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【通貨】為替週間見通し:もみあいか、ドルに関するトランプ政権の真意を見極める展開

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■米国の為替政策を巡ってリスク回避のドル売り強まる

先週のドル・円は軟調推移となり、一時108円28銭まで下落する場面があった。ムニューシン米財務長官は24日、「ドル安は貿易にとって良いこと」と述べたことや、日本銀行の黒田総裁がダボス会議で「日本経済は緩やかな成長を継続する可能性が高い」、「ようやく2%の物価目標に近づいた」との見方を示したことがドル売り材料となった。

日銀は「黒田総裁はダボスでインフレ見通しを修正したわけではない」との声明を発表したことでリスク回避のドル売り・円買いは一服したが、市場関係者の間では「日本銀行は年内に金融緩和策縮小について検討を開始する」との思惑が広がった。

米財務長官の発言についてトランプ米大統領は「最終的に、強いドルを望む」、「経済が強くなれば、ドルも強まる」などの見解を示しており、ドルに関する米国の政策は従来と変わっていないとの見方が広がった。しかしながら、ムニューシン米財務長官は26日、「短期的なドル相場を懸念していない」、「ドルに関する自身の発言は偏りがない」との見方を伝えており、トランプ政権はドル安を容認しているとの思惑が再浮上した。

26日のニューヨーク市場でドル・円は、109円59銭まで買われた後に、108円28銭まで
反落し、108円63銭で取引終了。取引レンジ:108円28銭-111円22銭。

■もみあいか、ドルに関するトランプ政権の真意を見極める展開

今週のドル・円はもみあいか。米国のムニューシン財務長官がドル安を容認する発言をした直後、トランプ大統領は「強いドルが望ましい」と正反対の見解を示しており、為替に関するトランプ政権の「真意」を探る展開となりそうだ。

ムニューシン財務長官は「強いドル」を支持しているとみられていたが、スイス訪問中に「ドル安は貿易にとってよいこと」と述べ、ドル売りが急速に広がった。トランプ大統領は米メディアとの会見で「ムニューシン米財務長官のドルに関するコメントは、文脈から外れて引用された」、「最終的に、強いドルを望む」と答えており、トランプ大統領は財務長官の発言を否定したとみられているが、為替に関する米国政府の見解を巡って外為市場参加者の見方は分かれているようだ。

そうしたなか、30日のトランプ大統領による一般教書演説が注目される。また、それに先立ち、大統領選の公約としていた1兆ドル規模のインフラ整備を柱とした政策を打ち出すとみられている。トランプ政策は「強いドル」に直結するものでなければ、政策運営への不安が強まり、リスク回避のドル売りが再び広がる可能性がある。

米連邦準備制度理事会(FRB)が30-31日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが決まる見通し。3月利上げに向けタカ派寄りの声明内容になった場合、ドルを買い戻す動きが広がりそうだ。

トランプ大統領による就任2年目の一般教書演説。内政・外交全般の施政方針が注目される。大統領選の公約としていた1兆ドル規模のインフラ整備が政策の柱となる見通し。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(30-31日開催予定)
今回はイエレンFRB議長の記者会見は予定されていない。政策金利は据え置きの公算だが、声明が前回12月と差のない内容だった場合、3月利上げの思惑は強まり、ドル買い材料になるとみられる。

予想レンジ:107円00銭-111円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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