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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:アップル決算、地政学リスク、米雇用統計


■株式相場見通し

予想レンジ:上限20150-下限19800円

来週は引き続き日米決算を睨みながらの相場展開になりそうだ。前週末の米国市場ではアマゾンの決算が嫌気されたが、これについては先週末の調整によって織り込み済みであろう。今週についてはとりわけ、アップルの決算が予定されていることで、足元で業績期待が高まっている電子部品などハイテク株へ影響を与えることになろう。FANG銘柄の決算については、ネットフリックス以外は利益確定要因になっており、アップル決算が想定内となるようだと、ハイテク株以外にも利益確定の流れが広がる可能性には警戒しておきたいところであろう。また、メガバンクや大手不動産、大手自動車などの決算が予定されているため、より模様眺めムードが強まりやすくなりそうだ。

その他、経済イベントでは31日に7月の中国製造業・非製造業PMIが発表されるほか、8月1日に4-6月のユーロ圏GDP(速報値)、7月の米ISM製造業景況指数、2日に7月の米ADP民間雇用統計、4日には7月の米雇用統計といった重要指標の発表が予定されており、これらを見極めたいとするムードも高まりやすい。7月の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比18.3万人増と6月の22.2 万人増から減速すると予想されている。また、賃金上昇率も前年比2.4%増と6月の2.5%増から減速するとのコンセンサスである。金利上昇要因になりづらく、為替市場での円高傾向が重石になることも考えられる。

日経平均はこう着相場が予想され、物色は決算等を手掛かりとした個別物色のほか、テーマ性のある材料株の一角にならざるを得ないだろう。短期筋の資金の逃げ足の速さも相まって、マザーズやJASDAQの中小型株の調整が目立っている。足元の信用需給面では、買い残高が7週連続で増加しており、残高は多くはないものの、需給の傾きから戻り待ちの売り圧力への警戒にもつながってこよう。さらに、先週末には北朝鮮がミサイルとみられる飛しょう体を発射。米国防総省は、北朝鮮が発射したミサイルは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)だと断定するなど、地政学リスクへの警戒も手掛けづらくさせそうである。稲田防衛相の辞任など安倍政権が一段と苦しい状況に追い込まれていることも、積極的な売買を手控えさせる要因になる。

外部環境の不透明要因等を考慮すると、個人主体の資金は中小型株に向かいやすいだろうが、活発な売買が続くゲーム関連などについても、物色対象は絞られてくる可能性がある。ほか、乱高下を避ける流れのなか、東証2部などに資金はシフトしやすいほか、好業績の内需・ディフェンシブ系に向かいやすい。テーマ性では政策期待は高まりづらいものの、総務省は先週、収益金を子育て支援に回す宝くじを来春に全国で発売すると発表した。地方自治体による保育所や児童館の整備、子どもの医療費助成などの財源に充てる。さらに目黒区は、マンションなどを建築する事業者に対し、建物の中に保育所の設置が可能かどうか区との協議を義務づけるなどとしており、保育関連などに関心が向かおう。また、防衛関連のほか、アップル関連も意識しておく必要はある。


■為替市場見通し

来週のドル・円は上値の重い状態が続く可能性がある。米7月雇用統計などの主要経済指標を点検し、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を探る展開となりそうだ。一方、ヘルスケア法案の審議をめぐりトランプ大統領の議会運営は混とんとしており、政策実現への不安がさらに高まればドル売りが強まる可能性がある。

足元で発表された経済指標は強弱まちまちだが、インフレ抑制を示唆するデータが増えており、FRBの利上げ継続方針には懐疑的な見方が広がっている。このため、インフレ関連指標を中心に経済の動向に対する市場の関心は一層高まる見通し。雇用統計などが低調だった場合、利上げ継続への期待は後退し、ドル売りが優勢となりそうだ。



■来週の注目スケジュール

7月31日(月):鉱工業生産指数、中製造業PMI、米シカゴ購買部協会景気指数など
8月 1日(火):新車販売台数、中財新製造業PMI、ユーロ圏GDP、アップル決算など
8月 2日(水):消費者態度指数、米ADP全米雇用報告、ユーロ圏生産者物価指数など
8月 3日(木):中財新総合PMI、米ISM非製造業景況指数、米製造業受注など
8月 4日(金):トヨタ決算、独製造業受注、米非農業部門雇用者数など

《TM》

 提供:フィスコ

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