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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 出遅れ株に人気循環か

株式評論家 植木靖男

「出遅れ株に人気循環か」

●海外勢動く!様変わりした需給

 株式市場が想定を上回る健闘ぶりをみせている。11月も日経平均株価は月初は大幅高となった。年初からをとっても10月まですべて月初は高い。

 なぜか。昔は証券会社の営業が、月初に“今月も頑張るぞ”と気合いを入れて顧客に株式を買ってもらった。いわゆるご祝儀商いだ。だが、いまはそれがない。ファンドが月末にかけて売却した建て玉を月初に買い戻すということらしい。

 しかし、それにしてもなぜここまで株価は強いのか。もちろん、世界景気の拡大、企業収益の改善といった好材料が背景にあるのだが、やはり需給が9月以降、様変わりになったことが最大の要因であろう。

 たとえば、ここ裁定買い残が急激に増加、1兆4000億円ほどのものが、ここ2ヵ月で2兆8000億円と倍増となっている。海外勢が動いた。先物取引を膨らませ、一方で現物を買っているのだ。

 思い起こすと、15年前半も同じパターンをみせている。当時の急騰相場も裁定買いによるものだ。しかし、本来の長期投資は内外勢ともに広がらず、株価は下落してしまった。

 さて、今後をどうみればよいのか。裁定買い残は、15年当時の水準を上回っていることからも、今後は海外勢のうち長期投資の資金が出動するかどうか。また、ここ海外勢の買いに向かう形で売っている個人投資家が、いつ買い越しに転じてくるかがカギだろう。

 海外勢の動向は、米国株の消長にかかっている。

●株価は九合目、小休止後に頂上トライか

 目下の株価は、日柄、すなわち4月安値からの日数、また移動平均線からの乖離などからみて小休止となる公算はあろう。

 山登りにたとえれば、九合目に差し掛かっていると思われる。しかし、山登りでは九合目から小さな峠を一旦下りて、その後に頂上を目指すことが多い。

 株価も同じか。15年前半当時は九合目から、峠を13日間下って、その後わずか4日間で一気に上昇、天井をつけている。

 峠を下るときのきかっけはなにか。おそらく円高局面入り、米国株の頭打ちかもしれない。NYダウは10月24日に高値をつけて以降、これを更新していない(終値ベース)。慎重に見極めたい。

 ところで、物色人気は、決算発表たけなわ、これに呼応してサプライズな好決算銘柄が買われている。しかし、このことは、たとえ好決算でもすでに織り込み済みのものは容赦なく切り捨てられることを意味する。投資にあたっては株価との相談が肝要だ。

 ともあれ、出遅れ株に物色の矛先が向かっていることは事実だろう。日本ケミコン <6997> 、富士機械製造 <6134> 、三菱商事 <8058> 、アウトソーシング <2427> などに注目したい。

2017年11月2日 記

株探ニュース

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