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【特集】馬渕治好氏【トレンド完全転換、日経平均はどこまで上がる?】(1) <相場観特集>

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

―日経平均480円高で“新潮流”発生、ここからの相場展望は―

 大型連休明けとなった8日の東京株式市場ではリスクを取る動きが加速、日経平均株価が一時480円高超に買われ2万円大台を目前に捉えている。世界が固唾を飲んで見守った仏大統領選の決選投票は中道系独立候補のマクロン氏が大勝、これが全体相場を押し上げる格好となった。投資家心理が急速に改善するなかで、今後の相場展開をどう読むか。第一線で活躍する市場関係者のプロの視点を紹介する。

●「企業の業績評価で上値追い本番へ」

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

 フランス大統領選は予想通りの結果となったが、このビッグイベントを波乱なく通過したことで、売り方は買い戻しを強いられ、海外投資家の新たな買いも誘導する展開となった。ここまで需給面から大きなフシとして意識されていた日経平均1万9600円台を逡巡することなく寄り付きで上抜き、東証1部の売買代金も3兆円を大きく上回る活況ぶり。トレンドは明らかに変わったとみてよい。ここからは日米ともに企業のファンダメンタルズを評価する形で自然体での上昇相場が繰り広げられていくことになろう。

 企業の決算発表が佳境入りとなるなかで、ここまでの結果を見る限り業績数字は思った以上に良好であるという印象を持っている。1-3月期について東証1部全社ベースのEPSは最終的に6割程度の増加が見込めそうだ。為替が企業の想定レート(1ドル=105円程度)よりも実勢が円安に傾いていることもポジティブ材料には違いないが、本質的には為替の動向に関係なく「需要」の強さが今の企業業績を支えている。

 円安はむしろ機関投資家の投資行動に追い風となっている。これまで日本企業の業績内容と比較して株価が出遅れているという認識は国内外の機関投資家にあったはずだが、円高への懸念が“買わない理由”にされてきたきらいがある。しかし、足もとの為替相場は思惑に反して次第にドル買い・円売りの傾向を強めており、ここからは足の長い資金も日本株を持たざるリスクと直面することになる。こうなってくると、日経平均は2万円大台乗せで達成感が出るという感じではない。5月中に2015年6月下旬につけた2万868円の高値を抜き去り、2万1000円台まで上値を伸ばす可能性があるとみている。

 物色の方向性としては、海外投資家が本腰を入れることが予想されるなか、引き続き機械セクターを中心に、世界的な景況感の回復を背景とした設備投資需要の拡大を買う動きが有力視される。自動車セクターについては、円安メリットは意識されるものの米トランプ政権の通商政策に対する警戒感も根強く、相対的に上値が重そうだ。個別にはファナック <6954> や安川電機 <6506> のほか、設備投資に使われる部材メーカーであるミネベアミツミ <6479> やキーエンス <6861> などが注目されそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程終了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「勝率9割の投資セオリーは存在するか」(東洋経済新報社)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

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