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【特集】田部井美彦氏【都議選“自民大敗”、相場への影響は?】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―ポジティブかネガティブか、マーケットに生じた波紋の行方―

 東京株式市場は2万円大台近辺で売り買いが交錯する展開。下値では押し目買いが入るものの、相変わらず上値を買い進む動きにも乏しい。東京都議選は想定を大きく上回って「都民ファーストの会」が躍進を果たし、自民党が過去最低水準の議席数に落ち込んだことは安倍政権にとって打撃となった。この結果を含め、今後の相場展開に変化が生じるのかどうか、第一線で活躍する市場関係者に見通しを聞いた。

●「7月相場はこう着状態を予想、高配当利回り銘柄に注目」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 きょうは、都議選で自民党が大敗を喫したものの、日経平均株価は2万台をキープする小康状態となった。ただ、今後は内閣改造などとも関連して、自民党内部からも安倍政権に対する圧力が強まる懸念がある。今回落選した自民党の都議会議員から、つながりのある国会議員へ不満の声が寄せられることで、従来の「安倍1強体制」が揺らぐ可能性もあり、都議選の影響は今後も尾を引きそうだ。

 安倍政権としては、こうした自民党内部の動きを見極めながら、秋口を目指して信頼回復に向けた新たな経済対策を打ち出す準備に入る可能性がある。また、米国でもトランプ政権が下期に向けた経済政策の具体化を迫られることになる。もし、今後の米主要経済指標で、予想に比べて弱めな内容が発表された場合には、米株式市場にとってマイナス要因と受け止められ、日本の株式市場にも影響が及びそうだ。

 したがって、7月の株式相場は日経平均株価が1万9500円水準まで調整する場面も想定せざるを得ない。小池知事が打ち出している政策に関連した銘柄群が折に触れて注目され、物色人気を集める可能性はあるものの、市場全体を押し上げるような大きなテーマになるとは考え難い。

 全般相場がややこう着状態と想定されるなかでは、高配当利回りなど株主還元に積極的な銘柄に注目したい。1つ目は日産自動車 <7201> 。今期予想も含めて3期連続の増配を打ち出し、今期予想配当利回りは4%台後半と極めて高水準にある。2つ目は、三菱系機械商社の西華産業 <8061> 。火力発電向け設備など電力会社向けに強みを発揮しているが、最近の電力自由化の流れもあり、従来地盤としていた関西など西日本地域に加え、関東での受注も増加している。また、リチウムイオン電池関連素材も手掛けている。今期予想配当利回りは3%台前半と高水準。3つ目は、空調設備工事の日本空調サービス <4658> 。病院や工場向けなどで大型案件が増加しているうえに、メンテナンス・リニューアル工事の拡大で堅調な業績推移をみせている。今期予想配当利回りは3%台前半と高水準。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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