【市況】「シリア攻撃終息へ、株式市場も前年4月反転を再現か」 <東条麻衣子の株式注意情報>
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
「シリア攻撃終息へ、株式市場も前年4月反転を再現か」
●シリア空爆は米ロの体面保って終息か
14日未明、トランプ政権が昨年4月に続く2度目となるシリア攻撃を行った。今回は攻撃に英・仏が参加したこともあってか、米国とロシアの関係悪化を唱える記事が目立つ。
しかし、筆者は今回のシリアへの軍事攻撃は、米国・ロシア双方の体面を保つ形で終息したものと見ている。
今回のシリア攻撃について、マティス米国防長官は「アサド政権に化学兵器を使用させないために行った1度限りの攻撃だ」と発言している。一方、国営シリア・アラブ通信によると「(負傷した民間人3人を除くと)被害は物的被害のみ」であることが伝わっている。
トランプ大統領が事前にシリア攻撃の可能性について触れる中、ロシアによる警告もあって、シリア政府が空爆に備えて軍事施設から人員を避難させたため深刻な人的被害は避けられたようだ。
結果的には、ロシアからすると空爆によるシリアへの実質的な打撃が回避できた一方、米国にとっては軍事攻撃を実施したことでその体面が保たれた格好となった。
以上のことから、週明け16日の日本のマーケットは一時的にリスクオフの動きを見せる可能性はあるものの、あってもそれは限定的なものにとどまると考えている。(※編集部注:本稿執筆は15日)
●昨年4月のデジャブ? 近づく相場の転機
また、前週末13日の米国市場を見ると、NYダウはシリア情勢を懸念した売りが広がり122ドル安と反落。一方、米国10年債利回りは前日比-0.015の2.824、ドル円も107円台で終えており、債券・為替市場におけるリスク回避の動きは限られた。
債券・為替・コモディティ・株式の各市場がそれぞれ異なる動きをみせることは多いが、最終的には為替・債券・コモディティの動きに鞘寄せされる形となることが多いように思う。
米中貿易摩擦やシリアへの軍事攻撃など、まるでデジャブかと思えるほど、状況は昨年4月に酷似してきている。そして、前回4月10日付の本欄でも述べた通り、株式市場も前年同様にそろそろ反転のタイミングを迎えるのではないかと考えている。
地政学リスクや米中貿易摩擦などの問題が解決されたわけではなく引き続き注意を要するが、過度な懸念に縛られたままでいると大きな流れに乗り遅れる可能性があることも指摘しておきたい。
◆東条麻衣子
株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。
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