【特集】高橋春樹氏【10連騰日経平均、“熱狂”はどこまで】(3) <相場観特集>
高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)
―過熱感増すも物色意欲なお盛ん、マーケットの共通認識は―
週明け16日の東京株式市場は、日経平均株価がリスクオンの流れに乗り一段と上昇、ついに10連騰を記録した。騰落レシオやRSIなど指標面からの過熱感は覆うべくもないが、利益確定売りを吸収してなお上値を指向する物色意欲の強さ、21年ぶりの高値圏を突き進むその背景にはいったい何があるのか。10月後半から11月にかけて東京市場の景色は実りの秋一色となるのか否か、第一線で活躍するベテラン市場関係者3人に見通しを聞いた。
●「1996年6月高値を目指す上昇軌道に乗る」
高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)
日経平均株価はきょうで10日続伸となり、いつスピード調整の一服商状となっても不思議ではない状態だ。日経平均は9月8日に安値1万9239円(取引時間中)をつけて以降、9月下旬のややもち合う場面を挟んで、1ヵ月余りの短期間で2000円幅を超える上昇をみせたことになる。従って、今後は500円幅程度の自律的な調整の可能性は考慮しておいた方が良さそうだ。
全体株価が現在の水準まで上昇してきたことで、来週以降本格化してくる7-9月期の決算発表の内容はかなり織り込まれてきており、個別銘柄でもポジティブサプライズに対する株価面での反応はやや限定的となりそうだ。ただ、全般相場に対して「深押しはなさそうだ」との共通認識が広まりつつあり、中期的には1996年6月高値の2万2666円の奪回を目指しての上昇相場に入ったといえる。
少し前まで、市場の一部に「日経平均の構成銘柄は“オールドエコノミー化”して、市場の動きを反映し難くなっているのでは」との見方もあったが、採用銘柄の時価総額上位を見ると、2位のNTT <9432> を3位のソフトバンクグループ <9984> が猛追し、8位にキーエンス <6861> が登場するなどニューエコノミーの台頭も顕在化してきている。また、日経225種採用にはPBR1倍割れ銘柄が多いことも特長だ。
今後の物色動向は、比較的出遅れている内需系のバリュー業種に出番がありそうだ。例えば、銀行、不動産、電鉄といったセクターの好業績銘柄に注目してみたい。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。
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