【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「居座る梅雨前線、放れは上か下か?」
株式評論家 富田隆弥
◆NYダウ平均が終値2万1553ドル(10月13日)と最高値を更新するも、日経平均株価は2万~2万1000円近辺のもみ合いを抜け出せずにいる。114円台まで戻していた円安も、米国のFRB議長証言や長期債利回りに振り回されて直近は反落気味(円高)で、イエレンマジックも日本には届かずにいる。
◆日経平均の日足を見ると、5月中旬に2万円に接近してから2ヵ月、約2万±300円のもみ合いで、チャートは緩やかな右カタ上がりの帯状になっている。動きのない帯状チャートは天気図に出てくる梅雨前線のようで、今年3月中旬まで1万9000円台で3ヵ月ほど続いた時と似ている。
◆薄商いでウネリが失せる日本株。その背景には(1)日銀の市場への異常介入(PKO)、(2)ETFなど指数型物色の台頭、(3)売買シェアで台頭する「超高速取引」、(4)先物や裁定取引などで外国人投資家の関与減少(撤退)、などがある。さらに(5)マンネリ化した「アベノミクス」を付け加えるべきかもしれない。
◆日経平均など指数が高値圏で膠着しているうちは「個別株物色、個別株相場」とポジティブに捉えることもできる。低位株が物色されているのは個人投資家にとって好ましいことだが、指数を無視した相場がいつまでも続くとも思えない。日本株のカギを握るのは「NYダウ&外国人」だろうが、その影響力も薄れつつある。いずれにせよ、主体性がなく活気が失せる市場を好ましいとは言えず、心許ない。
◆日本列島の梅雨明けは間近だが、東京株式市場の梅雨前線もいつまでも居座るとは思えない。高気圧が前線を上に押しやるのを期待したいのは山々だが、3月下旬のようにもし前線が南下するなら「全面安」となりかねず要注意となる。NYダウは高値更新でも、世界のマネーが流入したナスダック(ハイテク主力株)はまだもみ合い圏にとどまっている。
(7月13日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース