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【経済】平野淳也:9歳の誕生日を迎えるビットコインの出発点と、現状【FISCOソーシャルレポーター】


以下は、フィスコソーシャルレポーターの暗号通貨研究家の平野淳也氏(ブログ「Think Nomad」、Twitter: @junya_1991)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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過ぎてしまいましたが、先日はビットコインのジェネシスブロック(最初のブロック)の誕生した日でした。
ビットコインは9歳になりました。
ブロックに記述されていた文字列はこちらです。
「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks(銀行救済に二度目の公的資金注入へ)」





今日まで休むことなく稼働しているビットコインのブロックチェーンはここから稼働しました。
2009年1月3日のタイムズ紙の新聞の見出しをブロックに記述しています。
2009年1月3日の新聞の見出しは、当然、1月3日以降にしか知る由はなく、ジェネシスブロックは1月3日以降に作成されたものであるという「証明」になっています。
とはいえ、新聞の見出しは、他なものも選ぶことはできたはずで、このとき銀行救済のニュースを選んだことには、思想的な何かがあったと推測できます。
このときの銀行救済は、もちろんリーマンショックにおけるときのもので、銀行家が金融システムをコントロールしていたこと、失敗が起きたときは市民の税金で補填をするというやり方に物申したいことがあったのだろうと推測できます。
世界中のあらゆる信用通貨は紙切れになってきたことは歴史が教える通りですし、恐らくそのような思想がもとに生まれたビットコインは、はじめて自分の手でコントロールできるかもしれない「誰にも止められないお自由な金」としての可能性を提示しまし
た。
ビットコインはその仕組みがゴールド(金)に強くモデリングされていて、実物貨幣に近いです。
僕もその可能性に感動せずにいられなかった一人です。


一方、その自由なお金は、現在当初思いもよらなかった使われ方もしています。
ビットコインのプロトコル外で、ビットコインのコードを原型にして、信用貨幣が数多作られています。
これが今、巷で草コインと呼ばれるアルトコインたちです。
これらの多くは他のコインのコードをコピー、またはわずかな改良をほどこして簡単に「鋳造」されたような信用貨幣そのもので、大抵発行者に最大の益があります。
これは信用貨幣に近いといえます。
どんなに素晴らしい仕組みと可能性が提示されても、悪いことをする人はいますし、悪い人に大衆は騙される。
これも歴史が教える通りだったといえますが、ビットコインが提示した可能性に感動した多くの人は、そこに熱狂した多くの人は、このことが見えていなかったかも知れません。
僕もまさか信用通貨の経済圏から脱却を目指したはずの暗号通貨の世界にまできて、信用通貨がこれほど存在感を示すとは、3・4年前は、想像もしませんでした。
そういった意味では、現在暗号通貨の世界で起こっていることは、近代貨幣の歴史を繰り返しているようなものです。
ところで、2009年1月3日のタイムズ紙の見出しは、「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks(銀行救済に二度目の公的資金注入へ)」 でしたが、
2017年1月3日ののタイムズ誌の紙面は、「Bitcoin bonanza takes hold of worlds markets (ビットコインは世界のマーケットを飲み込む)」というものです。

分散型マネーの社会実験の行く末は、まだ誰にも分かりませんが、少しでも良い世界になることを願っています。
※2017年1月8日に執筆

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執筆者名:平野淳也
ブログ名:Think Nomad
Twitter: @junya_1991

《DM》

 提供:フィスコ

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