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【市況】高岡隆一の【今日のポイントとヒント】 「上がりにくい状況は継続か」

高岡隆一 (株式評論家)

◆出張で香港に行ってきた。年に3回、もう合計で40回前後訪問しているが、常にエネルギッシュで衰退していく日本とは正反対の印象だ。自分や家族を鼓舞する意味でも、刺激を得る意味でも、香港訪問によって得るモノは大きい。

◆日本の世の中には過度な競争を嫌い、「ゆとり教育(後に廃止)」や「働き方改革」などと言って競争を否定する空気がある。そうした運動を支持するようなメディアまである。そのメディアの主張に乗って「市民運動」にのめり込む者もいる。しかし、彼らの中には世界最高水準の携帯(アップルの「iPhone」)を使い、グーグルで検索して、アマゾンでモノを買い、安いの早いのと自慢する者もいる。さらに、フェイスブックやインスタグラムやツイッターを自慢話や情報収集に利用する者さえいる。

◆すべてアメリカの「勝ち組」のサービスだ。世界を股にかけた激しい競争に勝ったサービスを使いながら、「過度な競争には反対」という国民がいる。それを煽るマスコミがいる。まことに「おめでたい国」だ。

◆自分の老後は自給自足で、だから競争を否定し、その産物である過剰な製品やサービスを使わないのならば筋は通る。しかし、過度な資本主義を嫌い、グローバル化を悪だと信じつつ、巨大なグローバル企業のサービスは喜んで使う彼ら。過度な資本主義は駄目と言いながら、自身の老後については多額の年金や生活保護を要求する彼ら。資本主義を回す「お金」には、年金や生活保護と名を変えつつもしっかり頼る彼ら…。

◆自分たちの活動が日本を導く(上から目線)と信じている彼らの住む日本。まことに滑稽。株価が長期上昇トレンドを維持できない最大の理由だろう。国民の方向がバラバラでは経済政策もバラバラとなり、結果として企業は国内から海外へと逃げて行く。優秀な人材も逃げて行く。当然だが国内企業の競争力は落ち、企業の価値も低下する。だから株価は上がり続けられない、こうしたロジックを15年前から感じ始めた。

◆そこで資本主義の中心地であるニューヨークに子供を連れて行き、いろいろな経験を積ませたかったのだがニューヨークはあまりに遠い。そこでアジアで最も資本主義的な香港を選び、「ぬるーい日本」に毒されないよう、世界は「日本の方向」ではなく「香港の方向」を向いているのだ、ということを教えたくて香港に行き続けている。

◆シャープ <6753> [東証2]も、タカタ <7312> も、東芝 <6502> も、国内企業では救えないのが今の日本の経済力。現状をもっと知るべきだ。謙虚に受け止めるべきだ。そうすれば、何をなすべきかは明らかだろうに…。

◆小池劇場や森友問題にメディアも国民も集中すればするほど株は下がるだろう。暫く個別株でつなぐしかない。それが嫌なら4月末の決算発表まで「お休み」も悪くはない。投資で株を常に持つには、この国は不向きな国であるのだから…。

2017年4月4日 記

情報提供:高岡隆一の株価天気予報

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