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【特集】注目「シンギュラリティ関連株」、2045年AI“人間超え”を買う <株探トップ特集>

ARM買収に続いてエヌビディアにも大規模投資、来るべき時代に向け着々と布石を打つソフトバンク孫正義社長

―なくなる仕事と上がる株、Xデーに向け活躍期待の銘柄は―

 米グーグル傘下の人工知能(AI)開発ベンチャー「ディープマインド」(英国)の囲碁ソフト「アルファ碁」は27日、中国浙江省烏鎮で行われた「世界最強」とされる中国人棋士、柯潔九段との3番勝負の最終局に勝利し、3局全勝と圧倒した。知的な盤上ゲームで最難関とされる囲碁で、AIは人間を凌駕したことになる。

 グーグルはこれに伴い、囲碁AIの開発は終了し、今後はこれによって培った技術を生かし医療やエネルギー分野での応用を目指すという。アルファ碁は膨大な情報からAIが自ら学習し、判断能力を高める「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術を採用、過去の対局データを学習するほか、自己対局を重ねて圧倒的な力をつけたことが背景となっている。

 一方、野村総合研究所が15年12月に発表した推計によると、601種類の職業ごとに人工知能やロボットなどで代替される確率を試算したところ、今後10~20年の間に、日本の労働人口の実に49%が技術的には代替可能になると予測している。

●AIが人間から仕事を奪うとの見方も

 こうしたなか注目を集めているのが、「シンギュラリティ」という未来予測の考え方だ。シンギュラリティは、アメリカの発明家で人工知能研究の世界的権威、レイ・カーツワイル氏らが提唱した未来予測の概念で、一つの仮説として想定され得る“AIが人間の能力を超える時点”を意味する言葉で、日本語では「技術的特異点」と訳されている。

 シンギュラリティの仮説によると、テクノロジーの加速度的な進化の結果として、コンピューターは人間の知能を超える“超知能”を獲得するようになる。人間には“超知能”がどのように振る舞うか予測も制御もできず、その甚大な影響によって社会や人々の生活に決定的な変化が起こると考えられている。その変化のポイントをカーツワイル氏は「シンギュラリティ」と名づけ、45年頃に到来すると予測している。その時点以降は、AIがほとんどの生産活動を支配し、人間から仕事を奪うのではないかとの見方も出ている。

●ソフトバンクはシンギュラリティに向け着々と布石

 関連銘柄としては、まずソフトバンクグループ <9984> を挙げたい。同社は16年に英半導体設計大手のARMホールディングスを、日本企業として過去最大の3兆3000億円で買収した。さらに、ソフトバンクグループがサウジアラビアなどと共同で発足させた「10兆円ファンド」が、米画像処理半導体メーカーのエヌビディアの株式40億ドル(約4500億円)分を保有することになったと報じられている。エヌビディアは、自動運転などの基盤となる技術を提供する有力半導体メーカーとして注目を集めている企業だ。

 こうした出資は、ソフトバンクグループの孫正義社長が、今後の情報通信技術の発達に伴い30年後にはシンギュラリティにより人類を超える超知性が現れるとの認識を深めていることが背景となっている。そのうえで、シンギュラリティが人類を破滅させるのではなく、不治の病をなくし、事故の起きない社会インフラを作り、大災害から人々を守るようにするために、同社が情報革命でパラダイムシフトに挑戦するとしている。そのための中核技術となるAI、スマートロボット、IoTの3分野の成長を支えるために、大量のデータを低消費電力で処理する半導体の中核技術を持つARMホールディングスや、画像処理のためのチップを設計開発しているエヌビディアは欠かせない存在というわけだ。

●富士通、FRONTEOなどにも注目

 さらに、AIに必要なソフト・ハードの両面で高い技術力を備えているのが富士通 <6702> 。世界最速を競うスーパーコンピューター「京」には、同社が設計した半導体が採用されている。一方、ソフト面では、国立情報学研究所社会共有知研究センターが推進している人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」で富士通は数学を担当している。

 一方、法的紛争、訴訟の際、証拠保全など電子データ収集、分析を行うコンピューター解析を主力事業とするFRONTEO <2158> [東証M]は、独自開発したAIエンジン「KIBIT」やAIロボット「Kibiro」でも注目度が高い。直近では24日に、三井住友フィナンシャルグループ <8316> とSMBC日興証券が、「KIBIT」を用いて顧客満足度を向上するデータ活用の検証を行い、高い効果が得られたことを確認したと発表した。今後SMBC日興証券では「KIBIT」を積極的に活用して顧客満足度の向上へ取り組んでいくことを表明している。FRONTEOは、KIBITの解析は、学習に必要なデータが少量で済み、短期間で検証できることが特徴。引き続き、業務への本格的な導入がスムーズに行えるよう、支援を継続していくとしている。

 このほかに、人工知能とWeb検索活用の自動翻訳サービス・ソフトを提供し、専門的な産業界向け翻訳に特化したロゼッタ <6182> [東証M]は、22年をメドに、「T-4PO」という画像認識や発声認識機能を備えたメガネ型のウエアラブル端末の自動翻訳機開発に取り組んでいる。また、主力のビッグデータ処理・解析分野に加え、特にSNSなどソーシャルメディアに強みを持ち、データ活用システムも開発しているデータセクション <3905> [東証M]は、防犯・セキュリティー、自動運転などの分野に向けて、AIを活用した画像解析サービスが拡大をみせている。

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