャットはブロックC草分けで急騰力抜群】

 クロスキャット <2307> [JQ]は独立系のシステムインテグレーターでソフトの受託開発を得意とし、特にクレジットや金融機関向け案件などに高い実績を持っている。人工知能(AI)ビッグデータ解析で強みを有し、ブロックチェーン分野を深耕していることで市場の注目度が高い。ブロックチェーン技術で先行するカウラ社と協業関係にあり、仮想通貨発行などで浮き彫りとなっている技術者不足に対応しエンジニアの育成を開始している。 仮想通貨は国内メガバンクも独自の通貨発行に本腰を入れて取り組む構えをみせているが、これを受けて同社のビジネスチャンスが膨らむ可能性がある。信用買い残も軽く、一頭地を抜く急騰力を誇る。業績は17年3月期以降、増益基調を継続中だ。<急騰性=5 中期的上値余地=3>

【キューブシステムは電力自由化が収益チャンスに】

 キューブシステム <2335> も独立系のシステム開発会社だが、RPAなどAIを活用した業務自動化やブロックチェーンなど仮想通貨分野で実力を発揮する。金融や通信、流通向けで競争力が高く、8兆円規模といわれる電力自由化に絡む巨大マーケットでもビジネスチャンスを得ている。電力小売に通信キャリアの参入が本格化するなか、同案件が増勢で中期的な収益へのフォローの風が期待される。19年3月期は営業利益段階で2ケタ増益を計画し、初の10億円台に乗せる可能性が高まっている。株式需給面では買い残が枯れており、動き出せば速そうだ。<急騰性=4 中期的上値余地=4>

【プロパティAはブロックC活用の不動産流動化関連

 プロパティエージェント <3464> [東証2]は東京23区や横浜市で投資用ワンルームマンション販売など資産運用型の不動産事業を展開している。12年3月期以来、増収営業増益を続ける優良企業でPERも12倍と割高感はない。同社の大きな特長はブロックチェーンによる分散型ネットワーク技術を駆使した不動産のクラウドファンディングに展開していることで、ブロックチェーン推進協会の会員企業でもある。インバウンド需要に対応したホステルの開発や、宅配系ロボットを開発する米企業へ出資するなど多角化にも前向き。株価は5月9日に実質上場来高値1552円をつけており、青空圏への再突入を前に一服場面は狙い目となる。<急騰性=4 中期的上値余地=3>

【アイビーシーはIoTセキュリティーで活躍へ】

 アイビーシー <3920> はネットワークの監視システムなどで実績が高く、IoT分野のセキュリティーニーズをビジネスチャンスとして取り込んでいる。IoTインフラ性能監視ツールの草分けで、解析コンサルティングからサポートまで一貫して提供できる強みを持っている。ブロックチェーン技術を活用した画期的サービス発表で注目を集め、日本IBMなどとIoTセキュリティーの実証実験も始めている。11年9月期以降、利益面では先行投資負担などで落ち込む期もあったが売上高については拡大一途にあり、18年9月期は営業利益段階で前期比16%増を見込んでいる。ツボにはまった時の急騰性も際立つ。<急騰性=5 中期的上値余地=2>

【アイティフォーは業績絶好調、AI分野に強み】

 アイティフォー <4743> は金融機関向けなどを中心にネットワークの構築や債券管理システムなどのソフト開発を行うが、旺盛な需要を背景に18年3月期は営業2割増益を達成。さらに、19年3月期は3割増益見通しで20億円大台乗せを見込むなど成長加速局面にある。業績発表を受けて株価水準を急激に切り上げたが、時価1200円近辺のもみ合いは大勢2段上げに向けての踊り場とみられる。AIを利用したコールセンターの業務支援システムや地方銀行のカード決済業務などが収益に貢献している。同社もブロックチェーン推進協会の会員企業。<急騰性=4 中期的上値余地=3>

●半導体関連に復活の狼煙、この2銘柄に上値思惑

 半導体関連株は一時期、メモリー需要の先行きに懐疑的な見方が出て、米株市場主導で大幅な調整を余儀なくされる時期があった。しかし、4~5月にかけて行われた半導体関連企業の決算発表は日米ともに大方の予想を上回る好調な内容が多く、見直し買い人気が鮮明となってきた。これまでのシリコンサイクルを覆すスーパーサイクル突入は、大手の半導体装置や素材メーカーだけではなく、中小型の周辺株にも恩恵を与えている。

【栄電子は高値から600円押しで再騰が近い】

 栄電子 <7567> [JQ]は電源やコネクターなどに強みを持つ電子部品商社で、独立系ながら東京エレクトロン <8035> や横河電機 <6841> など錚々(そうそう)たる企業を取引先に置いている。IoT関連で半導体需要が強く喚起されるなか、18年3月期の営業2ケタ増益に続き、19年3月期は35%増益を予想。チャート面では4月18日に500円を瞬間割り込む安値を形成したが、そこで底値を確認、以降は利益確定売りをこなしながら典型的な下値切り上げ型の戻り足をみせている。1年前の5月初旬は200円台に位置していたが、抜群の急騰習性を発揮し、一気に居所を変えた。昨年10月には1220円の高値をつけており、約半値水準の時価は投機資金の再流入が見込まれる。<急騰性=5 中期的上値余地=3>

