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【特集】都知事就任1年、囁かれる「小池関連銘柄」浮上説を追う <株探トップ特集>

2日で就任1年を迎える小池百合子東京都知事。株式市場の注目も高い。

―“小池効果”のインパクト絶大、遮熱から婚活まで期待銘柄リストアップ―

 東京株式市場は材料難のなか、日経平均株価が2万円を割るなど夏バテ気味の相場が続いている。中小型材料株の物色意欲は旺盛だが、全体相場はどうもピリッとしない。こんな時はファイト一発!頼りになりそうな伝家の宝刀“小池銘柄”に活路を見出すよりない。二元代表制への懸念から代表を退き特別顧問に就いているものの、実質的には小池百合子東京都知事が率いる都民ファーストの会の政策に株式市場でもスポットライトが当たっている。見逃されている有望セクターはまだ存在する。2日には都知事就任から1年を迎えるなか、改めて、活躍が期待される小池銘柄を探った。

●絶大な小池効果、まさにテーマ株の宝庫

 7月2日の東京都議選の投開票日を挟んで、いわゆる小池銘柄に注目が集まったことは記憶に新しい。昨年の小池都知事誕生となった都知事選においても、同氏の政策に絡む銘柄に物色の矛先が向かった経緯がある。今回の都議選においても、小池都知事が掲げる「無電柱化」の推進から電線共同溝を扱うゼニス羽田ホールディングス <5289> [東証2]をはじめ、福祉・介護、待機児童解消、受動喫煙対策など多岐にわたる銘柄に日替わりで思惑買いが入った。まさに、小池劇場第2幕の開幕を買う相場だったといえる。

 ただ、選挙戦が終わっても、いまだ“小池効果”は株式市場で絶大なインパクトを持つ。7月10日、小池都知事は都庁での「LED電球交換開始イベント」にPR動画で共演したピコ太郎とともに出席。これは都内の家電店などに自宅で使用した白熱電球を2個以上持参した都民に、LED電球1個を無償提供するというもの。これを受け、翌日には照明機器メーカー大手でLED照明を収益拡大の原動力としているオーデリック <6889> [JQ]の株価が動意した。また、岩崎電気 <6924> は無電柱化の進展で、LEDによる街路照明の新設需要が同社の収益機会につながるとの見方から、もともと上昇局面にあった株価をさらに刺激し、7月18日には年初来高値237円まで買われている。

 このLED照明の普及加速に向けたPRは、都議選で発表された377項目にも及ぶ都民ファーストの会が掲げた政策のひとつで、公約を速やかに実現しようとする小池都知事の方針に沿うものだ。また、今回のLED関連株の上昇は、小池都知事の発言や政策に対し敏感に株式市場が反応するという証左でもある。まさに、都民ファーストの会の政策は、“テーマ株の宝庫”といえるわけだ。

●クールエリアで丸山製、能美防災

 注目したいのが、ヒートアイランド対策が課題に上るなか「クールエリアの創出や、街路樹の計画的な剪定(せんてい)による緑陰の確保」「遮熱性舗装等の整備や、次世代自動車の普及を促進」という政策。特に「クールエリアの創出」と「遮熱性舗装等の整備」は東京五輪にも絡んだテーマであると同時に、日本列島が猛暑に見舞われるなか、材料難の株式市場でも急遽スポットライトが当たる可能性も高い。

 まず、クールエリアで連想が働くのが、丸山製作所 <6316> や能美防災 <6744> などのミスト関連株。ミストとは霧のことで、噴霧エリアは気温を低下させる効果があり市街地におけるクールエリアの創出には最適だ。丸山製は7月中旬に開催された「猛暑対策展」に出展、ラグビーワールドカップと東京五輪 を見据え、ミストを利用した猛暑対策や演出をテーマにさまざまなシーンで使用できる製品を展示した。同社株は現在のところ商いが薄いものの、個人投資家の注目度も高く急騰習性もあるだけに目の離せない存在といえる。

●佐藤渡辺、NIPPOは遮熱性舗装

 また、近年注目を集めているのが、特別な舗装によって路面の温度の上昇を抑える遮熱性舗装だ。ヒートアイランド対策に加え、東京五輪が7月24日から8月9日という夏真っ盛りのなか開催されることから、マラソン、競歩など公道で行われる競技および観戦者には過酷な環境となり、その対策として株式市場でも近年、関連銘柄に注目が集まっている。

