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【通貨】欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、北朝鮮問題やドイツ議会選を材料視

ドル円 <日足> Slowストキャス 「株探」多機能チャートより

今日の欧米外為市場では、ドル・円は弱含む展開を予想したい。北朝鮮が制裁圧力を強める米国への反発姿勢を示し、新たな挑発行為への警戒から円買いに振れやすい見通し。また、週末のドイツ議会選ではメルケル政権の存続が見込まれ、欧州政治リスクの後退を背景としたユーロ買いの影響により、ドル売り圧力もある程度強まろう。

トランプ米大統領は今週の国連本部での演説で、北朝鮮を「完全に破壊」する可能性を示唆したほか、21日には北朝鮮への制裁措置の強化に向け大統領令に署名した。それに対し、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は米国への「史上最高の強硬対抗措置」に言及。北朝鮮外相は、太平洋での水爆実験の実施をほのめかしており、米朝の全面対立といった危機的な状況に陥る可能性が高まっている。20-21日に開かれた日銀金融政策決定会合で異次元緩和継続の方針が示されたことによる円売りは、一転して円買い方向に振れやすい地合いになりそうだ。

一方、目先はユーロ買いの影響で、ドルが押し下げられる展開もありうる。欧州中央銀
行(ECB)による緩和縮小観測が広がるなか、ドラギ総裁をはじめコンスタンシオ副総裁やプラート理事などECB幹部による講演が来週にかけて予定されており、ユーロ買いにつながりやすい。また、24日に行われるドイツ議会選では、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)が第1党となり、CDUを軸とした連立政権を維持する見通し。ユーロ圏の政治リスクが後退すればユーロを押し上げ、その影響でドル・円にある程度ドル売り圧力がかかりやすくなるだろう。

ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)が19-20日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で金融正常化を推進する姿勢を示したことは、当面はドル買いを誘発する要因となろう。今晩は22時半にジョージ米カンザスシティー連銀総裁が、また23日2時半にカプラン米ダラス連銀総裁が、それぞれ講演する予定。特に、ジョージ総裁はFOMCメンバー内ではタカ派寄りとして知られており、年内追加利上げに前向きな発言が聞かれれば、ドルが買い戻される可能性もある。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・17:00 ユーロ圏・9月製造業PMI速報値(予想:57.2、8月:57.4)
・17:00 ユーロ圏・9月サービス業PMI速報値(予想:54.8、8月:54.7)
・17:00 ユーロ圏・9月総合PMI速報値(予想:55.6、8月:55.7)
・17:30 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁講演(ダブリン)
・19:00 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁が記者懇談(スイス中銀関連会合)
・21:30 カナダ・8月消費者物価指数(前年比予想:+1.5%、7月:+1.2%)
・21:30 カナダ・7月小売売上高(前月比予想:+0.2%、6月:+0.1%)
・22:30 ジョージ米カンザスシティー連銀総裁講演(カンザス/ダラス連銀石油 会議)
・22:45 米・9月製造業PMI速報値(予想:53.0、8月:52.8)
・22:45 米・9月サービス業PMI速報値(予想:55.7、8月:56.0)
・22:45 米・9月総合PMI速報値(8月:55.3)
・02:30 カプラン米ダラス連銀総裁講演(カンザス/ダラス連銀石油会議)
・メイ英首相がEU離脱の方針について演説(フィレンツェ)

《CS》

 提供:フィスコ

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