【アテクトは半導体テープで4Kテレビ普及追い風】

 アテクト <4241> [JQ]は保護テープなど半導体保護資材を手掛けている。 4Kテレビの普及が同社の製品であるスペーサーテープの需要拡大に反映されており、19年3月期は営業利益段階で前期比44%増と大幅増益を見込む。信用買い残は10万株を切る水準まで減少するなど枯れ切った状態で、1200円台は25日移動平均線を足場としたリバウンドが想定。昨年8月には2145円の高値をつけており、安値を拾うチャンスとみられる。<急騰性=4 中期的上値余地=2>

●インバウンド、全固体電池、海洋資源で注目の3銘柄

【日本和装は訪日客コト消費を追い風に上昇続く】

 このほかにも、株式市場ではさまざまなテーマ株物色の波が押し寄せている。安倍政権が掲げる成長戦略の一つである「観光立国日本」を目指す動きのなか、インバウンド関連も外せないテーマだ。急増した訪日客消費、とりわけモノ消費ではなくコト消費を取り込む企業にもスポットが当たっている。

 日本和装ホールディングス <2499> [東証2]は インバウンドのコト消費関連では代表格といってよい銘柄だ。同社は無料着付け教室を通じて着物や帯などの販売を仲介するビジネスモデルだが、新規受講者数が増勢一途で業績拡大基調にある。訪日観光客の「和装体験」需要も後押ししている。17年12月期営業利益は前期比54%増と大幅な伸びを示したが、18年12月期も4%増の5億2000万円と増益基調を維持する見通し。東証1部指定へ申請中で5月29日から6月1日の期間で40万株の立会外分売を実施する。東証2部から1部への指定替えとなれば、インデックス対応のファンド組み入れニーズなどが顕在化し株高に弾みがつく可能性もある。<急騰性=4 中期的上値余地=4>

【FDKはチャート妙味、 全固体電池で再注目へ】

 一方、自動車の環境規制強化の流れを背景に世界的に電気自動車(EV)シフトの動きが鮮明であり、その動力源であるリチウムイオン電池の需給が逼迫している。そのなか、ポスト・リチウムイオン電池として注目されているのが全固体電池で、関連銘柄には折に触れて物色の矛先が向かう。

 FDK <6955> [東証2]は富士通系の電池メーカーだが、富士通グループは事業構造改革で経営資源の“選択と集中”を図っており、市場成長余地の大きい2次電池分野を担う同社の存在感は中期的に高まっていくことが予想される。18年3月期は当初計画を下回ったとはいえ営業損益段階で黒字化を確保、19年3月期も増益を見込む。 電気自動車(EV)市場の拡大を背景に リチウムイオン電池の需要が逼迫しており、同社にとっては収益機会の拡大につながる。また、ポスト・リチウムイオン電池に位置づけられている 全固体電池分野でも富士通研究所と共同で高電圧・大容量の電池開発を進捗させている。<急騰性=3 中期的上値余地=4>

【鉱研工業は“海洋資源大国”日本のニュースター】

 日本は“ものづくり大国”である半面、資源に乏しい国との見方があるが実際は違う。海洋資源大国といっても過言ではなく、南鳥島には世界需要の数百年分に相当するともいわれるレアアースが観測され、伊豆、小笠原諸島周辺には大量の金や銀を含む海底熱水鉱床、このほか膨大なメタンハイドレートなども発見されている。

 鉱研工業 <6297> [JQ]はボーリング機器の大手で土壌汚染調査システムのほか、地下資源工事用の掘削機械では屈指の実力を持つ。地盤改良工事やトンネルの掘削工事だけでなく、深海や南極までさまざまな場所で使用される機器を開発している。日立建機 <6305> が25%強の株式を保有する筆頭株主で、商品開発部門などで協業関係にあり、アジア地域を中心に業容拡大に積極的だ。19年3月期営業利益は前期比約6倍の高変化を見込んでおり、620円近辺のもみ合いは絶好の買い場といえそうだ。<急騰性=3 中期的上値余地=3>


◇材料株夏の陣! 燃え上がる株高トレンド「究極の10選」                    
                    
コード 銘柄       急騰性    中期的上値余地        
<2307> クロスキャット  ☆☆☆☆☆  ◆◆◆
<2335> キューブシステム ☆☆☆☆   ◆◆◆◆
<2499> 日本和装     ☆☆☆☆   ◆◆◆◆
<3464> プロパティA   ☆☆☆☆   ◆◆◆
<3920> アイビーシー   ☆☆☆☆☆  ◆◆
<4241> アテクト     ☆☆☆☆   ◆◆
<4743> アイティフォー  ☆☆☆☆   ◆◆◆
<6297> 鉱研工業     ☆☆☆    ◆◆◆
<6955> FDK      ☆☆☆    ◆◆◆◆
<7567> 栄電子      ☆☆☆☆☆  ◆◆◆
                    
※急騰性は☆が多いほど強く、中期的上値余地は◆が多いほど大きい。


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