【市況】米国株式市場見通し:複数の小売決算が発表予定
トランプ大統領による米連邦捜査局(FBI)長官解任の混乱で、経済政策の実施が遅れるとの懸念が強まるなか、今週は相場動意材料に乏しく、経済指標や決算内容次第で株式相場も素直に反応する展開となりそうだ。一方で、サウジアラビアが最大400億ドル規模の対米投資計画を発表するとの報道もあり、今後の動向に注目が集まるだろう。
個別企業では、小売各社の決算発表が多数予定されている。ホームセンターのホームデポ(16日)、ディスカウントストアのターゲット(17日)やウォルマート(18日)、アパレルのギャップ(18日)、クラウドベースの顧客管理ソフトなどのセールス・フォース(18日)、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(18日)、農業機械のディア(19日)などの決算が控えている。先週はアマゾンが過去最高値を更新する中、百貨店のメーシーズやJCペニー、ノードストロームの業績不振を受け、従来の店舗型小売各社の決算には警戒感が広がっており、注意が必要だ。ウォルマートの決算では、ネット部門(Jet.com)の貢献度を見極めたい。
12日時点のファクトセット社の集計によるとS&P500構成銘柄の91%が決算発表を終了し、75%が利益、64%が売上高のアナリスト予想を上回った。全体では、先月末時点で9.0%の増益が予想されていたが、13.6%の増益見通しへと大きく改善した。2011年第3四半期以来の利益成長となるが、製造業が当初の予想(-7.2%)に反してプラス成長(1.5%)となったことが寄与した。
経済指標では、5月ニューヨーク連銀製造業景況指数(15日)、5月NAHB住宅市場指数(15日)、4月住宅着工・建設許可件数(16日)、4月景気先行指数(18日)などの発表が予定されている。住宅関連指標の中でも先行性を持つとされるNAHB住宅市場指数は、3月に2005年6月以来の高水準を記録したものの、4月に低下し、向こう6か月の販売見通しも鈍化した。5月は前月比横ばいが予想されているが、注目したい。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