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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「強まる“ドル安”懸念」

株式評論家 富田隆弥

日経平均株価は24、25日と続落し、2日間で454円下げた。23日には2万4129円まで上げ、「26年ぶりとなる2万4000円台乗せ」に関係者や投資家のマインドは盛り上がったが、1月も終盤を迎えたところで年初からの熱気に冷水を浴びせられる格好になった。

◆25日の日経平均の終値は2万3669円で、チャートはまだ25日移動平均線(2万3424円)の上にあり、1991年当時の目安「2万5000~2万7000円」を目指した流れにあると言える。ただ、テクニカル指標の過熱状態が続いているほか、為替や決算発表で気になる動きも出てきた。

◆25日にかけての下落要因は「円高」だ。25日にドル円は一時108円50銭まで円高が進んだ。ドル円の日足チャートは、1月10日に25日移動平均線、75日移動平均線、200日移動平均線を軒並み割り込み「円高方向」への崩れを示唆していたが、23日にトランプ大統領がセーフガードを承認、そして24日にダボス会議でムニューシン米財務長官のドル安容認発言があり円高をさらに加速させた。昨年9月に107円32銭があり、チャートはそれを目指す可能性があるだけに、しばらく為替の動向から目が離せない。

◆また、強気筋の掲げる要因の一つ「好業績」にも黄色信号が灯る。日銀短観での企業の下期想定レートは109円66銭。それを割り込む円高となれば、好業績で買われてきた輸出ハイテク関連など主力株には「利益確定売り」が出やすくなる。23日に決算発表の先陣を切った安川電機 <6506> 、東京製鉄 <5423> は好決算を発表したものの、安川電機の株価は6060円から25日に5630円まで売られ、東京製鉄も一時1031円の高値をつけたものの25日に952円まで売られた。また、24日付の日経新聞のコラム銘柄診断で「為替抵抗力を評価」の標題で取りあげられたソニー <6758> は23日5738円高値から25日に安値5202円と2日間で500円超も売られた。

◆つまり、好業績期待が高まっていただけに、さらなる好決算を出さなければ「出尽くし感」が勝り、そこに円高が加わって売りを誘いやすい地合いになっていると言える。そうしたことで主力株や値がさ株、ハイテク株が下落すれば日経平均の下落も避けられず、為替次第では下値ポイントの25日移動平均線を割り込むことにもなりかねない。

◆「米国が利上げに動くので為替はドル高・円安に振れる」と市場関係者は一様にコメントしてきたが、実際の相場はそうなっていない。米10年債利回りは3年半ぶりとなる2.66%に上昇しているが、為替は「ドル安」を強めている。背景には「米国債の価格下落→米国債の信認低下→米国債売り」という米国債を巡るリスク台頭もあるだろう。2月4日のFRB議長の交代も気掛かりになってきた。

◆いまだに高騰を続けるNYダウだが、チャートは高値警戒を強めている。そして、日本株も先高観測は依然根強いが、信用評価損益率が▲3.6%(1月12日時点)まで改善するなどテクニカル指標の過熱状態は続き、そこにドル安・円高が加わる。ドル円のチャートがすぐに好転するのは難しく、ここは一旦「慎重に身構える」のも一策ではないだろうか。

(1月25日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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