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【特集】“最速の上げ足”を追え、上値期待内包「厳選10銘柄」 <株探トップ特集>

4月新年度入りから雰囲気も変わり、日経平均2万2000円台を順調に回復した東京株式市場。とはいえ、ここからは上値の重さも意識される水準だ。こうした状況で狙い目となる上値期待を内包した銘柄を追った。

―変わった景色、新年度“東京株式市場”ここからの狙い―

 東京株式市場は4月新年度入りから大きく景色を変えた。昨年11月以降、徹底した売り主体として君臨した外国人投資家が買いに転換、これが日経平均株価の押し上げに寄与した。ただ、外国人の買いについては戦略的にショートポジションを取っていたヘッジファンドの買い戻しなどによる部分が多く、日経平均2万2500円~2万3000円に積みあがった滞留出来高を考慮すれば、ここからは上値の重さが意識される可能性もある。

●逆境を乗り越え中小型材料株に陽光降りそそぐ

 一方、3月中旬から下旬にかけ大幅な調整を強いられた中小型材料株だったが、4月中旬以降は戻りに転じ、人気の入れ替わりが激しいとはいえ、「ヒットアンドアウェイで短期スタンスに特化した個人投資家はそれなりの成果を上げている」(国内ネット証券)という。東証1部の中型株指数小型株指数ともに3月26日を底値として戻り足を明示している。また、4月後半に再び下値模索の展開を強いられた新興市場でも、直近4月17日に日経ジャスダック平均マザーズ指数ともに底を入れてリバウンドに転じ、「今回も追い証(追加保証金)による投げ売りの危機は回避された形」(同)となった。

 とりわけ、個別テーマに乗る銘柄の一角は勢いのあるところをみせており、その象徴が世界的に市場急拡大途上にある人工知能(AI)関連や、インバウンド効果による地価上昇などが追い風となった不動産流動化関連だ。

 また、世界的な電気自動車(EV)シフトの動きが加速するなか、関連需要が企業のビジネスチャンスを広げている。いよいよ現実買いのステージに入ってきた感触があり、EVの基幹部品であるリチウムイオン電池関連や全個体電池関連なども再攻の余地がある。

 ここは全体指数に惑わされず、上値に大きな期待を内包する足の速いテーマ材料株に改めて的を絞ってみたい。

 ひとつ注意を要する点としては、この時期は企業の決算発表が相次ぐこと。発表された業績が良くても悪くても売られるケースが多いため警戒感は根強く残る。したがって決算発表の前後はどうしても神経質な動きを強いられるため、そのタイミングでは当該銘柄の保有株式を軽くしておくことが実践的には賢明な措置といえる。今回エントリーした10銘柄は決算発表がゴールデンウイーク後に予定されているもの、もしくは決算発表を通過したものを中心に選出した。

●AI関連にビッグウェーブ、この銘柄群に照準

 AIはもはや我々の生活レベルでも深く浸透している。新聞を手に取れば、今や見出しにAIの文字が躍らない日はない。2045年にはAIが人類の英知の総和を超えるシンギュラリティが到来するとの見方があるが、実際その瞬間はそれよりも早く訪れる可能性がある。株式市場でもAIは最強テーマとして常に存在感を誇示しているが、直近は有力ベンチャー企業であるHEROZ <4382> [東証M]が鳴り物入りでマザーズ市場に上場したこともあって、関連銘柄を改めて刺激している。

【クロスキャットはAI、ブロックチェーンで雄飛へ】

 クロスキャット <2307> [JQ]はクレジットや金融機関向けシステム開発で実力を発揮している。AIやビッグデータ解析、ブロックチェーン 分野に積極的に踏み込み将来性に富む。ブロックチェーン技術で先駆するカウラ社と協業。既に仮想通貨発行などの先端技術に関するエンジニア育成に動き出しており、同分野のキーカンパニーの一社となる可能性がある。株価は年初に1343円の高値をつけた後下値を切り下げてきたが、仕切り直しのタイミングが近い。<急騰性=5 中期的上値余地=3>

【NTTDIMはintra-mart AI基盤に思惑】

 エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート <3850> [東証M]はウェブシステム構築などのソフト開発を手掛ける。AIを組み込んだ業務アプリケーションの開発を可能にする、intra-mart AI基盤を実用化し、同社が提供する製品・サービスとAI技術を連携させることで、より精度の高い、効果的なインテリジェントシステムの構築に成功。仮想通貨のネット広告審査を代行するサービスなどにも展開している。2017年の年初から1年4ヵ月にわたり26週移動平均線にサポートされた下値切り上げ波動を形成中。<急騰性=3 中期的上値余地=4>

