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2017年04月15日20時00分

【特集】国策「働き方改革」がIT業界ビッグウェーブを生み出すワケ <株探トップ特集>

ソリトン <日足> 「株探」多機能チャートより

―生産性向上“待ったなし”で生まれる需要を取り込むのは―

 北朝鮮やシリアを巡る国際情勢の不透明感などを背景に、東京株式市場は神経質な相場展開が続いている。こうした状況下でも依然として市場参加者の関心が高い物色テーマのひとつが、安倍政権が推進する「働き方改革」に乗った銘柄だ。国を挙げて実行する政策によって恩恵を受けることが期待される銘柄は「国策銘柄」といわれ、息の長い相場となる場合が多い。そこで今回は「働き方改革」関連銘柄のなかでも、生産性向上に不可欠なIT・システムの分野にスポットを当てた。

●政府、今秋の臨時国会で法案成立を目指す

 政府は3月28日に働き方改革実現会議を開き、長時間労働の是正や非正規の処遇改善などを明記した実行計画をまとめた。この会議で安倍首相は「2017年が日本の働き方が変わった出発点として記憶されることを確信している」と述べるとともに、関連法案の成立に全力を挙げる方針を示した。働き方改革を巡っては、昨年末に同じ仕事に同じ賃金を支払う同一労働同一賃金のガイドラインが作られ、今年3月には残業時間に上限を設けることで政労使間が合意しており、実行計画にはこうした成果が盛り込まれた。政府は今後、労働政策審議会で改革の方向性を改めて確認し、秋に予定する臨時国会で法案を成立させたい意向だ。

 働き方改革によって「新しい働き方」の実現が求められるなか、人材派遣紹介クラウドソーシング(ネットなどを通じて不特定多数の人材に業務を委託する手法)を手掛ける企業はその恩恵を受けるとみられ、株式市場では4月上旬にかけてジェイエイシーリクルートメント <2124> やクラウドワークス <3900> [東証M]など年初来高値をつける銘柄が相次いだ。ただ、働き方改革を一時的な“キャンペーン”で終わらせないためには、人事的なルールや制度の導入に加え、業務やシステムにまで踏み込んだ全社的な改革で生産性を上げることが重要。これはICT(情報通信技術)が大きな役割を担うことになり、その意味で働き方改革はIT・システム業界にとってもビッグウエーブになりつつある。

●注目されるIT利用の働き方「テレワーク

 IT機器を利用した働き方として注目されるのが、ネットワークやセキュリティー対策を施したパソコンなどを使って、時間や場所の制約なく仕事に従事できる「テレワーク」だ。BYOD(私有端末を業務に有効活用すること)を活用したモバイルワークシステムなどを展開するソリトンシステムズ <3040> [東証2]や、文字情報のデジタル変換を高精度で行うクラウド型デジタル化サービスを手掛けるデジタルデザイン <4764> [JQG]、業務効率化のグループウエア大手のサイボウズ <4776> に注目。

 Web会議システムのブイキューブ <3681> 、ネットワークデバイスをクラウド上からまとめて管理するオプティム <3694> 、さまざまな端末から社内ネットワークに接続できる環境を提供するソフトバンク・テクノロジー <4726> 、専用のUSB認証キーを利用して社内のパソコンやサーバーに安全にリモートアクセスできるソリューションを展開するジャパンシステム <9758> [JQ]などもビジネス機会の拡大が期待できそうだ。

●需要増を見込み参入企業が続々

 このほか最近では、コニカミノルタ <4902> が3月下旬に、働き方改革を推進するITプラットフォーム「ワークプレイス ハブ」を今秋からグローバル展開すると発表。リクルートホールディングス <6098> は同月下旬、ファンドを通じてクラウド人材管理サービスを運営・提供するカオナビ(東京都港区)の株式を一部取得し、持ち分法適用関連会社化した。また、ソラスト <6197> は同月上旬、FRONTEO <2158> [東証M]が独自に開発したAI(人工知能)エンジン「キビット」を用いて、新入社員の離職を防ぐ取り組みを開始すると発表した。

 さらに、エルテス <3967> [東証M]は2月下旬より、AIを使った位置情報や行動情報分析から企業の生産性の分析を行う「AI Activity Analytics」の提供を開始。伊藤忠テクノソリューションズ <4739> は1月下旬から、データ連携で働き方を“見える化”するクラウドサービス「TeamSpirit」の取り扱いを開始している。

●ジンズ、ACCESS、アトラエにも注目

 それ以外では、AIを活用した人材マッチング事業を行うアトラエ <6194> [東証M]、AIを活用して働く人の幸福感向上に有効なアドバイスを自動作成する技術を開発している日立製作所 <6501> 、IoT技術で店舗や工場の働き方改革を実現するサービスを提供しているACCESS <4813> [東証M]、心と体の状態を可視化するセンシング・アイウエア「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」を展開するジンズ <3046> などが関連銘柄として挙げられる。

株探ニュース

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