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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米FOMC、IPOラッシュ、ビットコイン先物

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限23300-下限22500円

来週は米雇用統計の結果を受けた市場反応からのスタートとなるが、米労働省が8日発表した11月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が22.8万人増と、コンセンサス(19.8万人増)を上回る結果となった。賃金の伸びは緩やかなものにとどまったものの、経済が好調な状態であることを示した。週明けの日本株市場はこれを材料視した流れから買いが先行することになりそうだ。

その後は12日-13日の連邦公開市場委員会(FOMC)に市場の関心が移るが、今回のFOMCでは利上げ実施が確実視されており、FFレートは現行の1.00~1.25%から1.25~1.50%へと引き上げられる見込み。そのほか、2018年の利上げ見込み回数の変更の有無も注目されよう。来年は2回ないし3回の利上げ実施が予想されるなか、仮に3回のとなるようだと為替市場では円安・ドル高方向に進む可能性があり、株式市場には好感されそうだ。

また、14日-15日のEU首脳会議では、英国のEUからの離脱(ブレクジット)を巡り、議論が行われる。なお、欧州委員会のユンケル委員長は、英国のブレクジットの条件をめぐる交渉で十分な前進があったと発表している。また、メイ首相は、英国とアイルランドの和平合意の内容は維持されると述べている。これを受けて次の段階となる将来の貿易協定に向けた交渉への道が開かれたことは評価材料になるだろう。

国内では15日に日本銀行が全国企業短期経済観測調査(12月調査)を発表する。大企業・業種別の業況判断DIのコンセンサスは製造業・非製造業ともに24 と、いずれも前回(9月)調査時点から景況感が改善すると見込まれている。良好な景況感を背景とした株式市場の先高期待が一段と高まる可能性がありそうだ。


SQ通過で海外勢はクリスマス休暇に入るところが多く、参加者は次第に限られてきそうだが、外部環境の落ち着き等もあって個人主体による年末高を意識した物色が活発化しそうである。また、日経平均は25日線を突破し、直近のもち合いレンジを上放れつつある。レンジ突破への期待が高まる中、直近でピークをつけた11月9日高値23382.15円への意識が高まろう。物色としては足元で売り買いが交錯しているハイテク株のリバウンド継続を引き続き見極めつつ、シクリカル銘柄への資金シフトが続くとみておきたい。また、個人主導になりやすく、高値圏に位置する中小型銘柄への一段高を狙った売買のほか、2018年のテーマとなりうる銘柄への物色が活発化する可能性がありそうだ。IPOラッシュとなることも、個人の売買を活発化させる一因となる。

その他、ビットコインの急騰が連日メディアを賑わしているが、シカゴ・オプション取引所の運営会社Cboe・グローバル・マーケッツは、ビットコイン先物取引を米中部時間10日午後5時(日本時間11日午前8時)に開始すると発表。また、シカゴ・マーカンタイル取引所を運営するCMEグループは取引開始を18日に予定している。ビットコイン相場が少なからず投資家のセンチメントにも影響を与える中、関連銘柄への波及が意識されやすいだろう。


■為替市場見通し

来週のドル・円は底堅い展開か。8日発表の11月米雇用統計では、非農業部門雇用者数は市場予想を上回る増加となったが、平均時間給の伸びは市場予想に届かず、インフレ進行の思惑は後退した。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は12-13日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.25ポイントの追加利上げに踏み切ることはほぼ確実な状況となっており、追加利上げを見込んだドル買いが先行するとみられる。

現時点で市場参加者の多くは2018年に3回の利上げが行なわれることを想定しているが、FOMC会合後に公表される声明やイエレン議長の記者会見の内容を点検して、金融政策の今後の動向を慎重に見極める展開が予想される。FOMC予測などで2018年以降におけるインフレ鈍化の可能性が指摘された場合、利上げペース鈍化の思惑が広がり、ドル売りが強まろう。




■来週の注目スケジュール

12月11日(月):法人企業景気予測調査、トルコ7-9月GDP、欧外相理事会など
12月12日(火):企業物価指数、独ZEW期待調査、米財政収支、米FOMCなど
12月13日(水):機械受注、英失業率、米政策金利発表、FRB議長会見など
12月14日(木):中鉱工業生産指数、ユーロ圏PMI、欧首脳会議など
12月15日(金):米鉱工業生産指数、欧貿易収支、ロシア政策金利など

《TM》

 提供:フィスコ

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