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【特集】上昇エンジン始動へ、究極の「低位バリュー株」15選 <株探トップ特集>

カーバイド <日足> 「株探」多機能チャートより

―大勢トレンドは再び先高、出遅れ物色の時間到来で期待の株―

 東京株式市場は、地政学リスクや米トランプ政権の打ち出す政策への懐疑的な見方などを背景に3月末から4月中旬にかけ急速な調整を強いられた。しかし、その後は大方の悲観的な見解を覆し急速な戻り足に転じた。足もとの日経平均株価は上昇一服場面にあるとはいえ、国内外機関投資家の実需買いが観測されるなか、相場の大勢トレンドは再び先高ムードを漂わせている。

●底上げ局面でがぜん注目度が高まる低位株投資

 新年度相場に入りようやくエンジンがかかってきた株式市場だが、全般底上げ局面ではリターンリバーサル(出遅れ株物色)を探る動きが強まるのが自然の流れだ。ここから狙い目となるのは低位株。株価が安い水準にあるがゆえ、上昇局面では株価に対する変動率(=値幅期待)が高くなる。これが少ない資金でも利ザヤをとりやすいという強みにつながり、時に個人投資家資金を強力に誘引することになる。いわゆる“買いが買いを呼ぶ展開”になり、望外の高値を形成するケースも少なくない。

 ただし、低位株といっても株価が安いというだけでは、上昇パフォーマンスは期待しにくい。基本的に業績内容がしっかりしており、株価指標面からも割安に放置されている株が水準訂正妙味を内包している。

●会社解散価値を大きく下回る有配低位株に注目

 その際、指標面で注目されるのはPBRだ。株価純資産倍率とも呼ばれ、机上の論理ではあるが、これが1倍を下回るとその銘柄は会社の解散価値以下に株価が下落しているということになる。つまり当該企業の株式を全部買い占め完全子会社化した後、会社組織を解散して資産を全売却すれば、買収資金コストを上回るキャッシュが得られるという理屈だ。今のマーケットには、このPBR1倍を大きく割り込む有配企業がゴロゴロしているが、業績変化や展開材料の出現を契機に一気に株価の水準訂正が始まるケースが少なくない。そして、それは低位株に多く見られる事例である。今現在も低位株セクターには地味に凄い銘柄が数多く眠っている。

 28日の相場では決算絡みで急動意した日本ピグメント <4119> [東証2]や、わかもと製薬 <4512> などがそれにあたる。いずれも17年3月期の業績予想を上方修正したことが買い手掛かり材料となったが、PBRをみると日本ピグメントは0.4倍台、わかもとも0.7倍前後に過ぎない。本質的には、決算の上振れ着地がトリガーとなって、その割安さにスポットが当たったというのが人気化の実態といってよい。

●1万円からの日本コークス、“腕に覚え”ならカーバイド

 別掲の15銘柄は3月末から4月中旬の波乱安を経て、切り返しに転じた300円未満の銘柄を対象に、好調な業績見通しにあるにもかかわらず、依然としてPBRが1倍を大きく下回る“水準訂正予備軍”を選出したものだ。

 日本コークス工業 <3315> は石炭の輸入販売や、コークス製造を柱とし、化学装置・機器製造なども手掛ける。17年3月期は17%営業増益予想で18年3月期も連続増益の可能性が高い。株価100円近辺は100株単位で最低売買代金1万円からの投資ができ、初心者でも躊躇なく試すことができる。もちろん、流動性十分で“大人買いも”可能。

 一方、オールドファン好みの材料株で腕試しという選択肢もある。宮地エンジニアリンググループ <3431> は国土強靭化の政策テーマを背景に高速道路や橋梁などの補修需要が中期的な追い風となり、好採算の工事も多く抱えている。GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)などの付加価値の高い事業を育成している。また、日本カーバイド工業 <4064> はファインケミカルや電子材料に展開し17年3月期営業利益は前期比24%増の26億円を見込む。仕手系材料株として2013年に大相場を形成、800円近くまで買われた実績がある。両銘柄とも“仕手っぽい”イメージがあるが、今は実態面からのアプローチで十分に魅力がある。

●超割安の日山村硝、テーマ買いなら光村印、イワキ

 割安株のなかでも特にその色が強いのが日本山村硝子 <5210> だ。PBRは0.3倍台半ば。年間5円配当を続けているだけに水準訂正余地は大きい。ガラス瓶の需要は国内で減少傾向が続いているが、米国ではワイン瓶の販売増が収益に貢献する。植物工場などへの展開も材料視。同じくPBR超割安の東京インキ <4635> [東証2]やウッドワン <7898> も注目。

 テーマで買える低位株としては光村印刷 <7916> 。商業印刷や新聞受託などが主力だが、タッチパネルなど精密電子部品を強化育成過程にある。昨年から折に触れ話題となっている天皇陛下の「生前退位」の意向に絡み、新元号関連の一角として人気再燃の可能性がある。17年3月期営業利益は前期比9割増予想で、PBRは0.5倍を下回っている点も見逃せない。

 また、国策テーマでは医薬品商社のイワキ <8095> に注目。政府は2020年度末までにジェネリック医薬品の使用割合を80%に引き上げる目標を掲げており、同社はジェネリック市場の拡大に合わせ医薬品原料などでビジネスチャンスが膨らむことになる。

●産業のパラダイムシフトが追い風の協栄産、リズム時

 産業のパラダイムシフトが追い風となる低位株もある。ワールドワイドでの半導体需要の拡大は、スマートフォンの高機能化、自動車の電装化進展などで構造的な追い風にあおられている。これはメーカーだけではなく、電子部品専門商社にも恩恵は及ぶ。協栄産業 <6973> は三菱電機系の半導体商社で17年3月期営業利益は前期比93%増の2億5900万円予想と回復色を強める。18年3月期も自動車向けの牽引で成長が続く見通し。商社という業態を考慮しても0.3倍台のPBRは見直し余地大。

 また、リズム時計工業 <7769> はシチズン系のクロック大手だが、金型や車載用カメラ部品などに経営の重心をシフトして利益回復に努めている。車載用カメラは自動車電装化の過程でも中核的なキーアイテムで同社の新たな成長シナリオにつながる。17年3月期第3四半期の営業利益は6億5600万円と既に通期計画の6億5000万円を超過している。18年3月期も増益基調は維持される公算が大きい。

◆究極の低位バリュー株15選◆

銘柄 <コード>       PBR  株価
日本コークス <3315>    0.69   99
宮地エンジ <3431>     0.81  215
ダイニック <3551>     0.47  192
カーバイド <4064>     0.77  164
東インキ <4635> [東証2] 0.37  296

日山村硝 <5210>      0.35  187
品川リフラ <5351>     0.61  302
モリテック <5986>     0.51  280
協栄産 <6973>       0.36  164
リズム <7769>       0.54  189

ウッドワン <7898>     0.33  291
光村印 <7916>       0.45  258
イワキ <8095>       0.59  296
技研興 <9764> [東証2]  0.43  179
ベリテ <9904> [東証2]  0.64  129

※株価は28日終値(単位:倍、円)

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