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【特集】大阪万博“誘致合戦”スタート、総点検「本命」と「大穴」株 <株探トップ特集>

京阪HD <日足> 「株探」多機能チャートより

―経済効果1.9兆円の夢プロジェクト正式始動、関連銘柄の動向は―

 世界の注目を集めるフランス大統領選挙だが、現地でもうひとつの熱い戦いが始まる。24日、(日本時間)深夜にかけて、政府は2025年の大阪での万博開催を目指し、パリの博覧会国際事務局(BIE)本部に立候補を申請。既にパリが立候補しており、18年の秋にBIE総会の投票で開催地が決定される予定だ。熱く燃える大阪万博関連銘柄を点検した。

●五輪後の新たな牽引役

 昨年政府が万博開催誘致に向けて、立候補の調整に入ったと伝わり、株式市場でもテーマとして関心が高まったことは記憶に新しい。関連株は思惑交錯のなか買いを呼び込んだ格好だ。立候補の申請で改めて物色の矛先が向かう可能性もある。

 政府は11日、25年に大阪での開催を目指す国際博覧会(万博)について、正式に立候補することを閣議了解した。これに先駆け7日、経済産業省は「2025年国際博覧会検討会報告書」を発表。会場は大阪府大阪市夢洲(ゆめしま)地区とし、25年5月3日~11月3日までの185日間の開催を目指す。入場者は約2800万~3000万人を想定しており、経済波及効果は建設費関連約0.4兆円、運営費関連約0.4兆円、消費支出関連約1.1兆円、合計約1.9兆円と試算している。

 加えて、国際博覧会開催により、コンセプトなどに関わる分野の市場伸長、企業の投資拡大、会場外・開催期間前後における観光・消費需要拡大、関連する大規模イベント開催などの間接的な誘発効果が発生すると想定。20年に開催される東京五輪後の日本経済の行方が不安視されるなか、“大阪万博の開催”は新たな牽引役として期待されている。

 株式市場で注目されるのが、やはり会場となる予定の夢洲地区に関わる企業だろう。当然のことながら、大阪という大都市のなかで巨大な用地が必要となる。ただ、人工島の夢洲は大阪市が所有あるいは所有予定であるため、東京五輪決定で浮上したような“土地持ち企業”が浮上しにくく、株式市場では会場周辺に位置する施設を所有し恩恵を享受する企業が脚光を浴びることになりそうだ。

●ホテルで京阪HD

 いわゆる爆買いによるインバウンド消費は沈静化しているが、いまだ訪日客は増勢の一途をたどり、依然として宿泊施設不足は深刻だ。とりわけ、関西圏は訪日客に人気があることに加え、万博開催となれば“五輪後”に浮かび上がるといわれる宿泊施設の供給過剰懸念を払拭することになり、同地域のホテル関連銘柄には特に恩恵を与えそうだ。

 京阪ホールディングス <9045> は、傘下のホテル京阪が夢洲に近いJR桜島線のユニバーサルシティ駅前に、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のパートナーホテルとして「ホテル京阪ユニバーサル・タワー」と「ホテル京阪ユニバーサル・シティ」を運営しており、大阪での万博開催が決定すれば相乗効果でさらなる集客増が期待される。

 同社では「実際に誘致・開催となれば、大阪や関西だけでなく、日本経済にとって東京五輪後の大きな起爆剤になると思う。大阪万博の夢洲への誘致は、関西活性化へ向けて大いに期待でき、当社グループとしても事業機会につながるものとして注目している」(広報)という。電鉄が中核だが、前述のホテル以外にも多くの宿泊、レジャー施設を展開、沿線開発も積極的に進めており、万博開催による関西地域の活性化は、業績に大きく貢献する。また、関西の名門・ロイヤルホテル <9713> [東証2]の動向にも注目が集まるが、誘致が成功すれば、関西圏のみならずホテル関連株全般に物色の矛先が向かう可能性も出てくる。

●シノケンなど民泊関連も注目

 さらに、前出の検討会報告書では「宿泊受け入れ体制の整備は急務」とし、「ホテル新設の一層の促進に加え、空き家など民泊への活用」を指摘しており、民泊関連株にも関心が高まりそうだ。アパマンショップホールディングス <8889> [JQ]、インベスターズクラウド <1435> 、オープンドア <3926> など同テーマの常連銘柄に加え、シノケングループ <8909> [JQ]も妙味がありそうだ。同社は4日、民泊に対応した投資用マンションとアパートの販売を始めると発表、販売1棟目は東京・大田区の5階建てマンション(46戸)で、大阪市でもアパート(6戸)を7月末日に竣工する予定だ。

●話題性だけじゃない三精テクノロジーズ

 ここ、大阪万博関連が話題に上ると、名前が挙がるのが三精テクノロジーズ <6357> [東証2]だ。

 1970年の大阪万博において、エレベーターやエスカレーター、オートロード(動く歩道)をはじめ、舞台機構や各種遊戯機械を多数提供。モントリオール万博や、つくば博、愛・地球博などでの豊富な実績に加え、地元大阪の企業という点でも期待感が募る。話題性だけではない、業績も好調だ。同社は3月16日、17年3月期業績の上方修正を発表。売上高を250億円から285億円(前の期比18.8%増)へ、営業利益を22億5000万円から30億円(同44.1%増)へ、最終利益を14億5000万円から19億円(同47.2%増)へ上方修正した。遊戯機械事業で、工事が前倒しで進捗していることに加え、舞台改修案件の工事が順調に完工していることなどが要因としている。

●目を配っておきたいAI関連

 大阪万博関連で株価が急上昇した銘柄のひとつに櫻島埠頭 <9353> [東証2]がある。同社は万博誘致が予定されている夢洲の近隣である此花区の梅町に倉庫などを保有していることから思惑を呼び、昨年株価が急動意した経緯がある。用地は全て大阪市などからの借地であり、この点は留意しておく必要があるが、周辺の開発が進むことで同社にも恩恵が生じる可能性もあり、立候補にともない思惑買いを誘う可能性もある。

 また、人工知能(AI)など先端技術の万博会場での活用も期待されている。今後招致活動が活発化するなか、ブレインパッド <3655> 、ロゼッタ <6182> [東証M]、FRONTEO <2158> [東証M]などAI関連の一角にも目を配っておきたいところだ。

 正式立候補で、BIEの調査団が現地を視察するなど今後イベントが数多く行われるとみられ、折に触れて大阪万博関連銘柄を刺激することになりそうだ。

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