 遮熱性舗装を手掛ける企業は数多いが、三井住建道路 <1776> [東証2]、佐藤渡辺 <1807> [JQ]、NIPPO <1881> 、世紀東急工業 <1898> などに注目。なかで佐藤渡辺は、7月31日にストップ高と値を飛ばし人気化している。また、選手のみならず観戦者保護の視点では、歩道のアスファルト舗装への遮熱について、遮熱性舗装ブロック「ランドサーマス」を手掛ける日本興業 <5279> [JQ]からも目が離せない。また、遮熱塗装では大日本塗料 <4611> が中核的存在で、7月25日に年初来高値をつけたあと調整局面にあるものの、猛暑が続くなかで見直し買いが入ることも考えられる。

 ただ、遮熱性舗装については、まだ需要は大きくないという見方も一部ではあるが、逆に考えれば、“のびしろ”の大きさを窺わせるものだ。株式市場では五輪関連の一角として、折に触れて思惑買いを誘う可能性もある。

●切り口多彩な兼松サステック

 ここ地震が頻発する日本列島だが、“首都直下型”の発生も懸念されており、耐震補強はなんといっても急務だ。都民ファーストの会においても、「セーフシティを目指した都市環境整備をすすめる」とし、数多くの耐震化を目指す政策が掲げられており、その注目度は高い。目を引くのが「住宅の耐震化促進に向け、耐震化率を95%以上に」という項目だ。公共施設や道路、そしてビルの耐震化が叫ばれるなか、当然のことながら民家に向けての対策も重要だ。住宅の耐震補強関連では、ツーバイフォーのリーディングカンパニーである三井ホーム <1868> や地盤調査・改良で兼松サステック <7961> が挙げられる。

 そのなか、兼松サステックは7月28日取引終了後、18年3月期の第1四半期(4-6月)連結決算を発表。売上高は前年同期比1.9%増となる33億2800万円、営業利益は同4.6%増の2億7900万円、最終利益は同0.4%増の2億100万円だった。地盤改良事業が「環境パイル工法」を中心に好調で全体収益に貢献している。同社は、監視カメラも手掛けており、最近ではセキュリティー関連の一角としても、株式市場での存在感を高めている。

●下水道の耐震化で栗本鉄、鋳鉄管、クボタ

 また、耐震化ではどうしても建物に目が向いてしまうが、仮に地震などにより水道管に破損が生じた場合は市民生活に大きな被害がでることになる。都民ファーストの会の政策では「避難所や主要駅、災害復旧拠点等施設の下水道管の耐震化」が取り上げられているおり、まずは“拠点”からの整備を目指そうというものだ。さらには、高度経済成長期に敷設された水道管も多く更新需要も発生している。これらは強靭性、耐食性、加工性などに優れたダクタイル鋳鉄管の需要拡大につながると予想され、この分野では栗本鐵工所 <5602> 、日本鋳鉄管 <5612> 、クボタ <6326> の3社に活躍の舞台が広がる。

 その他では、地方自治体と連携を深める婚活関連にも目を配っておきたいところだ。少子高齢化が進むなか、人口減少を食い止めることは、東京都だけではなく国を挙げて取り組むべき大きな課題になっている。東京都は今年3月4日に「東京都結婚応援イベント・TOKYO 縁結日2017」を東京国際フォーラムで開催。都民ファーストの会でも「結婚を希望する若者が一歩前へ踏み出せるよう、出逢いの場作りなどを支援」としており、小池都知事のさらなるアピール次第では、ツヴァイ <2417> [東証2]、IBJ <6071> などの結婚支援に絡む銘柄が動意することもありえそうだ。

●目が離せない状況が続く

 順風満帆だった安倍政権もここにきて激しい荒波にもまれ、内閣改造で乗り切ろうとしているものの、解散総選挙などという声も永田町からは伝わるようになってきた。受け皿になるはずの民進党は蓮舫代表が辞任、新代表選出となるが、こちらも混迷を深めている。もはや安倍政権としては経済浮揚に向けての政策で巻き返しを図るしかなく、「株式市場としては新たな経済対策など“その点”には期待したいところ」(経済ジャーナリスト)との声もあるが、求心力の低下で実効性に疑問符もつくところだ。

 こうしたなか、今のところ“無傷”なのが小池都知事で、ここにきて国政への進出も取り沙汰される状況にある。都民ファーストから国民ファーストへ、“小池新党”はたして「君の名は?」といったところだが、小池劇場第3幕の開演も囁かれるなか関連銘柄からは当分目が離せない状況が続きそうだ。

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