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【特集】高橋春樹氏【幻想のセルインメイ、希望の現実買い】(2) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

―好業績株への買い意欲旺盛、連休明け相場の行き先は―

 東京株式市場は大型連休の挟間で上値を買い進む動きは期待しにくいと思われたが、週明け1日の日経平均株価は113円高と思った以上に頑強な動きをみせた。“外国人投資家不在”の相場環境にして売買代金も2兆円を超えた。決算発表を絡め好業績銘柄への買い意欲は旺盛で、下値では買い板の厚さが目立つ。ゴールデンウイーク明けの相場展望、そして投資家のとるべき戦略は。個人投資家の実態を把握し、相場の先読みに定評があるマーケット関係者2人に意見を聞いた。

●「企業業績への関心高まり6月中に日経平均2万円目指す」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品本部長)

 外国為替市場で、1ドル=111円台後半まで円安・ドル高が進行していることもあり、発表が本格化している3月期決算企業の好業績見通しへの良好な反応ぶりが顕著となっている。北朝鮮を巡る地政学リスクがやや沈静化傾向となってきたのに加え、仏大統領選に象徴される欧州を巡る政治リスクは、かなりフェードアウトしてきた印象を与えている。5月7日の決選投票の結果を見なければ明確な判断はできないものの、米大統領選でのトランプ氏当選、英国の欧州連合(EU)離脱と昨年から続いてきた反グローバリスムやポピュリズムの世界的な潮流はやや沈静化の傾向にあるのではないか。

 海外環境などさまざまなリスクに対する市場の警戒感が徐々に薄らいでくると、関心は上場企業のファンダメンタルズに向かう。米国の決算発表は後半戦を迎え、日本は大型連休明けから佳境に入る。既に発表した日本の主要な輸出関連企業の18年3月期の業績見通しを見ると“慎重さ”が目立つ内容となっている。ただ、これは決算と業績見通しを確定する時期が、ちょうど円相場が1ドル=115円から同108円へと円高・ドル安が進行している最中と一致してしまったためだ。従って、もし今後円安進行となれば“余力を秘めた業績見通し”ということになる。

 米企業の決算で特長的なのは、グーグルやアマゾンなど積極的に海外展開しているグローバルなIT企業の業績が極めて良好なことだ。これは、米国に限らず欧州、アジアなど世界の主要地域の景気が押しなべて良好ということだ。米景気は、今後も自律的に堅調な推移が想定されており、トランプ政権の経済政策への過度な期待は遠のき、経済政策の遅れへの失望感は限定的となりそうだ。

 日経平均株価は、年初来高値から約1400円下落して、現在は急ピッチな戻り歩調をみせている。今後は年初来高値圏の1万9600円台の奪回から、6月中には2万円を目指す上昇トレンドに乗ることになりそうだ。今後の物色対象としては、輸出関連業種が有望視されるが、なかでも業績面から考慮して自動車よりも電機や精密機器の好業績銘柄に関心が集まりそうだ。具体的にはソニー <6758> 、キヤノン <7751> に注目している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

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