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【特集】大谷正之氏【ここは買い場か見送りか、視界不良相場の行方】(2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―整ったリバウンド条件、中小型株には反転の兆しも―

 東京株式市場は下値を探る局面が続いている。トランプ政権の打ち出す経済政策に対し先行き不透明感が取り沙汰されるほか、北朝鮮問題などの地政学リスクものしかかる。一方、テクニカル面では各種指標が底値圏を示唆するなど、リバウンドの条件はそろっており、東証2部や新興市場を中心に中小型株には反転の兆候もみてとれる。日経平均1万8000円台はキープできるのか、また遠くなった日経平均2万円大台復帰の日はいつか。“視界不良相場”の行方について、第一線で活躍するマーケット関係者2人に意見を聞いた。

●「企業業績を評価する個別物色で全体相場にも底堅さ」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 北朝鮮を巡る地政学リスクが継続する上に、23日には仏大統領選の第1回目投票が予定されるなど不透明要因の多い相場環境が続きそうだ。ただ、そのなかにあっても、米国では今週から、日本国内でも来週から決算発表が本格化する。地政学リスクや外国為替市場での円相場の動向次第で下振れする懸念はあるものの、決算発表に伴って企業業績を評価した個別銘柄への買いの集積により、全体相場も底堅い推移となりそうだ。

 地政学リスクについては、25日の朝鮮人民軍創建85周年、4月末ごろまで続く予定の米韓合同軍事演習、5月9日の韓国大統領選とイベントは続くものの、いまのところ米国は、中国の北朝鮮に対するさまざまな影響力の行使を見守っている姿勢が顕著となっており、早期の武力行使の可能性は限定的といえそうだ。

 来週から本格化する3月期決算企業の業績発表に伴う18年3月期の見通しについては、足もとで進行している円高・ドル安の影響もあり、ある程度保守的な内容となることが予想される。焦点は市場の受け止め方で、「かなり保守的で上方修正の余地あり」との見方が多いのか、「ほぼ会社予想通りになる」との判断が多数派を占めるかによって、全体相場の方向性が決まってくることになりそうだ。日経平均株価は、1万8000円を少し割り込む覚悟も必要だが、その後は1万9000円を目指した修復相場へと進みそうだ。

 個別銘柄では、内需系セクターで業績好調のドラッグストアからスギホールディングス<7649>、ツルハホールディングス<3391>、クリエイトSDホールディングス<3148>に注目。今期は、ホームセンターとプロ向け工具・資材店で11店舗の新規出店を計画して、6期ぶりの最高益更新も視野に入ってきたコーナン商事<7516>。円高メリットが期待できる家具・インテリア製造小売りチェーン最大手のニトリホールディングス<9843>は都市部店舗の収益力が向上している。


(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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