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【特集】アルプス技研 Research Memo(8):イノベーションによる企業規模の拡大~創業50周年に向けた成長の加速~

アルプス技 <日足> 「株探」多機能チャートより

■中長期の成長戦略

1. 新中期経営計画(2017年~2019年)
アルプス技研<4641>は創業以来、5年単位の定性目標及び3ヶ年の定量目標を策定しているが、今回の決算発表と合わせて、2017年12月期から2019年12月期までの3ヶ年を対象とする新中期経営計画の定量目標(ローリング方式)を発表した。最終の2019年12月期の売上高が33,400百万円、営業利益が3,450百万円、経常利益が3,550百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が2,460百万円を目標としている。

5ヶ年計画の大テーマは、「イノベーションによる企業規模の拡大~創業50周年に向けた成長の加速~」をうたっており、そのための具体的施策が以下の内容である。

(1) 技術、産業の変化を先取りし、高度で多様な技術サービスを提供
具体的には、1)営業・採用・教育の仕組みの変革、2)チーム化・請負化の推進、3)顧客満足度の向上、4)高度技術者集団としてのブランド確立、という施策を掲げている。派遣事業の中で、顧客大手企業から上流工程の作業を依頼されるためには、絶えず技術・産業の変化を読んで先取りし、高度かつ多様な技術を身に付けていなければならない。そのための色々な仕組みづくりが不可欠である。

(2) 関係会社の自立・成長により、同社グループの規模拡大を加速
具体的には、1)関係会社の独自性と収益性の発揮、2)潮流を捉えた新規事業の創出、3)グループ拡大による社会貢献への寄与、という施策を掲げている。現在の関係会社は、国内外4社であり、前期で新規にグループ入りしたパナR&Dなどのように、今後M&A等で増加することが考えられる。グループとしての一体感の醸成と各社の自立・成長は重要なテーマであろう。

(3) アジアに展開するグローバル企業グループへの躍進
具体的には、1)事業基盤強化と事業分野の拡大、2)東南アジアにおけるネットワークの活用、3)グローバルなアウトソーシングサービスの提供、という施策を掲げている。既存の製造業の顧客の海外進出先であるアジアを中心に、事業分野・地域の更なる展開を図っている。

2. 中長期成長ビジョン
中期経営計画と合わせて、50周年を経過後の次の事業展開の方向性について、市場と事業・技術を2軸として、それぞれ既存と新規の場合に分けた4象限のポートフォリオで説明している。

(1) 高度技術サービスの提供(既存市場、既存事業・技術)
既存の機械設計、電気・電子設計、及び開発などのサービスである。同社の安定的収益源でもあり、今後ともプロジェクト管理体制などの強化で事業拡大を図っていく。

(2) 最先端技術(高単価ゾーン)の開発設計業務(新規市場、既存事業・技術)
AIやIoT、ロボット、ハイブリッド・EV車、航空宇宙関連、医療関連など様々な先端技術領域の開発設計であり、社会的ニーズのある技術の変遷に応じて対応市場の拡大を図っていく。

(3) グローバル展開(既存市場、新規事業・技術)
基本的には、顧客企業の海外進出に伴って、現地での生産設備構築や運用などのサービスを提供する。地域的には当面は中国、アジアが中心となる。また、ブリッジエンジニアのようなグローバルエンジニアの活用を図る。

(4) 新規事業の可能性検討(新規市場、新規事業・技術)
現在は、介護事業について模索をしており、2017年12月期の具体的施策に記載したように、ミャンマーで介護人材の育成を既に開始し、日本の介護関係の法制整備に合わせて事業化の検討を行っている。その他については、まだ具体化していないが、同社の強みである優秀な人材をベースにしたサービスとして、異分野の開拓を検討中である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)

《HN》

 提供:フィスコ

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