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【特集】“食卓危機”の救世主、野菜高騰で出番の銘柄は? <株探トップ特集>

シーシーエス <日足> 「株探」多機能チャートより

―日照不足の影響が店頭に波及、カット野菜や植物工場に関心高まる―

 全国的な天候不順を背景に、野菜の価格が高騰している。農林水産省が6日に発表した食品価格動向調査(8月28~30日)によると、レタスの小売価格が前週に比べ22%上昇したほか、キャベツやトマトなども値上がりした。4-6月期国内総生産(GDP)で回復基調を強めた個人消費に与える影響が懸念されるなか、“食卓の危機”を救う企業はどこなのか――。対策関連といえる銘柄にスポットを当てた。

●キャベツ、レタス、トマトの高値続く

 主な野菜の卸価格は高値の状態が続いている。東京・大田市場の8月最終週(25~31日)の1キロ当たりの卸値(中値)は、キャベツが7月第4週(21~27日)と比べ76%上昇の950円、レタスが84%上昇の1793円、キュウリが55%上昇の2009円、トマトが2.3倍の1728円、ピーマンが25%上昇の65円に値上がりした。こうした傾向は当面続きそうで、農水省が8月30日に発表した9月の卸値見通しでは、キュウリとピーマンの月前半は過去5年平均に比べて2割以上高い。8月以降の日照不足が響き、月前半に収穫時期を迎える着果数量が減少していることが大きな要因として挙げられている。

●オイシックスの宅配サービスに注目

 野菜が高騰すると消費者がまず目を向けるのが、比較的価格が安定している野菜の宅配やカット野菜、冷凍野菜だろう。そこで関連銘柄として注目したいのが、契約農家の青果物などをネット販売しているオイシックスドット大地 <3182> [東証M]だ。同社の定期宅配サービス「おいしっくすくらぶ」の会員数は18年3月期第1四半期末時点で約14万7000人(前年同期は約11万8000人)。共働き世帯の増加や健康志向の高まりが追い風となっているが、今後も野菜の高値が続くようだと同サービスへの注目度がさらに増しそうだ。

 このほか、足もとでカット野菜の売り上げが伸長しているキユーピー <2809> 、冷凍野菜を手掛けるニチレイ <2871> や神栄 <3004> 、野菜ジュースを販売するカゴメ <2811> や伊藤園 <2593> 、キッコーマン <2801> などにも代替品としての需要が発生する可能性がある。

●片倉工業やエージーピーは植物工場を運営

 季節や天候に左右されずに野菜を計画的かつ安定的に生産できるといった点で、植物工場 が再び脚光を浴びることも考えられる。設備や光熱費といったコスト高の影響で赤字にあえぐ企業も少なくないが、依然として植物工場に取り組む企業は多い。既に片倉工業 <3001> やエージーピー <9377> [JQ]、富士通 <6702> が低カリウムレタスを生産・販売しているほか、イオン <8267> は6月から大玉トマトの本格出荷を開始。大林組 <1802> はミニトマト、セコム <9735> はフレッシュハーブ、日本山村硝子 <5210> とノーリツ鋼機 <7744> は葉菜類などを栽培している。

 直近では東洋紡 <3101> が7月に、富山大学と共同で薬用植物の栽培研究を始めると発表した。高齢化の進展で市場拡大が予想される漢方薬に使われる薬用植物を安定的に供給できる体制を構築することが主な目的で、同社が富山事業所内に持つ完全閉鎖型植物工場で開発を進めるとしている。

●シーシーエス、岩崎電、エスペックに商機も

 食に対する安全・安心を求める消費者の増加もあって植物工場への関心は高く、今後は小規模プラントから始めた企業の大規模プラントへのステップアップや新規参入が活発化することが予想される。その際、商機を得ることとなる植物工場プラントやシステムを手掛ける企業は、大成建設 <1801> や鹿島建設 <1812> 、大気社 <1979> 、昭和電工 <4004> 、三菱ケミカルホールディングス <4188> 、ジェイ エフ イー ホールディングス <5411> 、パナソニック <6752> など。

 また、アグリバイオ照明を手掛けるシーシーエス <6669> [JQ]や岩崎電気 <6924> 、スタンレー電気 <6923> 、空調システムの朝日工業社 <1975> 、環境モニタリングシステムのチノー <6850> 、複合環境制御装置のシンフォニア テクノロジー <6507> 、人工光型育苗装置のエスペック <6859> 、多段式水耕栽培棚のエスアールジータカミヤ <2445> 、土壌環境や光合成をコントロールするシステムを販売するIDEC <6652> なども関連銘柄として挙げられる。

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