【IT基盤を完全サポートのソフトクリエHDに上値】

 eコマース分野も今後、購買分析や販促などでAIの活用が広がり、商機が一段と膨らむ可能性が指摘される。そのなか電子商取引(EC)を中心に業務用ソフト開発を手掛けるソフトクリエイトホールディングス <3371> は要注目となる。アパレル業界などがEC化投資を加速させており追い風が強い。システムインテグレーションでも大型案件を確保、クラウドインテグレーション事業と合わせIT基盤のすべてをサポートする盤石の業務体制が強みだ。4月以降は次第高の動きをみせているが、急騰習性も魅力で滞留出来高の薄い1600~1700円台を一気に駆け抜ける公算も。<急騰性=4 中期的上値余地=4>

【マーケットエンタはグローバル展開で成長期待】

 マーケットエンタープライズ <3135> [東証M]はネット特化型でリユース品売買を手掛ける。ReRe、Amazon、ヤフオク、楽天市場などマーケットプレイスにおいて販売し、マルチチャンネルでの商品取り扱いで幅広い顧客ニーズを捉えている。また、中古農機や医療機器事業へも参入し、ワールドワイドに多様な需要を取り込んでいく構え。株価は昨年11月下旬に瞬間風速で1490円の高値をつけており、800円台半ばを超えれば戻りに弾みがつくケースも考えられる。<急騰性=4 中期的上値余地=2>

●“観光立国日本”が不動産流動化関連に新風

 今の株式市場においてAI技術がバーチャル空間の絶対王者的なテーマであるとするなら、かたやリアル空間では「デフレ脱却」の命題を背景に土地に絡む企業の復権がテーマ性を帯びつつある。

 外国人投資家は4月に入り売り主体から買い主体へと宗旨替えしているが、海外マネーの東京市場上陸が始まるに先立ち、既に年初からREIT(上場不動産投資信託)市場への継続的な買いが観測されていた。日銀の黒田総裁が続投し、副総裁を雨宮正佳氏、若田部昌澄氏の両氏で脇を固めたことで、当分の間はリフレ路線の継続が見込まれる。低金利環境が担保されていることに加え、日本の地価は昨年から地方圏の商業地でも上昇傾向にあることが確認されている。安倍政権が成長戦略に掲げた訪日客拡大へのプロモーションが、忘れ去られていた土地ダイナミズムを復活させつつある。

 ここ不動産流動化 を手掛ける中小型株が、地殻変動を起こすかのごとく株価を動意させている。海外マネーが狙うのは何もREIT市場だけではない。ここから注目必至となりそうな銘柄がまだいくつも不動産セクターに眠っていそうだ。

【新日建物のリーマンからの復活劇はまだ序章】

 新日本建物 <8893> [JQ]はマンションや戸建て分譲のほか不動産流動化事業を手掛けるが、株価は昨年秋以降、急変貌モードにある。同社は2008年のリーマン・ショック後に業績は著しく低迷したが、その後事業再生ADRを活用して経営再建に成功した。訪日観光客の増加が続くなか、リノベーション物件は中期的に追い風が強い。18年3月期は流動化事業の好調を背景に売上高を134億3000万円から149億9000万円(前期比32.6%増)へ、営業利益を8億8000万円から11億7000万円(同40.1%増)へ大幅に増額している。19年3月期も増益基調が続きそうでPER8倍台で400円台の時価は依然として見直し余地が大きい。<急騰性=3 中期的上値余地=5>

【フージャースは業績急拡大途上、再浮上へ】

 フージャースホールディングス <3284> は首都圏中心にマンション開発を手掛けるが、全国展開へと活躍の場を広げ業績は急拡大途上。17年3月期76%営業増益に続き18年3月期も32%の伸びを見込んでいる。新型ライツイシューによる資金調達で注目され、株主構成でも旧村上ファンド系の投資会社オフィスサポートが大株主に登場するなどで話題を集めた。時価総額500億円弱で値動きはやや重いものの、時価もみ合いは買いに分がある。<急騰性=3 中期的上値余地=3>

【地方圏の大穴株エストラストは水準訂正高秒読み】

 エストラスト <3280> はで山口県を中心に省エネ型のマンション開発を手掛ける。2017年は山口県の地価が27年ぶりに上昇した。また、訪日客に人気の福岡エリアをはじめ九州にも積極展開している。九州を地盤とするグランディーズ <3261> [東証M]が直近こそ反動安に見舞われているものの、短期間で株価を60%も上昇させており、その流れで注目される。出来高流動性に難があるものの、山口県トップのマンション開発業者として時価総額60億円は見直されて不思議はない。<急騰性=4 中期的上値余地=5>

