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【特集】FANG、FANG、FANG! 快走「米国株」上昇相場は止まらない <株探トップ特集>

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

―すべては好景気と低金利の上に、“ゴルディロックス相場”の宴はいつまで―

 米株式市場の上昇相場が続いている。26日もNYダウ、ナスダックともに最高値を更新、一進一退が続く東京市場を尻目に青空圏を駆け上がっている。米国ではトランプ政権への期待が薄れ、政治不安がくすぶる。また、米金融政策は利上げを意識する局面にある。このなか、なぜ米国市場の上昇基調は崩れないのか。また、けん引役であるFANG株の上昇をどうみればいいのか。米国株上昇のポイントを探った。

●「トランプ懸念」「利上げ不安」の中、最高値快走

 26日の米株式市場で、NYダウ は2万1711ドル01セント、ナスダック指数は6422.747とともに最高値を更新した。米連邦公開市場委員会(FOMC)での声明文を受け、早期利上げ観測が後退したことが好感され、米株式に買い資金が流入した。

 年初からの上昇率はNYダウが約10%、ナスダックは19%にも達する。昨年の米大統領選で大規模なインフラ投資と減税を公約に掲げるトランプ氏が当選。米株式市場は「トランプ相場」に沸いたが、当選から半年が過ぎ「ロシアゲート」による弾劾懸念も囁かれるなか、人気は失速し、いまや「トランプ不安」に転じた。また、足もとでの利上げ観測も株式市場には逆風となる。そのなか、NY株が最高値圏に買われる意味とは何か。

 「米国企業の業績拡大が続いている。また、世界的にはまだ金融緩和状態で資金は余っており、そのおカネが米国に流入している」と日本アジア証券の清水三津雄ストラテジストはいう。米国は4-6月期決算の真っただ中だが、S&P500構成企業の一株利益(EPS)増益率は6%増が予想されていたが、最終的には10%近くに上振れして着地すると予想する見方もある。特にマイクロソフトやフェイスブックなどIT企業の好調さが目立つ。

●「好景気だが金利は上がらず」が株高支える

 ロシアゲート問題に揺れるトランプ政権に関しても市場では「米共和党が上下両院で過半数を占めているなかでは、大統領の弾劾に至るまでのハードルは高い」(外為どっとコム総研・神田卓也調査部長)とみられている。また、「トランプ氏に対する期待は完全にはげ落ちている。むしろ政策に前進があれば、市場はポジティブサプライズとして受け止めるだろう」(米国株アナリスト)とみる声も少なくない。「景気は良いのに物価は抑えられている。これが米国の株高を支えている要因だ」と第一生命経済研究所の桂畑誠治主任エコノミストは指摘する。“熱すぎず冷たすぎず”、いわゆる「ゴルディロックス相場」が米国株高の基調を支えているというわけだ。

●9月のFOMC、ECB理事会がカギ握る

 そんななか、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが上昇相場の基調を崩さないかが、焦点となっている。桂畑氏は「FRBのバランスシート縮小が9月に始まることは、ほぼ市場に織り込まれている。焦点は追加利上げの時期」だという。今年12月の追加利上げの可能性はほぼ半々だが「これが来年へと一段と後ズレすれば、米株式市場は好感するだろう」と同氏は指摘する。

 さらに直近の不透明要因として浮上してきたのが、欧州の金融緩和の縮小(テーパリング)観測だ。こうしたなか、年後半の相場をみるうえでも、8月下旬の米ジャクソンホール会議を経て9月7日の欧州中央銀行(ECB)理事会、同19~20日のFOMCが焦点となるとみられており、早くも9月の重要金融イベントに向けての関心が高まっている。

●FANGに世界の投資資金流入、株高基調は崩れず

 加えて、米株式市場のけん引役となり世界の株式投資家の関心を一手に集めるのがFANG(フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、アルファベット〈グーグル〉)と呼ばれる大手IT企業の株価の行方だ。例えば、90兆円前後と世界一の時価総額を誇るアップルだが、株価は年初から3割強上昇している。FANGに関して、これといったライバルが見当たらない企業も多く、「世界の投資家の買い資金流入で強気相場は続く」(清水氏)とみる声は少なくない。

 こうしたなか、米株式市場には一段高期待が強い。前出の桂畑氏は「米国の景気拡大は、まだ続くと思う。米国の上昇相場は簡単に終わらないだろう。調整局面はあるだろうが、法人税減税が通るようなことがあればNYダウは年末に向け2万3000ドルを目指すことも考えられる」としている。

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