【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「次は75日線トライに期待」
株式評論家 富田隆弥
◆4月になり、証券界にも多くの新人が入社してきた。大いなる活躍に期待したいところだが、株やマーケットについてまともに教育を受けないまま営業部隊など前線へと送り出され、早々に証券界から撤退してしまう新人は少なくない。
◆こんなことが毎年繰り返されるこの業界。「株屋さん」という言葉が消え去り、いまは「AI」を操るシステム関係の者がもて囃されると伝え聞く。なんとも寂しい限りだが、そう感ずるのは自分だけではないようだ。個人投資家や証券関係者からも同様の声が聞こえてくる。
◆だが、問題は証券会社ではなく、どうも大元の「証券取引所」にあるような気がする。証券マンの育成だけでなく、株式市場の活性化、市場に携わる関係各社の成長には、証券取引所の親方日の丸体質を改善する必要があるのではないか。難しいことだが…。
◆さて、こうした問題におかまいなくマーケットは日々動く。NY市場や外国人次第という日本株だが、NYダウ平均の乱高下は相変わらずで、4月になっても荒い展開が続いている。米中貿易戦争が懸念されて売られたかと思うと、交渉進展の観測により買い戻されたりと忙しい。今秋の中間選挙を睨みトランプ大統領のお騒がせ発言は今後も続くと思われ、マーケットはもう暫く振り回されることが想定される。
◆ただ、日足チャートを見るとNYダウ、日経平均株価とも200日移動平均線や52週移動平均線を下値に徐々に値を固めてきた。 為替(ドル円)も107円台を回復。これは4月相場浮上の兆しでもあり、注目される。
◆日経平均は5日に2万1645円引けで、2万1300円台にある25日移動平均線と200日移動平均線を突破。5日の米国で為替が107.39円で終え、3月28日に付けた107.02円を上抜き好転の兆しを見せる。こうなると、日経平均は75日移動平均線が位置する2万2300円台を、為替も75日線のある108円台半ばを試すように上昇してもおかしくない。
◆もちろん、日経平均は2万2500円~2万3000円台にかけて一目均衡表の雲や週足の13週移動平均線、26週移動平均線など多くの節が待ち構えている。明確な好転にはそれらをクリアしなければならないが、その前に75日移動平均線を試すような「アヤ戻り」を見せる可能性はある。
◆NYダウは2日に一時758ドル安の2万3344ドルまで突っ込み、4日は379ドル安と急落して始まったものの終値は230ドル高の2万4264ドル(5日現在2万4505ドル引け)と荒い展開は相変わらずだ。しかし、日足は200日移動平均線(2万3466ドル)を下値に二点底を形成して25日線(2万4527ドル)まで戻してきた。2万5000ドル近辺にある75日線を突破しなければ「二点底」は確定しないが、その75日線を試しにいく可能性は出てきたと言える。
◆年金や税還付金などのマネーが流入しやすい4月。冒頭の新入社員の話ではないが、株式市場も5月まで上昇(アヤ戻り)を期待したい。
(4月5日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