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2017年04月18日20時00分

【特集】接近「フランス大統領選」、3度目“株価大乱”はあるか <株探トップ特集>

注目高まるフランス大統領選の帰趨、昨年の英国民投票、米大統領選に続く波乱相場の可能性は――。

―身構える市場、“Frexit”なら“Brexit”以上の衝撃も―

 市場関係者の高い注目を集めるフランス大統領選が目前に迫ってきた。この選挙ではユーロ離脱を掲げる極右候補のルペン氏が勝利するかが最大の焦点。市場には「結果次第では、Frexit(フランスのEU離脱)につながる」との懸念も出ており、昨年の英国、米国に続く政治面での「第3の大波乱」に身構える動きも強まっている。ユーロ崩壊の影にも怯えるなか、市場が描くフランス大統領選のシナリオを探った。

●23日に第1回投票、世論調査は極右・ルペン党首がトップ

 フランス大統領選の第1回投票は23日に実施される。1回目の投票で過半数を取る候補がいなければ、上位2人による決戦投票となる。この第2回投票は5月7日に予定されている。

 現在、有力候補として名前が挙がっているのは、極右国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首、中道で独立系のエマニュエル・マクロン元経済産業デジタル相、右派統一候補で共和党のフランソワ・フィヨン元首相、左翼党共同党首のジャンリュック・メランション氏といった顔ぶれだ。なかでも、高い関心を集めているのが、ルペン氏だ。同氏は「移民の大幅な制限」に加え、「EU離脱を問う国民投票の実施」「ユーロ圏離脱」などを掲げており、世論調査の支持率でもルペン氏は23%前後と首位に立っている。

 ルペン氏が当選すれば、「フランスのユーロ・EU離脱の可能性が浮上する」(市場関係者)。ユーロ創設で中核国となったフランスの離脱は、ユーロ崩壊にも直結しかねない。それだけに、今回のフランス大統領選が及ぼす影響は「結果次第でBrexit(英国のEU離脱)を上回る可能性も」(アナリスト)と懸念する声が出ている。

●市場はマクロン氏勝利に期待、第2回投票で逆転も

 もっとも、ルペン氏勝利によるフランスのユーロ離脱は、金融市場のメーンシナリオとはなっていない。世論調査で2位につけるマクロン氏が5月の第2回目の決戦投票で勝利する可能性を市場は織り込んでいるからだ。

 第一生命経済研究所・桂畑誠治主任エコノミストは、「第2回投票では極右のルペン氏を毛嫌いする票がマクロン氏のような対立候補に集まるだろう」と指摘する。マクロン氏は、EU統合推進派であり、規制緩和や企業活動の促進を主張しており、市場関係者からの人気も高い。

 3番手のフィヨン氏はサルコジ政権時の首相。マクロン氏に比べ支持率は低いものの、フィヨン氏とルペン氏の決戦投票となった場合、接戦となりながらもフィヨン氏の勝利が期待されている。

 最も注意が必要なのが、足もとで支持率が急上昇している急進左派のメランション氏が第1回投票で2位となり、ルペン氏との一騎打ちとなることだ。メランション氏も、ルペン氏と同様、EU・ユーロ圏離脱を打ち出しており、「第2回投票では、EU・ユーロ残留派の投票先がなくなることをマーケットは最も警戒している」と桂畑氏は指摘する。この場合、市場はリスクオフに傾き、ユーロが急落する可能性も取り沙汰されている。

●ルペン氏勝利でもユーロ離脱には高いハードル残る

 しかし、5月7日の第2回選挙でルペン氏のようなEU・ユーロ離脱派が勝利しても、「実際にユーロ離脱に至るまでのハードルは相当高い」と外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は指摘する。

 ルペン氏は当選すれば、半年後にEU離脱の是非を問う国民投票を行うと公約しているが、国民投票の実施には原則として議会の承認が求められる。6月にはフランスでは議会選挙が予定されており、国民投票に向けてはルペン氏が率いる極右政党・国民戦線が多数派を握ることは難しいとみられている。

 さらに、たとえ議会での承認を得ることができたとしてもフランス国民の多数派はEU・ユーロ残留を支持しているとみられている。このため「Frexit」に至るまでにはいくつもの関門をかいくぐる必要があるとみられている。

 とは言え、「フランス大統領にルペン氏が就任するとすれば、それ自体がユーロには相当にネガティブに響く」と神田氏はいう。今後、予定されているドイツやイタリアの選挙で反EU・ユーロ派が勢いづくことになりかねず、ユーロへの信頼感は急低下する可能性がある。

●週明けの東京市場をフランス選挙結果が直撃へ

 こうしたなか、フランス大統領選の第1回目投票の結果は24日に判明する。昨年の英国民投票や米大統領選の際と同様に、今回も東京市場を直撃する格好だ。市場では、「マクロン氏が2位以内に滑り込めれば、マーケットは前向きに評価する」とし、1ユーロ=1.08ドル前後へのユーロ高、日経平均株価1万9000円台を意識する上昇が期待されている。

 一方、たとえマクロン氏が2位以内につけてもルペン氏の獲得票が全体の30~40%に上昇するなど、同氏が勢いを増している結果が出れば「市場には警戒感が強まる」(神田氏)という。さらに、前出のように第1回選挙の結果がルペン氏とメランション氏の決戦投票となった場合、波乱は避けられないだろう。

 加えて、第2回選挙でのルペン氏の大統領就任の可能性が膨らめば、1ユーロ=1ドルのパリティ割れを意識する展開も予想され、ドル円や日経平均もリスクオフからの下落が警戒される。

 現状では、ルペン氏の勝利の可能性は決して高くはなく「フランス大統領選は大きな波乱材料にはならないのではないか」(桂畑氏)との見方は少なくない。しかし、昨年のBrexitや米大統領選でのトランプ氏勝利を経験したマーケットは「第3のまさか」を警戒している。いずれにせよ、フランス大統領選の結果は今後のマーケットを大きく左右することは間違いない。

株探ニュース

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