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【特集】DLE Research Memo(1):事業構造改革により得意領域に注力、強力な後押しも得て業績回復狙う

DLE <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

ディー・エル・イー<3686>はを自社で保有するキャラクターやブランド(IP※)を、インターネット・モバイル時代に最適化させたスタイルで映像、セールスプロモーション、デジタルコンテンツ、グッズ販売など多方面で活用し、短期間に収益を上げる独自の「ファスト・エンタテインメントモデル」で、2014年3月に東証マザーズ上場、2016年4月には東証1部への市場変更と、急成長を遂げてきた企業である。同社の主なキャラクターは、いずれもインターネット・TV・映画等、マルチメディア展開中であり、2016年で10周年を迎えアニメ化は7回を数える「秘密結社 鷹の爪」、静岡エリアからスタートし、今や日本のみならず世界にまで人気が広がった「パンパカパンツ」、日本テレビ<9404>系の朝の情報番組「ZIP」内で放送され、知名度急上昇中の「貝社員」などがある。2015年より女性向けファッションイベント「TOKYO GIRLS COLLECTION(TGC)」の商標権を取得し、アニメーション・キャラクターと、ファッション・ビューティーの2分野で日本を代表するIPを保持する企業となった。

※IP…Intellectual Property:キャラクター等の著作権や、商標権等の知的財産権


1. 事業概要
同社の事業領域にはキャラクターを活用したセールスプロモーション、デジタルコンテンツ(アプリ、スタンプなど)、グッズ製作等を中心的に手掛けるソーシャル・コミュニケーション領域、キャラクターや実写など、TV、映画、Web等の映像コンテンツのプロデュースを手掛けるIPクリエイション領域がある。2015年6月には、日本最大級のファッションイベント「TOKYO GIRLS COLLECTION(TGC)」の商標権を取得しファッション、ビューティーという新たな事業領域に展開を始めた。さらに、2016年9月には「TGC」のイベントプロデュースを行っていた(株)W mediaをグループ会社化(2017年1月に子会社の(株)TOKYO GIRLS COLLECTIONが吸収合併し、(株)W TOKYOに社名変更)、オンラインに加えオフラインでもエンタテインメントサービスを創出することを狙っている。

2. 2017年6月期及び2018年6月期第1四半期実績
2017年6月期は、中国向け大型案件の交渉中止、国内案件の一部受注の見送り、納品時期の次期への変更、越境EC事業の立ち上がりの遅れ等により業績の下方修正を実施した。加えて、海外子会社の清算及び投資先の減損、出資金の減損、一部映像制作事業からの撤退などにより特別損失も発生した。この結果、売上高4,427百万円(業績修正前計画比-2,214百万円)、営業損失895百万円(業績修正前計画比-1,550百万円)、経常損失916百万円(業績修正前計画比-1,561百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失1,801百万円(業績修正前計画比-2,293百万円)と期初の計画を下回った。なお、2017年6月期より、連結決算に移行している。

2018年6月期第1四半期の実績は、事業構造改革により黒字化したものの、映像制作においては案件絞り込みや2017年6月期以前の低収益案件対応などで減収減益であったが、セールスプロモーションの増収、TGCブランドの伸長、新規事業の順調な立ち上がりによる増収増益が上回った。全体では、売上高1,529百万円(前年同期比19.2%増)、営業利益76百万円(同247.4%増)、経常利益77百万円(同290.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益113百万円(同92.0%)と、増収増益となり、通期計画を超過している。

3. 2018年6月期以降見通し
2018年6月期は、2017年6月期の事業構造改革により新体制を構築したが、前期以前に契約を締結した収益性の低い一部案件の納品があることに加え、新体制での営業活動及び開発活動が業績に反映されるまでにはタイムラグがある。このため、売上高 5,999百万円(前期比1,571百万円(35.5%)増)、営業利益-170百万円(前期比725百万円増)、経常利益-183百万円(前期比733百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益で-197百万円(前期比1,604百万円増)と、営業損失となる見込みではあるが、大幅に増収増益を見込む。同社の唯一無二のIPビジネスノウハウと、ファッション・ビューティー、アニメーション・キャラクターにおける強力なコンテンツに加え、大手人材広告企業(株)マイナビとの資本業務提携も生かし、業績回復を狙う。

なお、第1四半期で営業利益はすでに通期計画を上回っているが、会社は業績予想の修正は据え置いている。

■Key Points
・アニメーション・キャラクターと、ファッション・ビューティーの2分野で日本を代表するIPを保有
・2018年6月期第1四半期は、事業構造改革の効果で売上・利益ともに急拡大し、通期計画を上回って着地
・自社の強みを生かす新たなビジネスモデルで、短期的な業績向上を狙うとともに、長期的には保有IPの価値向上に伴う業績拡大を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)

《TN》

 提供:フィスコ

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