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【特集】KLab Research Memo(3):ユーザーの獲得と課金率の向上が業績の伸びをけん引

KLab <日足> 「株探」多機能チャートより

■会社概要

2. 企業特徴
(1) 成長モデル
KLab<3656>の収益源はゲームユーザーからのアイテム課金収入によるものである。すなわち、ヒットタイトルの創出によるユーザーの獲得と課金率の向上が業績の伸びをけん引する成長モデルである。また、モバイルオンラインゲームのヒットタイトルは、運用次第で比較的ライフサイクルの長期化が見込めるものの、年々縮小していく傾向(自然減)は避けられない。したがって、ヒットタイトルの自然減を新作タイトルでいかにカバーしていくのかが最大のテーマであり、開発パイプラインの積み上げ(新作タイトルのリリース数)とヒット率の向上が成長のカギを握ると言える。

(2) 同社の優位性
a) 人気IPをヒットタイトルに結び付ける力
同社は日本の人気漫画やアニメーションなどをゲーム化し、運用するところに強みがある。主要タイトルの「スクフェス」や「キャプテン翼」を始め、数々の人気IPを手掛けてきた実績は、有力IPの獲得から、そのIPを生かす企画・開発、更にはリリース後の運営及びマーケティングにおけるノウハウを蓄積しており、それが同社の強みを支えている。特に、日本のポップカルチャー(オタク文化)は、アジアや欧米など世界でも人気を高めており、海外展開を進めるうえでも大きなアドバンテージとなっている。また、有力IPをゲームでヒットさせてきた実績と経験、ネットワークは、更なる有力IPの獲得に向けて有利に働くとともに、自社IPの育成にも生かされており、好循環が生み出されている。

b) 独自のマーケティング力
精密なKPI分析や効果測定による効率的な広告宣伝活動を展開するほか、同社ならではのオンライン動画配信※等により、コアとなるユーザー層を囲い込む(ファンコミュニティの醸成)、効果的なマーケティングを展開している。また、これらの草の根的なユーザー接点(ネットワーク)は、新作タイトルの企画・開発におけるヒントや、リリース後の運用においても大きな支えになるとともに、他社が簡単にはまねできない財産となっている。

※国内向けは「KLab Games 放送局」(2017年12月に放送100回を突破)、海外向けは「KLab Games Station」(英語/フランス語で放送)を展開し、国内外でファンコミュニティ醸成に貢献している。


c) 運営力
前述のとおり、一般的なモバイルオンラインゲームには年々縮小していく傾向(自然減)がある上、ユーザーの移り変わりも激しいところに課題がある。一方、同社の場合、最近の業績推移を見ると、時間の経過とともに増収となっている既存タイトルがあることから、その運営力の高さも強みになってきた。コアファンを有する人気IPの特徴をうまく生かし、ユーザーが離れないようなイベント及び商材をタイミングよく投入することで、継続率及び課金率の向上を図っているところに秘訣があると考えられる。

d) 海外展開力
海外展開力にも強みがある。海外売上比率は約19%(2017 年12 月期実績)であるが、過去3年間で4倍以上に拡大してきた。特に、「ブレソル」については、多言語化(フランス語版の投入)を図ったことも奏功し、グローバル版が日本版を上回る状況となっている。海外でも人気の高い日本のIPを展開する力に加えて、海外向けのオンライン動画配信を始め、欧米のリアルイベントにも出展・参加するなど、現地に根差したマーケティング活動を行っていることが背景としてある。また、Web広告配信の自社運用も開始しており、これらのノウハウの蓄積にも取り組んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《NB》

 提供:フィスコ

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