●EV普及加速で車載用2次電池に再び脚光

 世界的な自動車の環境規制強化の流れが、欧州や中国をはじめとして国策レベルでEV普及を強力に後押しする格好となっている。その動力源である車載用2次電池市場も急拡大、その主流を形成するリチウムイオン電池の部材メーカーのほか、ポストリチウム電池として脚光を浴びる全固体電池分野で研究開発を進める企業に光が当たっている。

 株式市場でもリチウムイオン電池の需給逼迫の思惑を背に幅広い銘柄が総花的に買われたが、需給先行で行き過ぎに買われた分、理想買いの反動で一時期は調整局面も余儀なくされた。しかし、ここにきて世界的にEV関連投資拡大の動きが強まるなか、実需が見込まれる関連銘柄には現実買いの動きが再び顕在化している。

【オハラはリチウム電池全固体電池を再評価へ】

 オハラ <5218> はリチウムイオン電池の性能を向上させるガラスセラミック素材を利用した添加剤を開発しており、引き合いが旺盛だ。また、将来的にはリチウムイオン電池に取って代わる次世代電池として期待される全固体電池の試作にも既に成功していることで、マーケットの注目度が高い。一般的に全固体電池は界面抵抗が大きく、なかでも酸化物系の無機固体電解質を使用したものは低温化での特性が著しく低下することが課題となっていたが、同社は試作段階でこのハードルをクリアしている。株価は1月18日に4330円の上場来高値をつけた後、直近4月17日には2208円までほぼ半値水準に売り込まれた。18年10月期は営業利益段階で横ばい見通しながら、売り玉は一巡しており、今後マーケットは19年10月期以降の成長期待を織り込む段階に入る。<急騰性=3 中期的上値余地=4>

【コバルト価格上昇でアサカ理研も見直しの機】

 一方、アサカ理研 <5724> [JQ]もここ急速に見直し買いが流入している。EV関連特需でリチウムイオン電池に使われているレアメタルのコバルト不足も深刻化している。価格も上昇一途をたどり、コバルトのスポット価格は2年前の約4倍に達している状況だ。最近は米アップルがコバルトの安定調達に向け鉱山会社と直接購入の交渉を進めるなど、世界的にも囲い込みの動きが活発化している。そのなか、アサカ理研は都市鉱山などから金や白金、コバルトなどの希少金属を回収し精製するビジネスを展開しており、まさに現実買いのステージを迎えているといえそうだ。株価は2014年11月に400円台から8日連続のストップ高を交え、わずか13営業日で8940円まで買われる記録的な暴騰をみせた実績がある。<急騰性=5 中期的上値余地=3>

【番外編でRIZAP関連、ぱどに上値思惑】

 最後に一本釣り銘柄として、ぱど <4833> [JQG]に注目したい。ここまで取り上げてきたテーマとは直接関係ないが、同社はフリーペーパー の大手で、パーソナルトレーニングジム「RIZAP」を中心とする美容・健康関連事業などで業績を急成長させるRIZAPグループ <2928> [札証A]の子会社として上値思惑がある。RIZAPはM&A戦略に長じており、規模の追求でフリーペーパー事業の基盤強化にも注力の構えをみせる。サンケイリビング新聞社を3月29日に買収して子会社化することを発表、これに伴いフリーペーパーの発行部数は、ぱどとサンケイリビングと合計で2000万部を超える。当然ながら日本最大級で物販などとのシナジーは計り知れない。<急騰性=4 中期的上値余地=2>

◇疾風迅雷、電撃上値追いモード厳選10銘柄◇

銘柄 <コード>          急騰性  中期的上値余地
クロスキャト <2307> [JQ]  ☆☆☆☆☆    ◆◆◆
マーケットE <3135> [東証M]  ☆☆☆☆     ◆◆
エストラスト <3280>       ☆☆☆☆  ◆◆◆◆◆
フージャース <3284>        ☆☆☆    ◆◆◆
ソフトクリエ <3371>       ☆☆☆☆   ◆◆◆◆

NTTDイン <3850> [東証M]   ☆☆☆   ◆◆◆◆
ぱど <4833> [JQG]      ☆☆☆☆     ◆◆
オハラ <5218>           ☆☆☆   ◆◆◆◆
アサカ理研 <5724> [JQ]   ☆☆☆☆☆    ◆◆◆
新日建物 <8893> [JQ]      ☆☆☆  ◆◆◆◆◆

※急騰性は☆が多いほど強く、中期的上値余地は◆が多いほど大きい。

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